・ 作/西村敏雄さんからのメッセージ
「いもほりのこと」
僕が芋掘りで思い出すのは、子供たちが小さかったころ、
千葉県の体験農園でさつまいも堀りをやったことです。
広い畑に、さつまいもの蔓と葉っぱが元気いっぱい伸びていているのを見ると、
「さあ いもをほるぞ!」と言う気持ちにさせてくれます。
体験農園では、係のおじさんが芋の掘り方を親切に教えてくれるので
だれでもすぐに芋が掘れるようになります。
掘れた芋はお店で売っているような、まっすぐできれいな形の芋だけでなく、
曲がっていたり、くびれていたり、いろんな形の芋がたくさん掘れました。
子供たちは変わった形の芋が掘れると歓声を上げて自慢そうに見せてくれました。
僕も一緒になって大きくて変わった形の芋を探して掘りました。
子供たちが「おとうさん すごいね!」といって感心してくれるとうれしくなって
また、大きくて変わった形の芋はないか探しました。
普段子供たちと一緒に土をいじる機会はなかなかありませんが、このときは汚れても
いい格好をして行ったので、泥んこになることを気にせず夢中になって掘りました。
芋掘りの楽しみは大きな芋が掘れた時のワクワク感もいいのですが、それと同時に土を
手で触っている時の心地よい解放感がたまりません。
また、芋掘りに行こうかな。
西村敏雄
いもほりは、幼稚園、保育園の秋の定番行事。わが家の子豚たちも、保育園時代はとても楽しみにしていました。子どもたちをわくわくさせるのは、園に帰ってからの焼いもと、ひとり1本のお土産、そして、なんといっても泥だらけの服! もう〜上から下まで(いや、下着まで)泥だらけだったのを憶えています。
今回、いもほりテーマの絵本を西村敏雄さんにお願いするに当たり、そんな第一次欲求的面白さが出るといいなあ、
と思っていたので、それはもう、まんまとその通りになったのでした。
お芋はこういうふうについている、とか、葉っぱはかわいいハート形、とか、理科的な要素もさりげなく押さえつつ、さいごはやっぱりこれでしょう、という落とし込み! 今ノリノリの人気作家・西村敏雄さんの、実は講談社絵本デビュー作となります。(チ)