第33回講談社絵本新人賞受賞 
定岡フミヤの制作日記
第2回「不審者ではなく受賞者です」

あけましておめでとうございます。
みなさま、ラフ詣……じゃなかった、初詣には行きましたか?
食べ過ぎの正月明けには、やっぱり七草ラフ……じゃなかった、七草粥ですよね。
そんなわけで、ラフのことで頭がいっぱいでした。

クリスマス前に、“ラフの再修正”との連絡がきました。
私「えーーー…………(絶句)」
担当さん「え、ほんとに最後の詰めですよ? そ~んなにガックリきますか?」
私「はは……そうですよね(いやいや、このページに最初から一番苦労してるんですって……)」

もはや一刻の猶予も許されず、考えに考え抜き、なんとか年内に「これしかない」と思えるラフを出したのですが、正式な返答は年明けへ持ち越しとなってしまいました。
そして先日、待ちに待った「ラフOK」が出たのです。
(ちなみに苦労したこの場面は、本になった時の8~9Pに該当します)

こうして「本描き」に入ることができたわけですが、まだまだテキストは説明くさいので修正が必要とのこと。
絵本的な文章力を身に付けようと、毎週欠かさず図書館へ通っては、ご覧のように大量の絵本を借りて来るのですが……、あ、マツコデラックスの本も混じってます。けど、とにかく夜な夜な声に出して読んでいます。(マツコの本は黙読です)

定岡さんの努力の証。
しかし、なぜマツコ?(担当より)

時は少し遡りますが、二度目の講談社における打ち合せも、テキストに関するものでした。
くどい表現は見直し、無駄な言葉をひたすら削ぎ落とした結果、文章が3分の2に減りスッキリ! 
思い切って数行削除した箇所もあったのですが、それでも問題なくストーリーが成立するので、いかに無駄が多かったかを痛感します。
打ち合わせの後は、講談社近くで晩御飯をご馳走になりました。
デビュー前なのに大変恐縮です……。
担当さんは「まだ仕事が残ってるんですよ~」と、せわしなく講談社へ戻っていきました。
夜遅くまで、編集者という仕事は本当に大変そうです……あれ? さっきジョッキ生2杯飲んでませんでしたか?

摩天楼のような講談社を見上げながら、ほんとに出版に向けて動いてるんだなぁ……と。
ちょうど一年前は、「絶対に新人賞を獲るんだ」と原画に取りかかった頃でした。
人それぞれ、いろいろあると思いますが、負けるもんかという気持ちこそが一番の原動力である、とマツコが言ってます。
今年応募される皆様、頑張ってくださいね。新人賞を獲ると、楽しいですよ。

最近の悩みは、警備員だらけの講談社のロビーを「怪しいもんじゃありませんよ、入館バッジ付けてますよ」とアピールしながら歩くと、かえって挙動不審になってしまうこと。

それでは、本描きを頑張ります!
(続く)

「摩天楼」こと講談社ビル

定岡フミヤ(さだおか ふみや)

1979年生まれ。立命館大学卒業。絵本ワークショップ「あとさき塾」出身。
本作品で、第33回講談社絵本新人賞受賞。

講談社の創作絵本
『シールのかくれんぼ』 定岡フミヤ/作

おもちゃ箱の中から、使っていないシールを見つけたなおきくん。お母さんに止められていたのにも関わらず、思わず壁にシールを貼ってしまいます。楽しくなったなおきくんが、ついつい全てのシールを貼ってしまったまさにそのとき、「なおちゃーん」とお母さんがやってきます。我に返ったなおきくんは、大慌てで壁に貼りつき、必死でシールを隠そうとするのですが……!? 第33回講談社絵本新人賞受賞作品。

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