読み聞かせのコツ 第22回 「おにぎりにんじゃ」の場合

新連載 おはなし隊の読みきかせ 読み聞かせのコツ

講談社では日本全国、津々浦々に絵本を積んだバスで訪問し、読みきかせする、「全国訪問おはなし隊」という活動をおこなっています。
この連載は、その読みきかせのもようをお知らせしつつ、読みきかせのワンポイントアドバイスをお蔵だしいたします。実物の本を見ながら読んでいただくと、よりよくわかると思います。
ぜひ、身近なところでお話し会をされる方や、保育園、幼稚園、小学校などにいって読みきかせボランティアをされるときなどの参考にしてくださいね。
第22回「おにぎりにんじゃ」の場合

おはなし隊隊長 吉田詳子


『おにぎりにんじゃ』 『おにぎりにんじゃ』

◆北村裕花/作

2011年講談社絵本新人賞佳作受賞作!
真っ黒なのりの衣に、身を包んだおにぎりにんじゃ。おにぎりならではの忍法を次々とくりだし、奪われたまきものを、みごととりかえすことができるのか!? そして、奪われたまきものに書いてあったのは……?

子どもたちが大好きなおにぎり。スピード感のある展開。子どもたちのこころをつかむ要素満載の新刊『おにぎりにんじゃ』。さっそく、兵庫県の小学校で読んでみました。

スピード感のある展開が、この本の醍醐味のひとつ。テンポよく読みましょう。でも、細部にこだわった楽しい絵を、子どもたちにきちんと見せてあげることも、同じように大事なポイントです。

(1)扉のページ、おにぎりにんじゃのまわりにあるのは赤いお花? いえいえ、実は、梅干し……。子どもたちに楽しい絵をゆっくり見せてから、さあスタートです。

(2)のりまきじろのお殿さま。よ〜く見ると、手にしているのはしゃもじ。そしてのりの衣を身にまとった小さなお米が手にもっているのは、ぬすまれたまきもの「ひでんのしょ」。
「…たいせつな まきものを ぬすまれて しまった。」と読みながら、ちょっと指さしてあげると、子どもたちの理解も深まります。

(3)「しょうちで あります。おにぎりにんじゃ、いって まいります。おにぎり おにぎり すっとととーん」と、スピード感をもたせてテンポよくよむと、面白さも倍増!
特に、「すっとととーん」で子どもたちは大喜び。

(4)おにぎりにんじゃが、にんぽうを次々とくりだす場面では、さらにテンポをあげて読みます。
…しゅるしゅる しゅるっと ひとっとび。
だんだん速くなってくるテンポに子どもたちのワクワク感も高まります。

おにぎりにんじゃがまきものを探す場面でも、スピード感が大切。
そして、この絵本のもう一つの楽しさが、擬音語・擬態語の面白さ。場面に合わせて上手に読むと、スピード感と臨場感が高まり、より効果的になります。
ここでも、指さしながら読むと、よりわかりやすくなります。

(5)「あったぞ。………、こ、これは でんせつの ごはんの たきかた!」
ついに、おにぎりにんじゃが、まきものを発見! 何が書いてあるのか、子どもたちもドキドキ。逆さになったまきものをしゅるっとまわして…、子どもたちにまきものの中身をおしえてあげます。
そして、またしゅるっと元に戻すと…、「ぬぬ、くせものじゃ!」どんぶりじろのわるものがのぞいています。これも指さしてあげるとわかりやすいですね。

(6)つかまってしまったおにぎりにんじゃ。ところが…、あれれ、スリムなたわらにぎりに変身! ここでも「キュキュッ」という擬態語で臨場感がアップ!


(7)どんぶりあたまを開けると……そこにはえびてんがたなが……。「…わしの えびてんがたなを くらえ!」では、迫力のある読み方をしましょう。


(8)まきものを取り返す場面。「…うめぼししゅりけん、つたたたたー…」またもや擬態語の効果をうまく利用して、スピード感と緊迫感を出します。

そして、いよいよ、おにぎりにんじゃの本領発揮。少し間をとりながら、「いざ、にんぽう……」

(9)「こにぎり ぶんしんの じゅつ! ぽぽぽぽぽーん」
かわいい擬音語とともに、小さいおにぎりたちの登場。かわいくテンポよく、そして元気よく読みます。特に、「ぽぽぽぽぽーん」に、子どもたちはまたもや大喜び!


