にじいろのさかなの部屋

マーカス・フィスターさんインタビュー2008年04月25日(金)

——小さいころ、本を読むことが好きでしたか?
小さいころに、たくさんの絵本を読んだ記憶はありません。ただ、もう少し大きくなってからは、ありとあらゆる子どもむけの本をよみました。とくにジュール・ベルヌ(Jules Verne)とか、ジャック・ロンドン(Jack London)のような冒険ものの本が好きでした。

——子どもの本でいちばんお好きな本は何ですか
尊敬する子どもの本の作家はたくさんいます。レオ・レオニ(Leo Lionni)の描く物語は、単純だけど深みがあります。それからヤーノッシュ(Janosch)とか、ヘルメ・ハイネ(Helme Heine)の個性的で斬新な絵。イヴァン・ガンチェフ(Ivan Gantschev)のアクリル画のテクニックだとか。

——あなたは、どういうときに、ひらめきを感じますか? たとえば『にじいろの さかな』などは、どのようにインスピレーションを受けられたのでしょうか?
『にじいろの さかな』の物語については、そのとき1歳と4歳、そして6歳だったわたしの子ども達からインスピレーションを受けたものだ、とはっきりとお答えすることができます。子どもたちの家での暮らしぶりや幼稚園での生活は、いつも新しい物語のひらめきをあたえてくれています。

——中国の水墨画を学ばれたことがおありですか? 『にじいろの さかな』には、中国の伝統的な絵画である、水墨画とよく似た要素がたくさんありますがなぜなのでしょうか?
そうですね。私が思うに水彩画やアクリル画の技法は、世界中で多かれ少なかれ、似ているのだと思います。にじうおのすむ水の中の世界を描くには、なめらかな線と水でにじませた色がぴたりときます。そういうわたしのイラストと、この物語が中国の人々の心の琴線にふれたのだとしたら、とても嬉しく思います。

——フィスターさんが本の創作を始められたのはいつごろからですか? また最近、お描きになっている本はありますか? そしてそれはいつごろ発刊されるのでしょう?
わたしが最初の本を書いたのは1984年で、出版されたのは1986年のことでした。タイトルは、“The sleepy owl”です。最近、わたしが昔描いた本がたくさん中国で出版されました。わたしの最新作「かわいいヒッポ(仮)※」、ほんとにかわいい小さなかばのお話なのですが、これもいつか中国で出版される日がくるといいなと思っています。
※日本では、2010年に講談社より刊行の予定

——1冊の本を仕上げるのにどのくらい時間がかかりますか?
アイデアから絵にするまで、だいたい4か月くらいでしょうか。でも、その間には、そのほかにやらなければいけないことがたくさんありますから、もっとずっと時間がかかってしまいますね。

——どのようにして、にじうおのデザインを決められたのでしょうか?
わたしは、シンプルで、抽象的に造形された、動物のキャラクターがとても好きです。わたしは、長らく出版関係のグラフィックデザイナーをしていましたので、シンプルだけれど強い、印象的で見ごたえもある、色鮮やかな画面を作ることになれていたということもあります。

——これまでに何冊ぐらい本をお描きになられたのですか? その中でいちばんのお気に入りと、作るのに苦労した本を教えてください。
実のところ、いま、わたしは46冊めの本を書いています。信じられますか? 私自身としては、いつも何かしら新しい試みをしようと心がけています。たとえば、『にじいろの さかな』のホログラム加工(きらきら印刷)とか、途中で物語が2つの別のストーリーにわかれる『ミロと まほうの いし』とか、複雑にページが折りたたまれる技術を使った“The Magic Book”みたいにね。

わたしは子どもの本の創作に、いままでなかったようなアイデアを盛り込んだ本を作るのが好きです。思いつくのも、本として作るのもとっても難しいんですけれど。

——どのくらい長く学校で学ばれたのですか?
スイスの義務教育を終えたあと、ベルンにある美術工芸学校にいきました。それから4年間、出版関係の会社で見習い実習をしました。

——子どものころ、別のジャンルで活躍することを夢見たことはありますか?
いいえ。わたしは自分の趣味で、夢だったことを実現することができました。もちろん、いまだって興味をもっている仕事はありますよ。たとえば建築とかデザインとかね。でももう一度、人生をやり直したとしても、わたしは同じことをすると思います。

——良い絵本作家になるための必要な資質とは何でしょうか? もしわたしが将来、絵本作家になりたいといったら、どんなアドバイスをしてくださいますか?
実行あるのみです。たくさんの若い人がいつか子どもの本や小説を書きたいといいます。でも、実際にはしないですね。夢を実現しようとはしないのです。複雑な物語を単純な子どもの言葉に移しかえるセンスは必要でしょう。それから子どものことを愛していなければいけません。

——『にじいろの さかな』は接力出版社によって中国で刊行されました。そこで、中国の読者に何かメッセージをお願いします。
わたしたちの文化の間には、たくさんの違いがありますし、誤解もまだまだあります。わたしは、『にじいろの さかな』が文化の架け橋となってくれることを祈っています。日本、アメリカ合衆国、オーストラリアからパレスティナまで、世界中の子どもたちにこの物語が愛されていることでもわかるように、人間どうしの違いはわたしたちが考えているほど大きなものではないということに、みんなにもう一度気づいてほしいと思います。まずは『にじいろの さかな』シリーズの物語を楽しんで読んでくださいね!






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