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(ほろほろ鳥)6月の編集後記

いま絵本新人賞の選考が佳境を迎えていますが、新人賞に応募されるメリットは、賞を取ることだけではありません。今月刊行した『ルッキオとフリフリ 大きなスイカ』は、選からもれましたが、読んだ者に強いインパクトを与える作品でした。それがご縁となって担当者との長い「熟成期間」を経て満を持しての刊行となりました。ぜひ、本屋さんで手に取って見て頂ければ、このふしぎなインパクトを共有していただけると思います。さて、長らくご愛読いただいている『講談社 絵本通信』ですが、この形での更新は、これが最後。スマホからも見やすく、SNSやツィッターなどとも連動して大幅に、リニューアルします。今よりもっと、こまめに情報発信できるようになります。またリニューアルを記念してプレゼント企画もありますので、ぜひぜひチェックをよろしく御願いします。(ほろほろ鳥)

 
次回は2014年7月31日更新予定です。
 
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生きているのがつらいと思っているきみへのメッセージ

イラスト/高島尚子

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『絵本マボロシの鳥』
『絵本マボロシの鳥』
◆藤城清治/影絵
◆太田 光/原作・文
◆対象年齢:小学生中級から
影絵の本/ファンタジー

内容紹介
いつの時代の、どこの国の話かはわからない。その日、場末のオリオン劇場には、入りきれないほどの観客がつめかけていた。だれも、かれも目的はただひとつ。魔人チカブーの芸、「マボロシの鳥」を見ること。ところが強欲支配人が客をつめこみすぎ、空気を入れようと天窓が開けたせいで、マボロシの鳥は飛び去ってしまう……。新潮社より2010年に刊行された爆笑問題・太田光の短編小説集『マボロシの鳥』の表題作を、現代を代表する影絵作家、藤城清治が絵本化。ふたつのイマジネーションが共鳴しつつ高みへといたる、まさに奇跡のコラボレーション!
作者からのメッセージ
・影絵/藤城清治さんからのメッセージ(あとがきより、抜粋)

 太田光さんから読んでほしいとおくられてきた『マボロシの鳥』の本を読んでいるうちに、どこの世界でも、いつの時代でもないというこの話が、まるで自分の世界のような気がして、どんどんひきこまれていってしまった。
 父が銀行員で、慶応の経済を出ながら、絵ばかり描き、絵の才能を認められても、ギニヨール(あやつり人形)の人形劇の世界にとりつかれ、それでも、ちいさいギニヨールにあきたらず、ぬいぐるみ人形に走り、手品や曲芸や大道芸やパントマイムにも興味をもって、ケロヨンを生んだ。
  あげくに、ぼくは武道館でケロヨンショーをやり、数万人の観客が武道館をとりまくという大混乱を起こし、世の大批判を受けた。
  ちょうど、魔人チカブーと悪徳支配人の一人二役を同時に演じたともいえるぼくだから、この話を読んでいくと、いろんな舞台の想い出が夢のように浮かんで身につまされる。 そう思うと、この『マボロシの鳥』を絵にするのにぼくほど適した人はいないだろうと思った。
(中略)
 40枚の絵を約3ヶ月でつくった。下絵に1ヵ月、切り出して2ヶ月。切り出してからは1日半で1枚の絵を完成させていった。1枚完成のたびにばらの花を下絵につけていった。選挙のようだと笑われたけれど、自分自身を鼓舞するためにやって、どうにか全40枚を完成することが出来た。
今年87歳になるが、若い頃でも、こんなに波に乗って制作出来たことはなかったような気がする。もちろん、自分ひとりの力ではない。出版を引き受けてくれた講談社をはじめ、ぼくをとりまく内外のスタッフのアドバイスや後押しでこの絵本はできあがった。
 この絵本によって『マボロシの鳥』のテーマ「世界はきっとどこかでつながっている」というすばらしさを世界中の多くの人々の心の中に立証することができればと思っている。

・原作・文/太田光さんからのメッセージ(あとがきより、抜粋)