(10)次のページも擬態語のオンパレード! クライマックスの場面です。
「こにぎり ぐるぐる どんどん ぐるぐる、ぐーるぐるぐる」「…おにぎり おにぎり すっとととーん」で、リズミカルにテンポ良く読みます。

そして、無事に取り返したまきものをのりまきじろのお殿さまに届けて、にんむかんりょう!

読み終わると、「おにぎり食べた〜い!」のかわいい声が、あちこちから聞こえてきます。
バックナンバー
第25回 『ブービーとすべりだい』の場合
第24回 『イカになあれ』の場合
第23回 『つかまえた!』の場合
第22回 『おにぎりにんじゃ』の場合
第21回 『ぼくだって ウルトラマン』の場合
第20回 『ん』の場合
第19回 『ぴたっ!』の場合
第18回 『ぼくたちの ピーナッツ』の場合
第17回 『ハッピー ハロウィン!』の場合
第16回 『ねこときどきらいおん』の場合
第15回 『よわむしモンスターズ』の場合
第14回 『どろんこ! どろんこ!』の場合
第13回 『もぐもぐもぐ』の場合
第12回 『アントンせんせい』の場合
第11回 『ごとんごとん ごー!』の場合
第10回 『りんごはいくつ?』の場合
第9回 『よみきかせ日本昔話 かもとりごんべえ』の場合
第8回 『よみきかせ日本昔話 つるのおんがえし』の場合
第7回 『まゆげちゃん』と『よみきかせ日本昔話 かさじぞう』の場合
第6回 『よみきかせ日本昔話 さんまいのおふだ』の場合
第5回 『よみきかせ日本昔話 へっこきよめさま』の場合
第4回 『よみきかせ日本昔話 さるかにがっせん』の場合
第3回 『よみきかせ日本昔話 うらしまたろう』の場合
第2回 『よみきかせ日本昔話 わらしべちょうじゃ』の場合
第1回 『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』の場合

★ 全国をまわって読み聞かせをしている「おはなし隊」では2014年8月、岩手県と香川県の訪問先を募集中! お申し込みの締め切りは5月12日(月)です。ご興味のある方は以下のアドレスをご参照ください。お早めに!
おはなし隊

おはなし隊の読みきかせ ワンポイントアドバンス 「読みきかせ会」を主催されている方、また開いてみたい方必読の情報! おはなし隊が「読みきかせ」の秘訣をお教えいたします。

おすすめの絵本

  • どしゃぶり

    どしゃぶり

    おーなり 由子/文 はた こうしろう/絵

    どしゃぶりは、雨つぶたちとしゃべったり、あそんだりできる特別なとき!
    たくさんの雨の音、雨つぶの、いろんな輝き。
    雨のにおい、水たまり、絵に耳をすますと、
    雨の音がきこえます。

  • 新版 星空キャンプ

    新版 星空キャンプ

    村上 康成/作

    月曜日、ここへ来た日、水のきれいさと、大きなマスに息をのみました。火曜日、ガンの家族がテントのそばにやってきました。水曜日、小さな湖では、風も音も、なにもありませんでした。木曜日、ハンモックでうとうと。金曜日、キイチゴつみは原っぱの味がする。ミナとお父さん、お母さんの1週間の星空キャンプ。

  • ぼんちゃんのぼんやすみ

    ぼんちゃんのぼんやすみ

    あおき ひろえ/作

    子どもに伝えたい日本の風習
    ご先祖さまの霊がかえってくるというお盆。ぼんちゃんが、夏休みにいなかで過ごしたお盆は……!?
    親子で楽しむ、季節と行事のよみきかせ絵本

  • きもだめし

    きもだめし

    新井 洋行/作

    『きもだめし』は、その名の通り、夏の風物詩である肝試しがテーマの、縦開きのしかけ絵本です。
     不気味な日本人形の、おどろおどろしい肝試しへの案内から、本作は始まります。幽霊や、一つ目お化け、ろくろっくび、のっぺらぼうなど、定番のお化けや妖怪が次々に登場します。 おはなし会や、親子でドキドキしながら楽しめる1冊です。

  • ルッキオとフリフリ おおきなスイカ

    ルッキオとフリフリ おおきなスイカ

    庄野 ナホコ/作

    マグロのおさしみに憧れる、ねこのルッキオとフリフリ。
    ある日、庭になったおおきなスイカで、ひともうけしてマグロのおさしみを食べようと、売りにでかけますが……。

季節の絵本