読み聞かせ

『ふってきました』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 渡邉達夫

この本は、第39回講談社出版文化賞絵本賞と第13回日本絵本賞をダブル受賞した絵本です。おはなし隊でもよく取り上げられる人気の絵本となっています。

お母さんの為に、お花を摘んでいるつるこちゃんの上に、空からいろいろな動物たちが降ってくるという、単純な構成ですが、子どもたちが純粋に楽しめる正に「絵本的な絵本」です。「次はなにがふってくるかな?」という、子どもたちの好奇心を十分に引き出すため、間の取り方が、大変重要です。意見が分かれる所ですが、私の場合は「おはなし会」を特別な機会ととらえ、動物たちが降ってくるページをめくらずに読み始め、降ってきたところで、素早くページをめくり、絵を見せるようにしています。

扉のページの怪しげな空の絵を見せ、「いまにも ふってきそうな そらです」は、やや低い声で物語を始めます。

ページをめくり、今度は、明るい声で 「つるこちゃんは おはなを つんでいました」
と読み出します。物語の始まりです。子どもたちの中には、絵の中に、カメがいるのを見つける子もいます。

次ページでは「すると そらから……」まではページをめくらず、十分間をとって読みます。そして、さっとページをめくりながら「おおきな わにがふってきました」と続けます。ここは、スピードが大事です。子どもたちは、意外な展開に大笑い。

「どずずん!  つるこちゃん びっくり」で 一度、間をとります。「おはなは ばらばら」
このフレーズは、これから続けて出てきますので、しっかり読みます。

「びっくりさせて ごめんね」「うん。いいよ。」
わにと、つるこちゃんのセリフの対比がしっかりわかるように読みます。

「つるこちゃんと わにが、おはなをつんでいると……」ここまでは、先ほど同様、ページをめくらず間をとって……、そしてページをめくりながら「そらから ぞうがふってきました。」と 一気に読みます。 子どもたち、さらに大笑いに。

「どかしーん!」ぞうの重さが感じられるような、トーンで読んだ後は、先ほどのフレーズで 「つるこちゃんと わに、びっくり。おはなは ばらばら」と続けます。

「びっくりさせて ごめんね」からは、先ほどと同じように、対比を意識して。

次ページも、「つるこちゃんと わにと ぞうが、おはなを つんでいると……」
まではページをめくらずに、「そらから」で十分間をとって、「ライオンと しまうまと パンダが ふってきました。」は一気に読みましょう。

「ぐわし!」擬音の読み方を工夫して、先ほどの同じフレーズを読み、最後の「きょうは ほんとうに よく ふってくる ひです。」をサラッと付け加えるように読みます。

「びっくりさせて ごめんね。」 このページも、前と同じように読みます。

次のページは、ガラッとトーンを変えて、皆の楽しそうな気分を表現します。

そして「すてきな はなたばの できあがり」 で しっかり絵を見せてあげます。

そして、最大の山場となる訳ですが、ページをめくらずに、「すると」で一度間をとると、子どもたちは、「えっ、また何か降ってくるの?」という表情になります。「こんどは そらから」と十分に間をとって「つるこちゃんの おかあさんが ふってきました」と一気に読みながらページをめくります。

「くるっ! すたっ! おみごと!」をリズムよく読んで、「みんな はくしゅを しました」で子どもたちの表情を確認すると、拍手が起きることも良くあります。そうなれば、大成功ですね。

「おかあさん、おたんじょうび おめでとう。」親子の楽しい会話です。

最後のページは、私の場合は、さりげなく「きょうは ふってきて ほんとうに よかった」 チャンチャンという感じに読んでいます。

そして、お約束通り裏表紙を見せ、表紙を見せてから、左右に開いて表裏を見せると、子どもたちから「つながった!」という歓声が聞こえてくることでしょう。
最初から、つながった形で見せてしまう方がいらっしゃいますが、あくまで、お約束通りに! その方が、つながった時のインパクトが大きいですよ。

「絵本別」 読み聞かせのコツ バックナンバー

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