 きっと大昔からそうだったのでしょうが、私達人間は本当に、光っているものが好きです。太陽や月や星。ロウソクの火や海の向こうに見える船の光。外灯や夜の町のビルの窓。(中略)
 実は光るということは、光がその場所から離れて飛んでいくということでもあります。空の星がそうです。夜空に見える星は遠く離れた場所にとどまっているように見えますが、本当は私達が立っている場所まで光が星を離れて長い時間をかけて宇宙を飛んで届いてきているということです。私達に光が見えるということは光が私達と同じ場所にいるということです。
 私はチカブーが鳥を放つということもこれと同じことのつもりで書きました。考えるということも光るということです。この物語を考えていた時、物語は私の頭の中で光り続けていました。そして書き終わった時、私はタンガタと同じように物語を逃がしたような気持ちになりました。そして藤城さんの描いた絵を見た時、再び物語が私の元に帰ってきた気持ちになりました。(中略)
 藤城さんはずっと昔から私達に、実はこの世界には闇などないと教えてくれています。闇のように思えてもそれは本当は影なのだと教えてくれています。闇と影は違います。闇とは光のない世界のことです。影とは光のある世界にしか出来ません。生きていると光の時と影の時が交互に訪れるような気になる時があります。でもそれは本当は同時にそこにあります。暗い部屋で懐中電灯をつけて、手で作った鳥の形の影が壁にうつるのを見るたびに、私達はそのことを思い出せます。
 私の考えた物語を、そういうものにしてくださった魔人・藤城清治さんに心から感謝します。
著者紹介
藤城清治(ふじしろ せいじ)
1924年東京に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業。12歳から油絵を始め、独立美術協会展、新制作派展に入選。卒業後、名編集者の花森安治に認められ、雑誌「暮しの手帖」に影絵を連載。テレビ、影絵、国内外での展覧会の開催など多彩な活動を続ける。1983年には『銀河鉄道の夜』で、ブラチスラヴァ国際絵本原画コンクール・金のりんご賞を受賞。ほかに紫綬褒章、勲四等朝日小綬章、日本児童文芸家協会児童文化功労者など、多数の叙勲、受賞歴がある。近著に『ぶどう酒びんのふしぎな旅』(講談社)がある。

太田 光(おおた ひかり)
1965年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。田中裕二と漫才コンビ「爆笑問題」で活躍。独特の切れ味の鋭いトークで人気を集めている。タレントとしの活動のほかにエッセイなども旺盛に発表、文化人としても注目されている。この絵本の原作「マボロシの鳥」が収録された小説集『マボロシの鳥』(新潮社刊)は、大きな話題をよび15万部を超えるベストセラーとなっている。本書は初めての絵本作品。
担当者のうちあけ話
藤城清治さんと太田光さんという、ちょっと意表をつく、豪華な組み合わせによる絵本が生まれました。が、この絵本、いろいろな意味で異例づくしです。まず新潮社から刊行されたベストセラー短編小説集の表題作を原作とする絵本が、講談社から刊行されたという点。ここには「すべて藤城先生がやりやすいように」という太田光さんの深い気持ちがあり、新潮社さんも「いっしょに『マボロシの鳥』を盛り上げていきましょう。」と快く了解してくださいました。また、この絵本の製作に打ち込む藤城清治さんの気迫も尋常ではありません。作中に登場するオリオン劇場の立体模型を自作し、作中人物のイメージをかためるために粘土で塑像を作り、下絵を重ね、という手間をかけつつ、今年87歳の藤城清治さんが「若い頃にもなかった」というハイペースで絵を完成されました。しかも、その絵のスケールの大きさとみごとさ! (ほろほろ鳥)ルーベンスの大作のような群衆。写楽の役者絵のような人物の表情。この製作期間中、東日本大震災が起こり、深いショックを受けつつも、製作の手を休めることはまったくなかったそうです。あとは多言を要しません。ただ、絵本をごらんになっていただければ、これがまさに奇跡的なコラボレーションであることを納得していただけると思います。(ほろほろ鳥)
関連図書
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『コックの ぼうしは しっている』
講談社の創作絵本
『コックの ぼうしは しっている』
◆シゲタサヤカ/作
◆読み聞かせ:3歳から ひとり読み:6歳から
食べもの/ユーモア/料理

内容紹介
町でいちばん人気のレストランで働く、店いちばんのウソつきコック。細かくつぶしたハーブをこっそり顔にぬり、「風邪を引いた!」などと言って、今日も首尾よく仮病を使います。ところが、いつものようにいすを並べ、ごろっと昼寝をしようとすると、「あたしゃ、この目で見ていたよ!」と、天から声が!? 街の人気レストランシリーズ、待望の最新作!
作者からのメッセージ
・作/シゲタサヤカさんからのメッセージ

