第40回講談社絵本新人賞受賞 
近藤未奈の制作日記
第5回「印刷が示してくれたこと」

こんにちは。家にこもりきりの生活からやっと解放され、外に出て新緑や花々を見て喜びつつも、あと少しで完成するんだ・・・と、ちょっと寂しいような、しみじみしてしまうこの頃です。



手描きの作業がすべて終わって無事に入稿し、色校正がでてきました。印刷された校正紙を原画に照らし合わせて確認していきます。紙選びのための事前のテスト校正の時点で、とても綺麗に印刷して頂けていましたが、本番の初校では、さらに原画に近づいた印刷になっていました。

それでも、よく見ていくと、原画とのずれはやはりあって、色が沈みがちなオレンジ色をもう少し明るく、とか、肌の色をもう少し明るく、とか、色調をひとつひとつチェックしていきます。また、色鉛筆の表現が淡いこともあって、人物が背景に埋もれてしまわないように、人物を浮き立たせるような指示をお願いしました。

ほかにも、汚れや、色がはみ出た部分などをチェックします。消しゴムで消したつもりの箇所が完全に消しきれていなかったり、原画ではあまり目立たなかった色鉛筆の汚れも、印刷では鮮明に出てしまったりするので、それらを取り除いて頂くようにしました。印刷所の方には申し訳ないと思いつつ、色々と要望が出てきてしまいます。

左側は修正前の色。右側が人物を浮き立たせるように調整した後の色。




こうやって見ていくと、そもそもの絵の描き方、見せ方の未熟さがどんどん明確になってくるのですが、絵本の原画を描く時に自分がどういう描き方をすれば良いのか、ということが分かってとても面白いです。そこをしっかり意識してコントロール出来れば、必然的に絵にメリハリがついて、表現の幅がぐっと広がると思います。

一方で、色校正の作業は、コントラストや微妙な色の調子を判断していくのがなかなか難しく、再校の時に、前回の色の出方の方が良かったのかも?という迷いが生じてしまう事も・・・。
色々と反省することが多い作業でしたが、こればかりは数をこなしていくしかありません。印刷された状態を想定して原画が描けることが一番の理想ですが、まだまだ印刷について掴みきれていないので、経験を重ねてその都度やり方を探っていこうと思います。



印刷物の、印刷されることで出る原画とは違う雰囲気というのがとても好きです。美術大学では版画を専攻していたのですが、版画を刷って、刷られた紙を版から離してめくり上げる時のワクワク感と、原画から印刷物に変わる時のワクワク感が少し似ている気がします。版画の版を作っている時に刷られた作品を見ることが楽しみだったように、後に待っている喜びを想像しながら絵を描いていきたいです。



今月は今年の新人賞の締め切りがありますね。昨年の、作品を提出し終えた後の抜け殻状態を思い出します。どうか、応募される皆様の作品に込められた想いが届きますように!


次回は遂に最終回です。私もあと少し、最後まで頑張ります。それではまた。

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