読み聞かせ

『しろ と くろ』 の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 岩田恵美子隊長

"絵本は100年越しの手紙″と思って創作を続けてきた絵本作家、きくちちき。愛息の成長に寄りそう日々のなかで感じた、こどもの無垢な気持ちを、主人公「しろ」に投影させて『しろ と くろ』はできあがりました。繰り返される「なんで なんで」のフレーズは、小さな発見や、新しい出会いをする喜びにあふれています。赤・青・黄色・緑の美しい背景の中に、ダイナミックに描かれた、猫の「しろ」と犬の「くろ」が、出会いの喜びを伝えてくれます。

一般的には、読み聞かせの時には本のカバーを外しますが、この本は、カバーと表紙の絵がちがうため、今回は、カバーを着けた状態で読む方法をご案内します。

まず、表紙を見せタイトルを読みます。 すっきりとしたわかりやすいタイトルと絵なので、子どもたちも、白い猫の「しろ」と黒い犬の「くろ」をたちまち覚えるはずです。

本を開くと見返しには美しい絵が。草むらの中で、しろとくろ、そしてカエルや虫たちが、それぞれ遊んでいます。
カバー袖に書かれた、「かぜが ふうっと なでてくれた」というテキストを読んだ後、カバー袖をめくります。めくると、カバーに隠れていた、犬のくろが見えます。見開き全体をていねいに見てもらいます。

草むらの中で、くろから少し離れたところに、しろがいます。「しろはどこ?」ときくと興味を持って探してくれます。しろとくろを指先で示してから、「なにしてるのかな?」「少し離れているね!」「ほかにもなにかいる?」などと、その場の子供たちの反応に合わせた問いかけをしてみてください。この絵をしっかり見ることで、これから、しろがどのように、くろと出会えるのかが、イメージできると思います。

さあ、読んでいきましょう。
これから、どのページも、短い言葉だけでイメージがつむがれていきます。しろの気持ちを感じとりながら、しろになったつもりで、子どもたちに問いかけるように読んでください。言葉が少ないぶん、絵の中には、いろいろなものが詰まっているはずです。ゆっくりと絵を見せてあげながら読み進んでいってください。

「なんで くさって たくさん あるの」
草むらにいる、しろの表情と、元気よく立ったしっぽをよく見てもらいましょう。

「なんで はなって きれいなの」
うっとりと花の香りをかいでいる様子をイメージしながら読みましょう。

「なんで なんで とまったの」
とまられて、不思議な気持ちと、なんだかうれしい気持ちがあふれます。

「なんで なんで ぴょんぴょんぴょん」
カエルやバッタと楽しそうに、しろがはねている気持ちになりますね。

「にゃあ」
くろと出会いびっくり! という気持ちの短めの「にゃあ」ですね。

「ぺろ されちゃった」
この「ぺろ」は、お友だちになろう! の「ぺろ」ですね。うれしそうに読んでみましょう。

「まって まって いっしょに あそぼ」
くろと追いかけっこ。虫たちもいっしょになって楽しそうです。

「みつけて みつけて こっちだよ」
こんどはかくれんぼ。虫たちもいっしょにかくれんぼしています。きょろきょろ探しているくろに、小さな声で教えます。本当はみつけてほしいのですね。

「わんわんわん みつかっちゃった」
みつけてうれしい、くろ。元気よくわんわんわん。みつけられたしろも、うれしい気持ちです。

「なんで なんで うれしいの なんで なんで」
くろにぴったりくっついたしろ。チョウやカエルもくっついて、うれしい気持ちも最高のようすで、「なんでなんで」を読んでください。

「なんでさみしいの」
赤い背景は夕焼け空です。虫たちといっしょにくろが帰っていってしまうさみしいシーンです。ちょっとトーンをおとして読んでみてください。

「なんでねむれないの」
星空ながめて自分に言い聞かせるしろ。別れのさみしさがつのります。

「なんでなんであいたいの」
黄色いおひさまがやっと出て朝が来ました。背のびしたしろは、くろのことを思い出しています……。

「なんでなんで」
どうしてこんな……会いたい気持ちなのか不思議なしろは、だんご虫にまできいてみます。だんご虫が、まあるくなったのもなんでなんで?

「なんでなんで」
チョウにもきいてみます。

「なんでなんであいたいの」
あつまった虫たちにも聞いてます。

「にゃあ」
こんどの「にゃあ」は、また会えて、とってもうれしい気持ちの「にゃあ」ですね。気持ちをこめて元気よく読んでください。再会の喜びを、みんなでじっくり分かちあいましょう。後ろ見返しには、絵本に登場した小さな生き物たちが並んでいます。

本を閉じしろとくろが並んだ姿をしっかり見せます。

表に戻して、『しろ と くろ』タイトルを言って終わりましょう。
”ぺろ”の意味もわかり満足な子供たちの笑顔が見られますよ。

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