メッセージ
著者紹介
シゲタ サヤカ
1979年生まれ。短大卒業後、印刷会社での勤務を経て、「パレットクラブスクール」などで絵本制作を学ぶ。第28〜30回講談社絵本新人賞で佳作を3年連続受賞する。2009年、第30回佳作受賞作『まないたに りょうりを あげないこと』で絵本作家デビュー。翌2010年には、第2作『りょうりを してはいけない なべ』を刊行。近作に、『キャベツが たべたいのです』(教育画劇)がある。
担当者のうちあけ話
2009年、『まないたに りょうりを あげないこと』で鮮烈デビューを果たし、2010年には『りょうりを してはいけない なべ』を刊行、予測不能なユーモアあふれる作品で人気を博しているシゲタサヤカさん。(弓引き童子)シリーズ第3弾は、なんと「ぼうし」の登場です! しかも今回は、今までと一味違う「ワル」な内容。ふてぶてしくて、ずる賢いコックの数々のウソは、下らなすぎて(失礼!)思わず笑ってしまうものばかり。「あたしゃねえ!」とどこかで聞いたことがあるような、ぼうしのオバサン口調も魅力です。読み聞かせでも大ウケ間違いなしのこの1冊、ぜひご覧ください!(弓引き童子)
関連図書
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『フィオーラとふこうのまじょ』
講談社の創作絵本
『フィオーラとふこうのまじょ』
◆たなか鮎子/作
◆読み聞かせ:5歳から ひとり読み:7歳から
家族

内容紹介
運命は、じぶんの力できりひらくもの!
幸運の星をぬすまれたフィオーラは、不運つづき。でも、このままでは大好きな家族のもとへいつまでたっても帰れない……そう思って不幸の魔女に立ち向かいます。
作者からのメッセージ
・作/たなか鮎子さんからのメッセージ

誰も「ふこう」にはなりたくありません。でも、残念ながらそれはどんな人の上にも、思いがけなく降りかかってくるものです。
そんな時、不幸から自分を救えるのは、自分しかいないのではないか、と思います。どんな状況になっても、逃げ出さずに自分と向き合い、心の中からおそれや不安を追い出すこと。それがしあわせへとつながっていく道なのではないかと思います。
最初このお話をイタリア民話で読んだ時、けなげなフィオーラに心を動かされて、ぜひ彼女の物語を作りたいと思いました。フィオーラの前向きさは、知らないうちにまわりの人をも幸せにみちびいていきます。
私が勇気をもらったように、この絵本で元気や勇気をもらえる人がいて下さったら、とても嬉しいことです。
著者紹介
たなか鮎子(たなか あゆこ)
1972年福岡生まれ。福島大学経済学部卒業。デザイン会社勤務を経て独立後、絵本作家、銅版画家として個展を中心に活動。2000年、ボローニャ国際児童図書展の絵本原画展入選。主な絵本に『星うさぎと月のふね』『ほたるになった天使』『マルーシカと12の月』(すべて文:かんのゆうこ)、『針つくりの花むこさん』(文:瀬戸内寂聴)(以上すべて講談社)、『かいぶつトロルのまほうのおしろ』(アリス館)、『碧空のかけら』(文:かんのゆうこ、英訳:大久保ひろし/エイト社)。装画に『1リットルの涙』(幻冬舎)、『数学ガール』(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
担当者のうちあけ話
こちらは、イタリアの民話をもとに、たなか鮎子さんが絵本に仕立てたお話です。民話独特の不思議な雰囲気に、(J)銅版画による幻想的な絵がぴったりマッチしています。この主人公のフィオーラは、家族思いで、不幸に暗いきもちになり、それでもがんばって幸運を勝ち取る。そんな現代的なスピリットが感じられます。子ども時代に読む魔女や魔物の話は、格別に印象深いものだと思いますが、このお話もそんな、子どもたちにとっての一冊となれますように。(J)
関連図書
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『アルノと サッカーボール』
世界の絵本
『アルノと サッカーボール』
◆イヴォンヌ・ヤハテンベルフ/作
◆野坂悦子/訳
◆対象年齢:幼児から
読み聞かせ

内容紹介
 アルノはパパからサッカーボールを買ってもらって、嬉しい反面、「大事にするのよ」とママに言われて、ちょっとビクビク。ピカピカのボールをもって外に出ると、当然のように「そのボールであそぼう」と、知らない子から誘われます。
初めてボールを地面に置く瞬間の気持ち、やがて試合にのめり込み、アルノがゴールを決め、試合終了。
 サッカーに熱中して、家に帰るのがすっかり遅くなってしまい、ママはぷんぷん。でも、そんなことどうだっていい、ぼくたちはいい試合をしたんだ、とアルノは満足だったのです、というお話。
訳者からのメッセージ
・訳/野坂悦子さんからのメッセージ

