しかけが子どもたちを虜にする! 『びっくりはなび』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

読み手 ーーおはなし隊隊長 佐々木貴美子
※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 
キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!
今回は、夏の風物詩「花火」を楽しめる絵本、『びっくりはなび』の読み聞かせを紹介します。

子どもたちが大好きな動物の花火が次々と夜空に浮かぶと、みんな大喜び! 花火の特徴をとらえた驚きの「しかけ」と繰り返しが子どもたちを虜にします。

この絵本は、ページを上にめくって、さらに片観音開きのページをめくる作りになっています。

最初にページを開くと、動物が花火を「発射」し、さらにその片観音ページを上に開ければ花火が「開花」します。まるで本物の花火を見ているような、臨場感あふれるしかけに、わくわく感がいっぱいです。
 
動物花火が発射されるときと開花するときの音が動物によって違うのも、この作品の大きな楽しみのひとつです。それぞれの動物にあった読み方で、わくわくしながら読んでいきましょう。
『びっくりはなび』
作:新井 洋行 講談社
キラキラピカピカしてとても綺麗な表紙です。少しだけ表紙を動かして、キラキラピカピカを楽しんでもらいます。

見返しでは、この絵本に登場する動物たちが勢揃い! 動物を印象付けるようにゆっくり見てもらいます。読み手もどんな動物が出てくるのかを確認しておきましょう。

さあ、たのしい花火のはじまりです!
最初はうさぎの登場。

「うさぎはなび いきまーす!」と元気よく読み始めます。声は上向きに、夜空に向かって花火があがるイメージで読みます。うさぎ花火は「ひゅる ひゅる ひゅる~」と上にあがっていきます。

さらに片観音ページを上に開いて「ぱーん!」と、はなびが開く感じで大きな声で元気よく読みます。ひらいた花火はうさぎの顔をしていますね。ページも元気よくパッとめくります。

そして、大きな声で「たーまやー!」と掛け声を。

「みんなも一緒に言ってみる? せーの……」と参加を促すと、子どもたちはみんな嬉しそうに大きな声で「たーまやー!」と参加してくれます。
次はへび。
へび花火も「ひゅる ひゅる ひゅる~」とあがっていきます。

そして……、「びゅるるーん!」と開きます。ぐるぐる巻きをイメージしながら元気よく読みましょう。

ここでも「かーぎやー!」を一緒に言ってもらうと、子どもたちのテンションもさらにアップ!

うさぎの周りに咲いているひまわりや、蓮の花にも注目です。これがどう変化していくのか、それも楽しみのひとつ。


次は、いるか花火。いるかは、お池から花火を打ち上げます。

あれれ? 今までお池には蓮の花しかなかったのに、いつのまにかお魚さんたちもやってきて花火をみていますね。

いるか花火はどう開くかな~。

「ぱーんっ!」イルカがジャンプするイメージで元気に読みます。


どんどんいきますよ~。

くじゃく花火は「しゅしゅ しゅしゅ しゅしゅ」とたくさん出ている感じで上にあがっていきます。

そして、「しゅー!」「しゅー!」と大きく開きます。さすが、くじゃく花火! とても迫力があります。子どもたちからも思わず「わあ~、きれい~!」と声があがります。

子どもたちは、もうすっかり『びっくりはなび』の虜になっています。
いよいよ、クライマックス。
はなびくんの登場です。
はなびくんの登場!
『びっくりはなび』より
「しゅぽっ! しゅぽっ! しゅぽっ!」と出て、「ひゅる ひゅる ひゅる~」と上がっていき、「ばん!」「ばーん!」と開き始め、「どーん!」「どん!」「どーん!」と開いて、クライマックスを迎えます。

またまた子どもたちから、「わあ~!」「すご~い!」「きれい~!」の感嘆の声がたくさん聞こえてきます。


いつの間にか動物たちも勢揃い!

みんな、にこにこ顔で花火を楽しんでいます。ひまわりも蓮の花も、いつの間にかみ~んな咲いてにこにこ顔。

最後にもう一度みんなで一緒に「かーぎやー!」
あ~、楽しかったね~!


小さな絵本ですが、色目がハッキリしていて花火も大きく描かれているので、遠目が効き、おはなし会でも見ごたえ抜群の1冊ですよ。

●今回読んだ本

『びっくりはなび』
作:新井 洋行 講談社

●プラス1冊

『ちゅうちゅうたこかいな』
作:新井 洋行

「ちゅうちゅうたこかいな」の数え歌にのって壺の中から現れたのは、たこ。たこが歌うたびにさまざまな「な」のつくものが壺から出てきます。ところが、そこへお仲間が現れて……!

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai

あらい ひろゆき

新井 洋行

Hiroyuki Arai
絵本作家・デザイナー

1974年、東京生まれ。絵本作家、デザイナー。東京造形大学非常勤講師。絵本に『れいぞうこ』(偕成社)、『いろいろ ばあ』(えほんの杜)、『おやすみなさい』(童心社)、『おばけと かくれんぼ』(くもん出版)、『びっくりはなび』『ハッピー ハロウィン!』『うんち でるかな?』『しかくいので』(講談社)、『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』(監修・森野百合子、パイ インターナショナル)など多数。

1974年、東京生まれ。絵本作家、デザイナー。東京造形大学非常勤講師。絵本に『れいぞうこ』(偕成社)、『いろいろ ばあ』(えほんの杜)、『おやすみなさい』(童心社)、『おばけと かくれんぼ』(くもん出版)、『びっくりはなび』『ハッピー ハロウィン!』『うんち でるかな?』『しかくいので』(講談社)、『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』(監修・森野百合子、パイ インターナショナル)など多数。