読み聞かせ

『どしゃぶり』 の読み聞かせのコツ
どしゃぶりの雨を楽しむ男の子。
誰もが覚えのある夏の午後のひとときを、美しい絵と軽快な文章で綴った共感を覚える絵本です。この絵本を読んだあとは、きっと雨が待ち遠しくなるはずです。

見返しは絵本の世界へのプロローグです。
水色をベースにした雨粒と傘の美しいページが、この先のストーリーへ導きます。
『どしゃぶり』(タイトル)
玄関の少しだけ開いたドアから覗く男の子。濃い陰が夏の暑さを表しています。物語が始まる予感を乱さないように、タイトルは静かに丁寧に。

「あっついなあ! じめんが あつあつ!? あっつ あつ!」
大きな真っ白い入道雲。雨の気配はまだ感じられません。<あっつ あつ!> は、少し強めに読むと臨場感が出ます。暑い暑い夏の日の空気やアスファルトの暑さを、思い出しながら読んでください。
「あれ? くも。まっくろの くも。こっちに くる!」
真っ黒い雨雲の大きさを感じるように。<こっちに くる!> は、これからの展開を予感させる大切な一文です。ポイントになるように、しっかりとした声で。

「ぽつっ! ぽつっ! ぽつっ! あめだ! ぽつっ ぴたん ぽつ ぽつっ! おおきい あめ!」
雨粒が、小さな粒から大きい粒に変化していきます。小さい声からじょじょに声を大きくする事で、雨粒の大きさの変化を表現します。<あめだ!> は、文字の大きさに合わせて際立つように。
「そらの においが するぞ じめんの においも するぞ」
雨の匂いを感じながら。空はやや上向き加減に、地面はやや下を見るような気持ちで読んでみてください。

「ばら ばら ばらっ ばら ばらっばらっ」
「かさの たいこだあ!」
男の子が勢いよく傘をさします。
と、同時に雨たちの歌が始まります。その歌は太鼓の音に似ています。太鼓のリズムを思い描きながら、声にのせましょう。

「ずだだだだだだだ ぼぼぼぼぼぼぼ ぼぼぼぼぼ」
さらに強く振ってきた雨。勢いよく、スピードを早めて読みます。
「うっるっさーい! ぼくが あめに いうと……」
文字の大きさに合わせて、大きめの声で。怒っているというより、楽しんでいる様子で。男の子と雨の対話の始まりです。
「ずざあ ずざあ ずざあ ずざあああ もっと ふってきた!」
じゃばばば……から、ずじゃああああああああ…まで、傘に落ちる音、地面に落ちる音、葉っぱに落ちる音、水たまりに落ちる音……。さまざまな音を表現するシーンです。文字の大きさに合わせて、声の強弱をつけます。ぞれぞれの音を、テンポを変えて読んでみるのもいいでしょう。
「そらから じめんから いろんな おとが する。いっぱい おとが ある。あめが うたってるんだ!」
男の子の心の声です。いつもの雨、だけど、いつもと違う雨の表情……。そんな感覚を、絵本の男の子と一緒に、読み聞かせを聞いている子どもたちも共有します。

「ぼくのところに あめのこえが ふってくる。」
風景を映した、大きな雨のしずくの美しさ! みずみずしく生き生きとした雨の世界を、じっくりと見せてあげてください。
「ぱっしゃーん! しゃぱ しゃぱ しゃぱ じゃぼん じゃぼん びっしゃーん! はしって けっとばせえー!」
もう、傘なんてさしていられない! わくわくを抑えられず、男の子が雨の中に飛び出していきます。軽快さや疾走感を出すように、テンポよく読んでみてください。

「とんで ぶっしゃあん!」
絵本の男の子と、聞いている子どもたちが一体化できるシーンです。子どもたちの反応と呼吸を感じながら、言葉のテンポや、絵の迫力を意識して読んであげてください。
「あまつぶが みんな ぼくのとこにくる。みんな みんな ぼくにしゃべってくる。」
雨と男の子のおしゃべりが始まります。嬉しそうに男の子のカラダで遊びまわる雨粒を意識して、軽快に。
「もっと、こーい! ぼくのとこに、こーい!」
文字の大きさにあわせて、声は大きめに。

「いくよー それーっ」
もっと、あそぼう あそぼう!
「うん、あそぼう あそぼう!」
それぞれの文字の大きさにあわせて、読んでみてください。男の子の声に出した言葉、男の子の心の中の言葉、雨粒の歌うような言葉。そんなイメージを意識しながら、軽くニュアンスを変えて読むと臨場感が出ます。
どしゃぶりの雨にうたれる男の子。イマジネーションが無限に広がる重要なシーンです。読み聞かせを聞いている子どもたちから「気持ちよさそう」という声が聞こえてきます。子どもたちの反応を見ながら、じっくりと絵を見せてあげてください。

「あめさん ばいばい また きてね。」
楽しかった雨との、会話の終わりを惜しむようにやさしく。
お風呂で傘をさすラストシーンは、いつも読み聞かせを聞いている、子どもたちから笑い声が漏れてきます。

絵本のエピローグです。どしゃぶりの雨を存分に楽しんだ、気持ちの良い夏の午後の余韻を感じるように、ゆっくりとページをめくります。
これは別の日でしょうか?
赤い傘をさすお母さんが、雨と遊ぶ男の子を迎えにきました。裏表紙が語る、もう1つの物語も、子どもたちにしっかりと見せてあげてください。
次の雨の日は、自分も真似しよう!
子どもたちをそんな気持ちにさせてあげるように、心をこめて読んであげてください。季節の恵みを感じる、読み聞かせにおすすめの一冊です。
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