第37回講談社絵本新人賞受賞 
ひろた だいさく・ひろた みどりの制作日記
第6回(最終回)「くもがきた!」

こんにちは。
絵を担当しているひろたみどりです。

絵本は担当さんの驚異的な段取りの良さで、何とか予定通りに出版することができました。
「ピカゴロウ」はかみなりさまのお話なので、梅雨の時期には発売したいということだったのですが、絵がなかなかできあがらず、担当さんもやきもきされたと思います。
それでも作画にめいっぱい時間を割いてもらったので、思い残すことなく絵を描くことができました。

制作は5月の中ごろから、色校の作業をする為、たびたび講談社に足を運ぶことになりました。
講談社の幼児図書フロアのテーブルで、印刷所から送られてきた色校と原画を見比べていたのですが、その最中に絵本作家ののぶみさんが通りかかって、絵本を見て下さるという幸運にも恵まれました。

実はその前に、一階のロビーでお会いしてご挨拶はしていたのですが、まさか絵を見てもらえるなんて想像もしていなかったので、嬉しかったですね。
のぶみさんはとても気さくな方で、メモ帳に私たちの似顔絵を描いて下さって、言葉も添えて下さいました。
そんなご褒美もありながら、色校の確認を終えて、ようやく絵本が私たちの手元から離れていきました。

色校は最後のお仕事なので、終わると見本が自宅に送られてきます。
届いた本の包みをそわそわしながら開けたのですが、なんというか、複雑な気持ちでした。
喜びのあまり飛び上がると思っていたのに、ページをめくっても、そこには、もう毎日毎日、穴があくほどにらめっこしてきた絵が並んでいるばかりで、特別なきもちは湧き上がりませんでした。

でもそれは、しばらくしてから、ちゃんと訪れました。絵本が本屋さんに並び、母が電話をかけてきてくれたときのことです。
電話の向こう、母の声よりもっと遠くの方から。
できたばかりの絵本を読んでもらっている甥っ子や姪っ子たちの笑い声が聞こえてきました。そのとき突然、嬉しさがこみ上げてきて、目頭が熱くなりました。
一生懸命作って、ほんとうによかったと思いました。

6月は新人賞の応募の締め切りがありますね。
新人賞をとると絵本を出版することができますが、私たちにとって本を出すことよりも、一冊を最後まで作り上げる意気込みや熱量を体験できたことが大きかった気がします。
そしてなにより、担当さんが作品に真剣に向き合ってくれたことがうれしかったです。
担当さん、お疲れ様でした。

梅雨がきて、ピカゴロウもやっとみなさんのもとに向かえたと思います。
制作日記は今回で最終回になります。
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

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