イヴォンヌさんの今度の絵本は、サッカーの国オランダらしいおはなし。パパからもらった「ほんもの」のサッカーボールを、アルノは使いたいような、使いたくないような、もやもやした気持ちです。いっしょにサッカーする友だちが、ひとりずつ増えて、しかたなくボールをけったときのアルノの顔といったら……。でも、そのあとみんなで試合に夢中になって、アルノは「ほんもの」の喜びを手に入れます。サッカーボールのおかげで!友だちの顔ぶれも、自分より小さい子、女の子、肌の黒い男の子と、マイノリティにさりげなく配慮しているところにも、オランダらしい優しさを感じる一冊です。
著者紹介
イヴォンヌ・ヤハテンベルフ(Yvonne Jagtenberg)
オランダ生まれ。アルネムの芸術学校を卒業後、作絵ともに手がけた『とくべつな いちにち』を2001年に発表、オランダの新人奨励賞であるシャーロット・ケーラー奨学金を受け、国際的な注目も集めた。日本では、『とくべつな いちにち』(2006年青少年読書感想文全国コンクールの課題図書小学校低学年の部)のほか『ぼくの ウサギ』『バロチェと くまのスノウト』『バロチェの なつやすみ』(いずれも講談社)が刊行されている。

野坂悦子(のざか えつこ)
東京生まれ。1985年にオランダに渡りフランスを経て1990年に帰国。『おじいちゃん わすれないよ』(金の星社)で、産経児童出版文化賞大賞を受賞。ヤハテンベルフの作品に加え、『ちいさな あかちゃん、こんにちは! 未熟児ってなあに』(講談社)、『かえるでよかった_マックス・ベルジュイスの生涯と仕事』(セーラー出版)などの翻訳作品がある。また、「紙芝居文化の会」海外企画推進委員としても活動をつづけている。
担当者のうちあけ話
 アルノはフクザツな少年です。ピカピカのサッカーボールを持ち歩いているのに、心の中は葛藤でいっぱい。そして、なぜ、そのボールを使えないか、まわりの子どもたちに説明することにも、ためらいがあります。めんどくさいしね。「(ボールをつかえないのは)サッカーするには、ゴールがいるもの」と、一気にはなしを単純化して代弁する女の子に、言わせておきます。
 そして、けっきょくは、ボールを使うことになるのですが、(チ)最後のおとしどころでは、ちゃんと自分で自分の気持ちに解決をつけたところが、エラかった、と思うのです。
 えーと、私が何を書いているか、まだこの絵本をお読みなっていない方はわからないと思いますが、お子さんに読み聞かせするとき、そのいっぽうで、こんな大人の深読みをしてみてください。(チ)
関連図書
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『これ もっていき』
講談社の創作絵本
『これ もっていき』
◆村上しい子/文
◆伊藤秀男/絵
◆対象年齢:5歳から
読み聞かせ/ユーモア/季節(夏)

内容紹介
「これ もっていき」と男の子に声をかけて登場する人(もの)たちと、どんどんエスカレートしていく「もっていくもの」が、読者をハラハラワクワクさせます。
真夏の畑や草むらや空が、伊藤秀男さんの素晴らしい色彩で表現され、主人公の男の子と一緒に夏の午後を一気に走り抜ける爽快感のある絵本です。
おかあさんにおつかいを頼まれ、やおやさんでトウモロコシを買っての帰り道。
「これ もっていき」と、いろいろな人に声をかけられます。
畑できゅうりを渡してくれた農家のおじちゃん。また少し行くと、庭先からトマトを渡してくれた近所のおばあちゃん。つぎに声をかけてきたのは、なんとお地蔵さま。その次は空の上から声がして……。
作者からのメッセージ
・文/村上しい子さんからのメッセージ

