読み聞かせ

『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 鈴木よね子

この絵本との出会いは、書店にお勤めのボランティアさんがおはなし会で読んでくださった時でした。途中でおはなし会の席を外して戻ってきた時に、会場の外にまで子どもたちの「ギャー」「キャー」「アハハハ……」と歓声や笑い声が響いてきました。何事が起こったのかと部屋に入ると、 “かえうた”の場面に笑い転げている子どもたちの姿がありました。それ以来、こいのぼりのあがる4月、5月の季節にはこの本の出番が多くなり、ずっと読み続けてきました。

トラのおとうさんが垣根にこいのぼりをくくりつけ、トラのこさんきょうだいがそれを見つけて大喜び、という場面からこの絵本は始まります。

お父さんのまわりをぐるぐるまわる様子など、にぎやかで躍動感のある絵なので、元気な子どもたちをイメージして読むといいですね。

いよいよかえうたの場面が始まります。「くもよ~りた~か~いこいの~ぼ~り~」と歌い始めると、「えっ! ちがうよ」と言いだす子どもがいます。「だから、かえうたなんだよ!」と声が聞こえてきて「あっ! そうか」という表情に変わります。それから3番まで子どもたちの大爆笑が続きます。

歌のところで大切なことは、テンポよく、リズミカルに、そしてページが変わるところでも、歌をとぎれさせないように、なめらかにページをめくりながら歌い続けることです。1番の最後「とんで~い~る~」、2番の「おこ~ってる~」、3番の「のびて~い~る~」は少し声を大きくしないと、子どもたちの笑い声で読み手の声が消されることがあるので、ちょっと様子を見ながら間をおいて歌うか、声を大きくしてみてください。

次から次へと歌がとまらなくなりますが、小さな字で書かれたところを全部読むと間延びしてしまいますので、ひとつふたつくらいを選んで読んでみるといいですね。

とうとう歌い疲れてしまった場面では、テンポをゆるめて、お父さんにくっついて、そして最後はお父さんの足取りも重たく聞こえるようにゆっくり歌いましょう。

最後のページは言葉がありませんが、丁寧に見せてあげるとおはなしの続きを想像しているつぶやきが聞こえてきたり、楽しかった余韻を感じている様子が伝わってきたりします。

表と裏の表紙を広げながら見せて終わります。ダイナミックなこいのぼりに「つながっている~」「もう1回読んで~」「楽しかった~」とうれしい反応にいつも励まされています。

時々、「私は歌が下手なので……」とおっしゃる方がいますが、もともと子どもたちの口から出た出まかせの歌と思えば、あまり上手に歌う必要はありません。ぜひ、挑戦してみてくださいね。

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