読み聞かせ

『ブービーとすべりだい』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 岩田恵美子

子どもの頃は誰にでもできないことがあって、できないことのなかには、いろんなどきどきがいっぱいつまっていて……。
すべりだいがすべれないブービーの「はじめのいっぽ」までの物語。
懸命に頑張っているブービーの表情が少しずつ変化していきます。そんなちいさな変化がいとおしくなる、「できないきもち」に寄り添う絵本。
「勇気を持って!」と背中を押してくれる一冊です。

ハッキリした色使いで遠目もききます。
特に、すべりだいやブービーのズボン、おかあさんのエプロンなど、要所で使われている「赤」がとても素敵な絵本です。

ブービーにエプロンを“ぎゅう”とつかまれたおかあさんの気持ちになって、子どもたちに読んであげましょう。
すべりだいをすべりおりる時のいろいろな擬態語もこの本の楽しさのひとつ。ちょっと意識して読むと、より楽しさが増しますよ。

最初に、「みんなの幼稚園にはすべりだいあるかな~」と子どもたちに話しかけながら始めると、子どもたちの集中力が高まります。
そして、勢いよく軽快に「シュルルルーン」と、すべりだいをすべりおりる様子を伝えます。
楽しそうなこどもたちの笑顔と、それをひとりうらやましそうにみつめているブービーの対照的な表情を、子どもたちにゆっくりみせてあげます。
ブービーの存在は、ちょっと指さしてあげるとわかりやすいですね。

「ゆうきをだして のぼったことは なんども」の「なんども」は少し強調して読みます。
「きゅうに こわくなって、」のあとは、ブービーの不安な気持ちを表すように、少し間をとってから、ページをめくります。

「きょうも やっぱり すべれませんでした。」上ったばかりの階段をおりることになったブービーの、とてもがっかりした様子をあらわすように、少しゆっくりめに、少し低い声で読みます。
それを見ているこどもたちの表情も複雑です。

カラスのセリフは、少し馬鹿にしたように、そして少しあらっぽい感じで読んでみましょう。
ブービーをからかっているようなカラスの表情にも注目です。

次は、ネコ。
勢いよく「ダダダダダー!!」と読んだ後は、リズミカルに「クルッとまわって」と続けます。
ネコの様子にびっくりしたブービーの表情を、ゆっくり子どもたちに見せてあげます。

台所の場面。
楽しそうに夕食を作っているおかあさん。
まないたの上を「ゴロゴロと」すべりおちていく野菜たち。
ここまでは楽しそうに読むといいですね。
そして、それをうらやまそうに見つめているブービー。
少しだけ見えているブービーの顔を、指で差してあげるとわかりやすいですね。

そして、勇気を振り絞って、ブービーはおかあさんにすべりだいが「できない」ことを伝えます。
「あのね、ぼく できないんだ、すべりだい」この4つの単語にブービーの「できないきもち」がこめられています。
ひとつひとつの単語を、丁寧に、間をとりながら、読みます。せつない気持ちを伝えるように、トーンを少し落として読むと感じが出ます。

「ワン、ツー、スルリーン!!」と、おかあさんのすべりだいをすべりおりることができたブービー。
元気よく楽しそうに読みましょう!
お母さんとブービーの見たこともないくらい楽しそうな笑顔に注目です。

おつきさまのてっぺんから「シュルリーン」とすべりおり、よぞらを「フワリッ」ととぶゆめをみたブービー。
ここでも擬態語が2つ出てきます。臨場感を出して読んでみましょう。
「すべりだいも こんなふうに すべれれば いいのになあ」は、少しだけ自信のついたブービーの期待する気持ちを込めて読みます。

次の日……。
すべりだいのうえにいるブービーの顔、意を決し自信と勇気をもってチャレンジする気持ちのあらわれたブービーの表情に注目です!!
「え、どうなったかって?」は、子どもたちに問いかける感じで……。
そして、「カラスさんとネコさんにおうえんしてもらって……」は、子どもたちに答えるように、教えてあげるように読みます。

そして、最後の裏表紙では、ついに滑り台から両手をはなして勢いよくすべりおりてきたブービーに会えます。
子どもたちからも『あーっ、すべった~!』の元気な嬉しそうな声が……。
ブービー、やったね!

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