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講談社の創作絵本
『ぼくも だっこ』
◆西條剛央/作
◆大島妙子/絵
◆対象年齢:3歳から
家族/動物
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おかあさんは、弟のお世話でおおいそがし。
だっこをしてくれないので、まもるくんは外へ飛び出してしまいました! ところが、道で出会った動物たちに、次々とだっこをたのまれ……。
・作/西條剛央さんからのメッセージ
ぼくは次男ですが、小学校の頃に妹が二人生まれて兄になりました。妹は二人ともかわいくて、よく抱っこしたり、近所をおんぶして散歩したのを覚えています。月日は流れ、発達心理学を学び、お母さんと子どもの抱っこの研究で博士号(人間科学)を取得しました。それは協力してくださった多くのお母さんや保育士さん、そして子ども達のおかげにほかなりません。そこで学んだことを少しでもお返したいとずっと思いながらも、わかりやすく伝えるすべが見つからずにいました。そんなある日、「絵本ならできるのではないか」と思ったときに、空からふってきた話がこの『ぼくもだっこ』です。これはちょっとした(でも小さい子にとっては大きな)冒険と、動物たちとの触れあいを通した成長の物語です。この絵本を読みながら、抱っこの愉しさ、大変さ、大切さ、そしてお母さんと子どもの絆を感じてもらえたらとても嬉しいです。
・絵/大島妙子さんからのメッセージ
「だっこ」の絵本です。心温まる絵本です。そういえば以前にも私は「だっこ」の絵本や、「だっこ」の挿絵をたくさん描いてきました。それなのに私自身は子供がいないので、実際に子供を「だっこ」した経験がほとんどないのです。たまに友人のお子さんを「だっこ」させてもらう事はありましたが、(そのお子さん達ももう今は大きくなってる事でしょう……)慣れてないので実にぎこちなく、泣かれた日にゃほとほと困ってしまいます。けっこう重たいし。そんな私がよくこんな心温まる「だっこ」の絵本を描いてるよなあ……なんて時々思います。しかも親子の表情がとても幸せそうに描けているではないですか!? なんて自画自賛ではありませんが、たぶんこれは私自身の幼い頃の記憶がどこかに残っているからではないのかしら? お母さんに「だっこ」してもらうのが大好きで、その幸せだった記憶……。だからね、「だっこ」、いっぱいしてあげるといいと思いますよ。ちなみに、うちのピーコ(犬)は「だっこ」大嫌いみたい。あー、だっこしたいなー!
西條剛央(さいじょう たけお)
1974年、宮城県生まれ。早稲田大学卒業後、同大学大学院にて日本で初めて母子間の抱っこの研究をもとに博士号取得。発達心理学の視点から「抱っこ」の研究を進めつつ、自ら体系化した理論である構造構成主義の応用や普及を行っている。著書に『母子間の抱きの人間科学的研究』(北大路書房)、『看護研究で迷わないための超入門講座』(医学書院)など多数。現在、早稲田大学大学院商学研究科専門職学位課程(MBAコース)の専任講師。
大島妙子(おおしま たえこ)
1959年、東京都生まれ。出版社勤務の後、絵本を描きはじめる。おもな作品に『ジローとぼく』(偕成社)、「猫吉一家物語」シリーズ(金の星社)、『たなかさんちのだいぼうけん』、『いがぐり星人グリたろう』(あかね書房)、『最後のおさんぽ』(講談社)、『おかあさんおかあさんおかあさん…』(佼成出版社)、『わらっちゃった』(小学館)、『あら、たいへん!こんなじかん』(ポプラ社)、「やまんばあさん」シリーズ(文・富安陽子/理論社)などがある。
1代目の担当が西條さんから原稿を預かり、2代目の担当が大島さんに絵を依頼し、3代目の私でついに完成した絵本です。西條さんは、現在は“構造構成主義”という聞いただけでも難しそうな理論を作られて幅広くご活躍ですが、学者としてのスタートを「抱っこ」研究で始められ、発達心理学の世界で著名な内田伸子先生とも交流が深く、そもそも当編集部にお話をいただいたのは、内田先生のご紹介もあってのこととか。そして、その西條さんたっての希望で絵をお願いした大島さんは、 前作から画法を変えたばかりという透明感あふれる色彩で、とびきりキュートな人間親子&動物親子を描いてくださいました。動物たちがそれぞれ個性的なアイテムを身につけていたりして、遊び心満載の絵。最後のページのおうちの窓ガラスにかすかに映る姿は……! 画家さんというのは、文字に描かれていないところまで思いをはせて描かれるのだなぁとあらためて感じ入りました。急に寒くなってきたこの季節、あったか〜い絵本はいかがですか!(J)
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