第12回
こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。
今年の梅雨は、なんとなくいつもより雨の日が多かったような気がしますね。
「えほんやさん」でも、私の絵本『あめふりさんぽ』がよく出ていました。
【7月の「えほんやさん」】
5・6月はお客様が少なかったのですが、最近は、お孫さんへのプレゼントをお求めの方が多くいらっしゃいます。
クリスマスやお正月といった、おおきな行事があるわけではないのに、意外な動き…。
「えほんやさん」は小さなお店なので、店員との距離が近く、本選びに迷った方がすぐに声をかけてくださいます。
たまに私も一緒に選ばせていただくのですが、お客様が思い描くイメージ(雰囲気や文字の多さ、テーマなど)に沿う絵本を紹介するって難しいなぁ…と、毎回ドキドキしています。
でも、会話をしていくうちに、お子様やお孫さんの様子が透けて見えてきて
「こんな本だったら好きかもなぁ」とか「この本が読めるならこういうのも良いかも」と自分の知識を総動員してお勧めし、お客様の反応が良かったときは、とっても爽快です。
逆に、オススメしたものがイメージしていたものを違う…という反応の場合、結構長い間ひきずります。
でも、勉強不足だと反省して、まだまだ触れてない絵本にたくさん出会って知識を深めていきたいです。
目の前で絵本を選んでくれる様子が見られるというのは、作り手としても勉強になります。
「こういうイメージの絵本があったらお勧めできるのに…ないかなぁ」とか
「こんなテーマの絵本ってよく考えたら無いかも!」という発見があったり。
私が何者なのか、知らないでお店にいらっしゃったお客様とのやりとりの中から学びがあったりして面白いです。
反対に、少し気になる点もあります。
お誕生日や進学、クリスマスプレゼントに絵本を選ばれる際、命のたいせつさや病気をテーマにしたものなどは、なかなか選ばれにくく、明るくて幸せで、少し知育要素があって……というような絵本が選ばれることが多いです。
「絵本はおじいちゃんやおばあちゃんからのプレゼントしか持っていない」
というご家庭が少なくないと聞いたことがあるのですが、避けられがちな「病気」や「死」というテーマにも、絵本を通して体験して欲しいのだけどなぁ…プレゼントの絵本だけでは偏るのではないかな…
と、心配になることがあります。
最近は、幼稚園や保育園で、読み聞かせをしない先生が多くなってるという噂も耳にします。
さらに、図書館に行く習慣も無かったりしたら、自分の意志で絵本と出会うことができない小さな子たちは、どこで絵本と出会ったらいいのだろう。
そもそも、絵本って限られた人しか触れられないものなのかもしれない…と、いろいろ考えてしまいます。
具体的にどうしたらいいのか、暗中模索な日々です。
【お父さんと絵本】
うちでは、毎日娘が寝る前に絵本を読んでいます。
時間が遅くなったからといって、絵本を省略すると、なかなか寝付けなかったりするので、1冊でも読んであげると、安心するのかすぐに眠りに落ちてくれます。
寝かしつけは夫がメインでやってくれているので、絵本は夫が読むことのほうが多いです。
先日、男性2人がお店にいらっしゃいました。
A「え?赤ちゃんって言葉もわかってないのに、絵本を読んであげるの?」
B「いや、わかってなくても読むんだよ」
A「絵本なんて買ったことない!」
・・・私は絶句。
でも、そういう方、多いのだろうなぁ。
男性が絵本なんてと思うのかしら。
「えほんやさん」でも、おじいちゃんがポツンと外で待っていたり興味なさそうに店内をうろうろしていたり、という様子がよくうかがえます。
でも絵本こそ、年齢を超えてお話しできる媒体だと思います。
テレビは一方的だけど、絵本は待ってくれる。
ひとりひとりのペースに合わせて進めることができるコミュニケーションツールのひとつだと思っています。
ぜひ、お父さんやおじいちゃんにもこの楽しさを味わってほしいなぁ。
ちなみに、さきほどの男性Aさんは、絵本に関心を持ってくれたらしく、「だるまさん」シリーズ3冊と『いちご』と『はるかぜさんぽ』と『あなたのことがだいすき』の6冊をご購入されました。
太っ腹!
【原画展開催中!】
《えがしらみちこ絵本原画展『あのね あのね』(あかね書房)》
会期:2019年7月26日(金)〜8月21日(水)(火曜定休)
時間:10:00~17:30(木曜のみ15:30クローズ)
【これから予定の原画展】
◆8月23日(金)〜9月23日(月)
『にっぽんいいものみてみて大会』(きたがわめぐみ/理論社)
◆9月25日(水)〜11月20日(水)予定
『きょうもうれしい』(えがしらみちこ/理論社)
◆11月22日(金)〜12月18日(水)
『くるみのなかには』(たかおゆうこ/講談社)