子育て相談
モンテッソーリで考えよう!

回答:田中昌子



第1回


▶4歳の子どもがすぐに癇癪を起こします。どうしたらいいでしょうか?


Q:
4歳2か月の男の子です。すぐに癇癪(かんしゃく)を起こして物を投げたり、床の上で激しく暴れて泣き続けたりします。友達を叩いたり、自分の頭を壁や床に打ちつけたりすることもあります。どう対応したらいいでしょうか。


A:
4歳過ぎると体も大きくなり、力も強くなってきますから、親御さんも対処にほとほと困ってしまいますね。1~2歳ならともかく、4歳にもなってと、余計に腹立たしくなるでしょう。よくわかります。


では、なぜ子どもはそんな行動を取るのでしょうか。


モンテッソーリは、大人にとって困った行動を取り続ける子どもは、心が満足していない状態にある、と考えていました。これを「精神的な飢え」と呼んでいます。子ども自身も、とても苦しんでいるというのです。


そんな状態のときに、大人が「物を投げないで!」「お友達を叩いちゃダメ!」と叫んで、無理にやめさせても、真の解決には至りません。




▶子どもの気持ちを受け止めてあげる


では、どうしたらいいのでしょうか。


まずは「そう、わかった」と、子どもの気持ちを受け止めます。このひとことが大切です。同時にぎゅっと抱きしめてあげるなど、スキンシップもしてみましょう。


子どもが小さい頃は、たくさんスキンシップをしていたと思います。でも、3歳を過ぎると急に減ってしまうもの。そのため、3歳から6歳の「幼児後期」※の子どもたちは、寂しい想いをしていることがあります。もしも下に弟や妹がいるならば、なおさらです。


ですから、まずは、「○○君(ちゃん)は、これがいやだったのね。」と主語を明確にして気持ちを代弁してあげましょう。幼児は、自分の想いをうまく言葉で表現できないことがあり、自分でも腹立たしくなっていることがあるからです。


子どもの気持ちをしっかり受け止めてから、「今度から、こうしてほしいと言葉で伝えてくれると、お母さんはよくわかって嬉しいな」と伝えてみましょう。


3歳以降は論理的な思考が少しずつ育つ時期ですし、相手に共感することもだんだんできるようになります。すぐにはうまくいかなくても、時間をかけて向き合うことが大切です。


ただし、これはあくまでも対症療法に過ぎません。「精神的な飢え」を満足させ、心を育てる方法をモンテッソーリに学びましょう




▶手を使う作業を


お勧めしたいのは、手を使う作業です。といっても、難しい内容ではありません。


たとえば、子どもは母親と一緒に家事をすることが大好きです。「ごっこ遊び」ではなく、本物を使うことに魅力を感じています。実際、モンテッソーリ教育では、1歳児から、本当の家事に参加させています。でも、いきなり包丁を持たせるなんて無理、と思われることでしょう。


玉ねぎの皮むき 1歳3ヶ月女児

バナナを切る 2歳5ヶ月男児

最初はバターナイフで、バナナや、ゆでた人参を切ることから始めます。少しずつステップアップしていけば、4~5歳には一人でメニューをこなすくらいになります。

お米とぎ 4歳児

お好み焼きを焼く 4歳9ヶ月

ポイントは、おもちゃではない本物、でも子どもが使いやすい、小さなサイズの道具を揃えることです。魅力的にみえるよう環境をしっかり整えると、子どもは意欲的になります。


モンテッソーリ教育では子どもの活動を「お仕事」と呼びますが、子どもたちは本当にお仕事が大好きで、報酬を求めず、真剣に集中して取り組みます。まずは危険がないことから、少しずつでもさせてみて下さい


具体的な取り入れ方や準備などは、私が監修した『こどもせいかつ百科』(講談社刊)にたくさんの事例がイラストで載っていますので、ご覧ください。

『親子で楽しんで、驚くほど身につく! こどもせいかつ百科』


こうしたお仕事をすることで、手は物を投げたり、お友達を叩いたりするためにあるのではなく、役に立つことや人に喜ばれることをするためにあることを、子どもは学んでいくのです



▶強制はしない


力がありあまっているようでしたら、細かい作業よりも全身を使ったお仕事がおすすめです。大きな窓を磨く、長い廊下を雑巾がけする、少し重い物を移動する、穴を掘るなどです。


すぐ終わってしまうものではなく、ある程度長い時間がかる内容の方が集中して取り組み、達成感があります


そして、どのお仕事も準備を整えてやり方を伝えたら、強制するのではなく、「やってみる?」と誘いかけてみましょう


幼児後期までこうした経験がない子どもは、最初はめんどくさがったり、うまくいかなくて投げ出したりすることも少なくありません。


しかし、繰り返すうちに、あるとき一心不乱に取り組むことがあります。そうしたら何があっても見守りましょう。褒めたり口出ししたりすると、集中を邪魔してしまいます。


そのうちに子どもは満足して自分からやめます。そのときこそ心が育ち、あの困っていた状態が、不思議と消え失せてしまうものです。穏やかで落ち着いた子どもが現れてくることでしょう。


子どもはテレビやパソコンといった平面やバーチャルの世界ではなく、具体の世界で手と五感を十分に使う実体験によって、自分の心を自分で育てていくのです。ぜひご一緒に家事を楽しむことから始めてみて下さいね。
  


※モンテッソーリ教育では、0歳から3歳を幼児前期、3歳から6歳を幼児後期と位置づけています。『幼児期には2度チャンスがある』(相良敦子著 講談社刊)を参考になさって下さい。

『幼児期には2度チャンスがある』





田中 昌子
上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師要請通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年より、日本全国及び海外から参加可能なIT勉強会「てんしのおうち」主宰。モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所(AHL)所長。著書に、『親子で楽しんで、驚くほど身につく! こどもせいかつ百科』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫 モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)がある。 






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    おふろのなかで、まるでうみのなかをさがすように、絵本のなかから、にじうおやなかまたちを見つけよう!

  • ゆっくり おやすみ にじいろの さかな

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