伊藤秀男さんの絵に初めて触れたのは、内田麟太郎さんの「うみのむにゃむにゃ」だったわけで、その時、とんでもなく圧倒されたのを今でも覚えています。
それからずっと、いつかは伊藤秀男さんの絵で絵本を、と思っていたのですが、残念ながら、それだけパワフルなテキストは書けないまま、時間だけが流れました。
さて、昨年6月、今住んでる家に引っ越しました。それまではずーっとアパート暮らしだったので、なんでもかんでも大家さんに頼っていたのが、全部自分でやらなくちゃなりません。
近所は田畑が広がり、先日は「猿が目撃されました」と町内放送がひびく、どっちかというと田舎です。
はじめて不燃物のゴミ出しの日。
町内会長さんをはじめ、みなさん親切で色々教えてもらいながら済ませることが出来ました。
そして帰り道、畑からおじさんが、にゅっと顔出し、「これもっていき」ときゅうりをくれました。そしてしばらく経って、ある日、畑からおばちゃんが、にゅっと顔出し、「これもっていき」と、まっ赤なトマトをくれました。
やっぱりこういう町は、情があっていいなあ、と思った私の頭の中に、突然、伊藤秀男さんの絵が飛び込んできました。
「これや! これならいける!」
あっという間にストーリーが浮かび、編集者の横川さんからも、すぐにいいお返事をもらいました。
作品の方は、伊藤秀男さんの中にある原風景と私の日常が「これもっていき」というキーワードでちょうどバランスよく結実したと思います。
そして、こんなにもダイナミックな形で絵本になったのは、伊藤秀男さんの力だと、ただ、ただ、うっとりするばかりです。
著者紹介
村上しいこ (むらかみ しいこ)
童話作家。『かめきちのおまかせ自由研究』(長谷川義史・絵)で日本児童文学者協会新人賞、『れいぞうこのなつやすみ』(長谷川義史・絵)でひろすけ童話賞を受賞。『とっておきの詩』(市居みか・絵)は青少年読書感想文コンクール課題図書に選定される。そのほかの作品に「ももいろ荘の福子さん」シリーズ(細川貂々・絵)、「幸福3丁目商店街」シリーズ(センガジン・絵)、『音楽室の日曜日』(田中六大・絵)、『ばいきん あたろー』(大島妙子・絵)などがある。三重県松阪市在住。
http://www.geocities.jp/m_shiiko/

伊藤秀男 (いとう ひでお)
画家・絵本作家。『夏の海』で小学館絵画賞、『けんかのきもち』(柴田愛子・文)で日本絵本大賞、『うしお』でJBBY賞・IBBY(国際児童図書評議会)オナーリストを受賞。そのほかの作品に『ぜっこう』(柴田愛子・文)、『よかったなあ、かあちゃん』(西本鶏介・文)、『ももたろう』(広松由希子・文)『さばうりどん』(長谷川摂子・文)などがある。愛知県名古屋市在住。
http://www1.odn.ne.jp/~aba83440/
担当者のうちあけ話
しい子さんの日常が生みだしたユーモアたっぷりの物語とリズミカルな文章。伊藤秀男さんが描く夏の草いきれや温度湿度が感じられる色彩豊かな絵。編集しながら何度も読み返しては、アハハ!と笑ったり、ページを繰る手ももどかしくハラハラしたり、ひとりで楽しんでいましたが、装丁会議の時、販売・宣伝ほか関係者の前で導入の読みきかせをしてみました。途中で「あとは読んでのお楽しみ!」としたところ、「もっと読んでー!」と全員からリクエスト。そう、途中でやめられない絵本なんです。「これ、もっていき」って、いったい誰から? 何を? 想天外な面白さです。(横)
関連図書
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新装版『ベンチが ひとつ』
講談社の創作絵本
新装版『ベンチが ひとつ』
◆竹下文子/作
◆鈴木まもる/絵
◆読み聞かせ:3歳ごろから ひとり読み:5歳ごろから
家族

内容紹介
公園の木の下に白いベンチがひとつ。
いつも公園をきれいにしているおじさん、朝早く散歩に訪れるおじいさん、小さな赤ちゃんを連れたお母さん、そして放課後の子どもたち……。なんの変哲もないけれど、そこを訪れる人々に小さな憩いと安らぎを届けているベンチの1日の様子を、静かに淡々と描きます。「小さいけれど確かな幸せ」がある喜びをしみじみと感じさせてくれる、名作絵本です。
作者からのメッセージ
・作/竹下文子さんからのメッセージ

