第37回講談社絵本新人賞受賞 
ひろた だいさく・ひろた みどりの制作日記
第2回「切ったり塗ったり」

こんにちは。
世間では雪が積もったり、4月並の気温だったりと、おかしなことになっていますが、私たちの環境には何も変化はなく、ただ絵を描き進めている状態です。
あれから1か月になりますが、今は作業ペースを波に乗せようと奮闘しているところです。
なんとか絵は描き出せたのですが、いろいろ決めなくてはならないことが多くて、それに時間を費やしています。

まず、応募したときとは変更した所がいくつかあったので、その配色から始めました。
色を決めるときは、画用紙を人や物の形に切り抜いて、実際に描きあがった背景の中に置いてみます。
こうすることで何パターンも色の組み合わせを試すことができます。
このあたりの作業はパソコン等を使えばもっと早いと思いますが、これはこれで、切ったり塗ったりの作業が楽しいのです。
(間に合いません! とか言いながらこんなことやってます……)

屋内の配色はどうしても似た色が多くなるので、いつも苦労します。
家具や柱などは色味を変えたり、輪郭線を際立たせたりして工夫する必要がありました。
部屋が暗くならないように、壁や畳などの明度も少しずつ調整していきます。
派手なものよりも、地味な部分の色合いの方が案外手間です。

応募時の作品と大きく変わった所といえば、屋外のシーンを公園から庭に変えたことです。
屋外は木や花などの植物を多く描くことになるのですが、下書きの段階ではそれらをたくさん描いたつもりが、色をつけると途端に物足りなく感じてしまうことがよくあります。
一度塗ってみないと分かりにくいところなので、あとからボリュームを足すことも多いです。
庭の装飾はやり過ぎても不自然になるのですが、基本的には明るい賑やかな色調を目指します。
その方が、見ていて嬉しいですしね。

登場人物の「ひなちゃん」の洋服のデザインも、どの角度から見ても可愛いらしく見えるものに変更しました。
実は応募したときから少し気になっていたのですが、私がずっと不満そうにしていたら、みどりさんが変えてくれました。
初期のイメージが「水兵さん」だったので、その名残りがあります。

(試行錯誤しているのがよくわかります。担当もまだnewひなちゃんを見ていないので、楽しみです!)

他にも、この先試してみなければならないことが、まだまだ残っています。
期限というものがなければ、どんなに良いだろうと思うこともありますが、それがないと今度はいつまでも直し続けてしまう気がするので、やはり期限は必要です。
絵本の直しをしていると、たまにどこまで直したらいいのか分からなくなることがあります。
追求して改善することもあるし、結局徒労に終わることもあります。
ですが、どちらにせよ一度は追求してみないと答えはでません。

「ピカゴロウ」のラフを作るときに、担当さんから一番最初に相談されたのが「見開きを増やそう」ということでした。
「見開き」というのは、本を開いた時、左右のページをめいっぱい使って一枚の大きな絵を描くことをいいます。
これが増えると迫力が出てより絵本らしくなるのですが、見開きを増やすということは絵の数を減らすということになり、このときに使えない絵やテキストが出てきます。
私の印象では、絵本のページ数というのは本当に絶妙で、余計なことをちょっと入れようとすると、ほんとうにちょっとだけ足りないようにできています。
決してゆとりのある枚数ではないので、話の説明に必要なコマを割り振ると、余計な表現をする余地はほとんど残りません。
でもその「余地」の部分こそ、絵本に愛着をもってもらうには必要な部分だと思っています。
物語に必要なことだけを詰め込むのではなくて、感情表現を豊かにすることで、子どもに愛着をもってもらえるようになるのだと思います。

「ピカゴロウ」は、子どもが自分から声を出したくなるような絵本になればといいと思って作りました。おかあさんといっしょに声を合わせて読めるような仕掛けもあるので、楽しみにしていてください。
この日記が公開される頃には、もうきっと温かくなり始めているのでしょう。
毎日寒いので待ち遠しいです。
それではまた。

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