読み聞かせ

『カッパも やっぱり キュウリでしょ?』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 宇田詔子

予想をいつも覆してくれる、シゲタサヤカさんの絵本ワールド。
読みながら、え? え? え? の驚きと想像の世界にようこそ。
今回の主人公は、まな板でも、帽子でもなく、カッパです。
そして、表紙から驚きの世界がはじまっているのです。
何かを背負っています。よーく見ても、何でしょう? わかりません。
インパクト絶大です。

読み聞かせの時は、まず表紙から良く見せてあげると良いでしょう。
表紙を見せてから、題名をふしぎな気持ちで言いましょう。
「カッパもやっぱりキュウリでしょ?」
それを聞いた大人も子どもも、頭にたくさんの?が浮かぶことでしょう。

そのふしぎそうな顔を見ながら、いよいよページをめくります。
見返しでは、いきなりカッパが何かを買っています。何を買っているんだ、カッパ。
ますます、シゲタワールドの扉を早くめくりたくなります。

「カッパのあたまのなかは、だいたいいつもキュウリのことでいっぱいです。」
このフレーズで、より一層カッパとキュウリの関係性が強まります。

「やべえ、キュウリがなくなっちまった。」
カッパは、寝る前にキュウリを買いにいきます。そして、目指したのは
「キュウリのじどうはんばいきです。」
え、え、え、キュウリは自動販売機で売ってるの?
そして、よく見ると、いろいろな種類のキュウリが。
輪切り、スティック、キュウリソーダ、キュウリソフト、高級キュウリ。
でも、「カッパはいつもわぎりのキュウリ。」
へえ、意外とスタンダードなんだね。

「テクテクよみちをかえっていくと、なにやらすご~くきになるものが。」
そして、いよいよ登場したのは、どう見ても、アレ。カッパの相棒、いや宿命の友、輪切りのキュウリ。しかも、とても大きいのです。夜道に落ちていたらだれでも気になります。どうやら風邪をひいているようです。

今すぐに食べたいけど、ここは我慢。元気になっておいしくなるのを待つことにして、一生懸命介抱することにします。
家に連れて帰り、おかゆや薬を与えたり、ベットを貸してあげて、誠心誠意、看病します。
カッパの心の優しさにちょっと触れながら、優しく読んであげると良いでしょう。

でもでも、だんだん元気になってくると、なぜかキュウリがまずそうな色に。
このあたりから、このキュウリ、なんだろう、何者なんだと思えてきます。

そして元気になったキュウリは、家に帰ると言うのです。
ちょっと待ったと言わんばかりに、カッパも一緒に行きます。

このあたりの展開は、聞いている人も?が頭のなかで渦巻いているので、テンポよく読むといいでしょう。

そして、衝撃の正体が暴かれます。
「○○なんだ……」
聞き手も読み手も納得と言うより、カッパの気持ちになって何だろう、残念のような、裏切られたような、心に穴が空いた空虚な気持ちは。

そして、風邪をうつされてしまうカッパ。
可哀想に、辛いだろうに、悔しいだろうに、泣けてきます。

それなのに、陽気な○○は夜明けとともにキュウリ片手にお見舞いにやってきます。
「カッパもやっぱりキュウリでしょ?」って。

裏心がありつつも優しいカッパに、すっかり心を奪われてしまう一冊です。
そして、陽気な○○。
話を楽しみながら、聞いている方の表情も楽しむと、さらにこの本の面白さが増すと思います。私のお気に入りの一冊になりました。

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