 初版が1985年ですから、なんと26年ぶりの復刊!
 当時は結婚して5年目、夫と一緒に作る絵本はこれが3冊目でした。久しぶりに本棚から取り出して、「うわー、こんな絵本だったっけ?」と。ほんと、よく描いてあるなあ。いちばん多い場面では見開きに200人以上いるんですって。
 この絵本は、わたしがまず全体の文章を書いて、それから絵を描いてもらうことになったのですが、たしか最初はこういう設定ではなく、公園ももっと小さく、1日の風景を淡々と重ねただけの静かな絵本のつもりだった……ような気がします。しかし、考えていく過程で、描く人のアイデアもどんどん出てきて、いろんなものが具体的になったり、1シーンで描ききれないドラマがコマ割りになっていったり……。
 絵本をつくることのあらたな面白さに気づいたのも、「絵本だからこそできること」を深く考えるようになったのも、ここからでした。

・絵/鈴木まもるさんからのメッセージ

早朝の朝もやの空気、都会のビルの間から顔を出した太陽の光、小鳥やねこ、犬、子どもたちの声。夕立のにおい。車や、いろいろな人達の会話などの混ざった町の音……。最後の夜の街灯の場面まで、26年前の描いていた時のことを思い出しました。
「つえを ついて ゆっくり。いそがないで ゆっくり。」そんなことばに合うよう、コマ絵を考えたこと。ひとりひとりの生活を考えながら、たくさんの人の行動を描いたこと。でも、いちばん思い出したのは、自分の子どもをひざに乗せて、この絵本を読んでいる時の、子どもの重さや、髪の毛やほっぺたのやわらかさでした。
最近、おおぜいの子どもを相手にした読み聞かせが流行っているそうです。それはそれでいいけど、子どもをひざにのせて細かい絵を見たり、ゆっくり言葉の世界にはいっていける絵本が、ぼくは好きです。そんなふうに読んでもらえたら嬉しいです。
著者紹介
竹下文子(たけした ふみこ)
1957年、福岡県に生まれる。東京学芸大学在学中に『星とトランペット』(講談社/野間児童文芸推奨作品賞)でデビュー。おもな著者に「黒ねこサンゴロウ」シリーズ(偕成社)「ドルフィン・エクスプレス」シリーズ(岩崎書店)『ポロポロゆうびん』(あかね書房)『旅するウサギ』(小峰書店)などがある。夫・鈴木まもる氏との共作絵本に『ピン・ポン・バス』(偕成社)『おすしのせかいりょこう』(金の星社)『ちいさいいすのはなし』(ハッピーオウル社)『ちょうどいいよ』(佼成出版社)など多数。

鈴木まもる(すずき まもる)
1952年、東京に生まれる。東京芸術大学中退。「黒ねこサンゴロウ」シリーズ(偕成社)で赤い鳥さし絵賞を、『ぼくの鳥の巣絵日記』(偕成社)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。おもな絵本に『みんなで! どうろこうじ』(偕成社)『せんろはつづく』(金の星社)『だんろのまえで』(教育画劇)『みんなあかちゃんだった』『あかちゃんたいそう』(小峰書店)など。また、鳥の巣研究家として、『鳥の巣いろいろ』『ふしぎな鳥の巣』『鳥の巣ものがたり』『日本の鳥の巣図鑑 全259』(偕成社)『鳥の巣の本』『世界の鳥の巣の本』『鳥の巣のうた』(岩崎書店)『鳥の巣みつけた』『鳥の巣研究ノート』(あすなろ書房)などの著書があり、全国で鳥の巣展覧会を開催している。
公式HP〈鳥の巣研究所〉 http://www.i-younet.ne.jp/~basaract/
担当者のうちあけ話
 「『ベンチがひとつ』をもう一度本屋さんに置ける状態にしてほしい」絵本コーディネーターのさわださちこさんほか、いろいろな方からお願いされていました。丁寧で心のこもったあたたかい絵と、シンプルで無駄がなく、美しい文章。何回も読み返したくなるこの絵本を、ぜひもう一度世に送り出したいと……。新装版の刊行が決まり、「うれいしいです」というメッセージもたくさんいただきました。
 今回この絵本を読んで、いつも変わらずにいてくれるもののありがたさを思いました。いつ訪ねていってもあたたかく迎えてくれるおじいちゃんやおばあちゃん、ふるさとに帰ったときに訪れる小学校のグラウンドや鉄棒……、自分が変わっても、変わらずにいてくれるものが、(K)どんなに心の支えになるか……。このベンチもきっとそうだと思いました。きっと自分が年を経て、そういうものを失う機会が増えたせいなのでしょう。
 丹念に描かれた絵を読むおもしろさと同時に、読むたびにいろいろなことに気づかせてくれる絵本です。ぜひ一度ご覧ください。(K)
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