第40回講談社絵本新人賞受賞
近藤未奈の制作日記
第4回「『原画』から『絵本』へ」

こんにちは。今回は表紙制作について書きたいと思います。

前回の日記で「だいたいの構想は出来ている」なんて書きましたが、そうすんなりと案が通るはずもなく、一から新しい案を考える事になり、装丁を手がけて下さるデザイナーの田中久子さんとOさんと3人で打ち合わせを行いました。

やはり大事な表紙ということもあって、かなり手こずってしまいました。
短期間で描かなくてはならず、手当たり次第ラフを出してはボツになるということが続きました。
題名が入るバランスだとか、人物の大きさだとか、何が入りすぎて何が足りないという風に考えがまとまらなくなり、中心に来るものが定まらないのでどこにもピントが合わない絵になってしまうということを繰り返しました。やっとこの方向で・・となった時には、今度は私自身が納得がいかず、考える時間をもう少し頂く事に・・・。

時間がないという焦りも、追い込まれた状況になるとどこかへ飛んでいき、散々ボヤけた絵を描き続けたせいか、だんだん必要なもの、不必要なものの区別がつくようになってきました。
「夜空はこのくらい入った方がいい」とか、途中でOさんから頂いた助言をイメージ出来ずにいたのですが、落ち着いて詰めていくと「なるほど、こういうことか!」と理解出来るようになり、最終的には自然なかたちで収まるべきところに辿り着けたのでした。限られた時間の中で、考える時間を作って下さり、辛抱強く待って下さった田中さんとOさんには感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございました。

表紙全体については、裏表紙まで繫がった一続きの絵にするか、表と裏で分けるかということでも悩みましたが、裏に配置したい絵が良い感じに描けたので、それが採用されることになりました。
表の絵だけを描いていた時は「表紙」のことばかり考えていましたが、裏表紙の絵を描いていて「本」という形になることを大きく意識しました。この絵が本のこの場所にあったらいいな、そうしたら絵本がとても愛しくなるな、と思ったのです。背表紙や、表紙の端を内側に折り込んだ袖と呼ばれる部分に置くカットを描いている時も、絵本に対する愛着がどんどん増してきて、この絵本を読んでくれる人もそうであったら嬉しいな、絵を見つけて喜んでくれたらいいな、という気持ちでいっぱいになりました。

表紙を描くことと絵本の形にしていく工程は、今まで原画を仕上げるところまでで終わっていた私にとって未知の領域でした。当たり前の話ですが、物語があって、絵があって、というだけが絵本作りではないのですね。
本という形にしていくことこそ絵本を作る楽しさなのだと、ここまで来て初めて分かりました。 

表紙制作の途中で届いた、用紙を選ぶためのテスト校正。いよいよ、という感じがしてワクワクします!

デザイナーの田中さんに作って頂いた題名の文字を、立体的になるように着色しました。



次回は校正の様子などお伝えしたいと思います。それではまた。

講談社 絵本新人賞 募集要項 講談社 絵本新人賞 経過と報告 講談社 絵本新人賞 Q&A 講談社 絵本新人賞 既刊

おすすめの絵本

  • おおきくなったら きみはなんになる?

    おおきくなったら きみはなんになる?

    藤本ともひこ/文 村上康成/絵

    保育園アドバイザー歴17年の絵本作家・藤本ともひこさんが、
    毎年、卒園式で子どもたちに語りかけてきた言葉が絵本になりました。

    卒園・卒業というたいせつな時期の子どもたちへ送る、応援歌(エール)です。
    保育士さんからも絶賛の声が続々寄せられています。

  • しょうがっこうへ いこう

    しょうがっこうへ いこう

    斉藤 洋/作 田中六大/絵

    『しょうがっこうへ いこう』は新1年生向けの「遊んで学べる小学校ハウツー本」です。
    幼稚園と小学校の違いから始まる本作は、通学の仕方から、朝礼、国語や算数や体育やその他の授業、給食、お昼休み、保健室の使い方、下校まで、小学校1年生が普段行う1日の学校生活を絵本で紹介しています。

  • いちねんせいに なったから!

    いちねんせいに なったから!

    くすのきしげのり/作 田中六大/絵

    待ちに待った小学校の入学式の日、りゅうたろうくんは、「ともだちひゃくにんできるかな」と期待に胸をふくらませながら、小学校の門をくぐりました。
    そして、「どうすれば、ともだちひゃくにんできるかなあ」と考えているうちに、想像はどんどんふくらみ……。

  • ことりようちえんのいちねんかん

    ことりようちえんのいちねんかん

    文:たかてら かよ 絵:鴨下 潤

    あやちゃんは、もうすぐ幼稚園に行きます。幼稚園って、どんなことをするのかな?
    緊張の入園式、初めてのお弁当、遠足、プール、運動会に雪遊び……。幼稚園の1年間は楽しいことがいっぱい! あやちゃんが過ごす「ことりようちえん」の1年間を描きます。

  • バーバパパのがっこう

    バーバパパのがっこう

    著:A・チゾン 著:T・テイラ- 訳:山下 明生

    こんな学校あったらいいね、バーバパパ!
    子どもたちは勉強ぎらいで、学校も好きじゃありません。そこでバーバパパがゆかいな学校をつくり、楽しい授業をはじめます。おかげで、みんな学校が大好きになります。

講談社新人賞 既刊

講談社絵本新人賞 既刊一覧を見る