読み聞かせ

『てぶくろ』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 牧野博美

寒い雪の日。うさぎのみみたんは、手袋を持ってきていませんでした。「てが つめたいよー。おねえちゃん、てぶくろを かして! もう かたほうも かしてー! かしてー!」すると……。

朝日新聞に投稿された実話をもとにした、心がぽっかぽかになる絵本です。いもとようこ先生が、新聞を読んで心が動かされ、自分なりの解釈を入れ込みおはなしを完成したそうです。

実話であるという話は、とくに子ども達が知る必要はありませんが、読み手はこの物語をより深く理解するという意味でも、心に止めておいて欲しいと思います。

そろそろ肌寒くなってきた初秋の、群馬県前橋市立まえばし幼稚園の年長さんクラスで読みました。

「みんな冬になって、手が冷たくなったら何を着ける?」すると子どもたちは「てぶくろー」と答えてくれます。そうやって絵本の中のみみたんにすぐに共感できるようなエピソードで、子ども達の集中力を高めます。

それから絵本を取り出し「それじゃ『てぶくろ』という絵本を読みます」と始めます。

みみたんがおねえちゃんに「てぶくろを かしてー」と言うシーンは、余韻を感じるように、なるべくゆっくりめくります。

優しくてあったかい、いもとようこ先生の世界は、全体的にテンポ良く読むというより、なるべく穏やかな声でゆっくり読んだ方が伝わると思います。

おねえちゃんは、片方の手から手袋をはずし、みみたんに貸してあげます。もう片方の手袋も貸して、と言うみみたんに、おねえちゃんは、手袋をしていない手で、みみたんの手をぎゅうっとにぎってあげます。

「おねえちゃんと、てを つなげば…… てぶくろは ひとつで いいんだね!」

子どもたちがわかりやすいように、おねえちゃんの手袋と、みみたんの手袋を、指でさしてあげるといいでしょう。

つぎにおばあちゃんがやってきて、三人で手をつなぎます。“三人で手をつないでも手袋はひとつでいい”ということに気がついた、みみたんの喜びを感じられるように、明るい口調で読むといい感じです。

ここでも赤い一組の手袋が確認できるように、かるく指で指してあげてください。

こんどはいろいろな動物たちと手をつなぎます。それでもやっぱり手袋はひとつ。

このシーンの絵はページをまたがっています。子どもたちは、手をつないだ動物たちを左から右へ視線を動かしながら、確認しています。そんな子どもたちの呼吸を感じつつ、ページをめくってください。

最後はみんなで手をつないで、輪になります。そうすると手袋はいらなくなります。

クライマックスのこのシーンには、いろいろな動物達が描かれています。子ども達の目線を捕らえ、しっかりと見せてあげてください。

そしてラストの一文「おばあちゃんの こころは ぽっかぽかでした」も、しっかりと伝わるように、笑顔で読んであげてください。

みみたんが、「てぶくろは ひとつ」と気づくシーンでは、子どもたちも同じように気づきます。はっ!  とした表情の子どもや、なかには「そっか!」と小さく声あげる子どももいます。

そんな子どもたちの気づきをたいせつにしながら、読んでほしいと思います。

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