第36回講談社絵本新人賞受賞 
石川基子の制作日記(第1回)

はじめまして。「ほしじいたけ ほしばあたけ」で第36回講談社絵本新人賞をいただいた石川基子です。
あらためまして、選んでくださった選考委員の先生方、編集部の皆様、そしてお祝いの言葉やお花などをくださった方々、本当にありがとうございました。

絵本通信をチェックされている方は、例年、受賞作家の制作日記は11月くらいから始まっているのに、今年度は待てど暮らせどアップされないなあ……もしかして今回は受賞作の出版化は見送られたのだろうか……と不審に思われていたかもしれません。
その代わり(?)第34回の受賞者の種村有希子さんと第35回の受賞者である加藤晶子さんによる、絵本への深い洞察と愛情に満ちた対談(前・後編)がアップされ、感銘を受けられたことでしょう。
私も、「前編・後編に引き続き、好評のため続編もあるのでは?」
「もしかしたらもう制作日記は、うやむやのうちに書かなくてすむのでは……」と期待したのですが、すみません、こうして実のないことを書いています。

さて、今年の新人賞応募に向けて追い込みに入っている方もいらっしゃることと思います。
昨年の今ごろ、私は「まだ1枚しか描けていない。しかもラフは途中から白紙。」という状態でした。
授賞式の日、担当編集者のO川さんから「きのこの話なので、秋に刊行の予定で進めていきましょう。」と言われたとき内心「やった~」と思いました。(例年は5月頃刊行)
描き直す時間が延びた!と喜んだのです。(←最初から全編描き直しのつもりで応募しています。)
……それが、原画提出の期限まであと2か月を切ったというのに、やっと色を塗り始めたところで……1枚もできておらず……
応募のときよりさらに恐ろしいことになっています。

一昨年「なんと!ようひんてん」という作品を応募しました。
応募したものの、やはり時間が全然足りなくて、受賞は到底無理だろうと諦めていました。
しかし、2次選考通過を知ってからは、自分の中で妄想が膨らみ、「なんと!ようひんてん」の出版が決まったら、付録に「なんと!商品カタログ」をつけたらどうだろうとか、「なんと!ようひんてん仮想ネットショップ」を作ったらおもしろいのではないか……などと頭の中で一人企画会議状態となり、すっかり新人賞をいただけるつもりになっていました。
ですので、編集部から電話があり、
「今日新人賞の審査が行われたのですが、その結果石川さんの作品が……(ここで十数秒も間が空いたような気がしました)……『佳作』に選ばれました。おめでとうございます!」と伝えられたとき、「ありがとうございます!」と喜びつつも、またこの先も出口の見えないトンネルの中にいるような生活が続くのか……という思いも交錯しました。

↑2013年佳作受賞「なんと!ようひんてん」

その後「ほしじいたけ ほしばあたけ」のラフを作り始めたわけですが、通っていた、四日市の子どもの本専門店メリーゴーランドの絵本塾宛に、絵本塾の伝説の先輩・コマヤスカンさんがメールをくださいました。
「自分の場合もそうでしたが、佳作に入賞すると、次回以降、新人賞がぐっと近くなると実感しておりますので、来年以降もチャレンジしてほしいと期待しています。」とのこと。
その言葉を真に受け、何としても応募しなくては、締め切りに間に合わせなければと、ラフも見切り発車のまま描き始めました。

今回の新人賞では、なかなか通知が来なくて、
「前年の日程からするともうとっくに審査は終わっているはず……」
「だめだったんだ……(ううう)」
「作品が返却されたらK成社かどこかに送りつけてやろうか」
と思い始め、返却を待っていたところに、新人賞受賞の通知が。
でも、今回は嬉しさより、戸惑いや不安の方が先に立ってしまったというのが正直な感想です。
佳作から出版に至った作家さんもいるのを知り、私もその路線で行くことになっていたからです(妄想では)。
佳作ならば(可能性を認めてもらえた場合ですが)、もっとじっくり時間をかけて練り直し、描き直しができると。
そんな、自分でも納得がいかないところだらけの作品だったので、ラフの練り直しに予想以上に時間がかかってしまいました。

ほしじいたけが昭和なギャグ(ある程度以上の年齢じゃないとわからない)を言う場面があるのですが、絵本の出だしの部分を変えた方がいいように思ったので、そのセリフをカットしたラフを提案しました。
ところが担当のO川さんの意向で、その昭和なギャグを残すようにと言われ、その昭和なギャグを言わせるためのツジツマを合わせるための方法が思いつかなくて長引きました。
それが解決してからも、構図の練り直しは果てしなく続き……。
中川ひろたか先生から
「しいたけ→じいたけ→ばあたけという発想の流れがすさまじいだけ。出版までには、いろいろ直さないとならないだろうが、そこは編集者とガチでがんばるだけ。」という選評をいただきましたが、その言葉通り。
「もう妥協してOKを出してくれるかな?」と思ってラフを出しても、O川さんは決して諦めることはなく、ねばってくださり、本当にありがたいことだと思っています。
また、大島妙子先生からは、「お話のくだらなさに対して、絵の濃ゆさがハンパなかった」という選評をいただきました。

ラフを読み返し、描き直していて迷ったとき、自分に問いかけます。
「ちゃんとくだらなさがハンパなくえがけているか
中途半端になっていないか
くだらなさこそが道標。」と。

過去の制作日記では、皆さん年賀状について触れていますが、季節外れとなってしまいましたけど、私も載せてもいいでしょうか?
幼児図書出版部の年賀状用に描いたほしじいたけ ほしばあたけを、自分用の年賀状に流用しようと思っていました。
一応O川さんに流用してもよいかどうか聞いたところ
「聞かれなければよかったんですけど……」
聞かれた以上はNGということで、自分用には「お雑煮バージョン」を描きました。

左が、年賀状(お年賀バージョン)
右が、年賀状(お雑煮バージョン)

ちなみに向かって左、笠が開ききった香信がほしじいたけ
向かって右の笠が肉厚の冬茹(どんこ)がほしばあたけです。
以後お見知りおきのほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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講談社新人賞 既刊

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