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(ほろほろ鳥)6月の編集後記

いま絵本新人賞の選考が佳境を迎えていますが、新人賞に応募されるメリットは、賞を取ることだけではありません。今月刊行した『ルッキオとフリフリ 大きなスイカ』は、選からもれましたが、読んだ者に強いインパクトを与える作品でした。それがご縁となって担当者との長い「熟成期間」を経て満を持しての刊行となりました。ぜひ、本屋さんで手に取って見て頂ければ、このふしぎなインパクトを共有していただけると思います。さて、長らくご愛読いただいている『講談社 絵本通信』ですが、この形での更新は、これが最後。スマホからも見やすく、SNSやツィッターなどとも連動して大幅に、リニューアルします。今よりもっと、こまめに情報発信できるようになります。またリニューアルを記念してプレゼント企画もありますので、ぜひぜひチェックをよろしく御願いします。(ほろほろ鳥)

 
次回は2014年7月31日更新予定です。
 
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第32回講談社絵本新人賞受賞作『ぼくと おおはしくん』刊行記念 デビュー日記連載中!
生きているのがつらいと思っているきみへのメッセージ

イラスト/高島尚子

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『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』
講談社の創作絵本
『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』
◆石井聖岳/作
◆読み聞かせ:3歳ごろから ひとり読み:6歳ごろから
行事/家族/童謡・歌

内容紹介
“やねよりたかい”こいのぼりも、とらのこ3兄弟にかかると、こ〜んな不思議なこいのぼりに大変身。やんちゃな男の子パワーあふれる、楽しい季節の行事えほん。
作者からのメッセージ
・作/石井聖岳さんからのメッセージ

僕の家は屋根より低いこいのぼりでしたが近所の友達の家が本当に屋根より高い、大きなこいのぼりを毎年あげていていました。
いつも遊んでいる場所、知っている場所に急に大きなこいのぼりが現れて泳ぎ出だし、そしてまた気がついた時にはいつの間にか消えてしまっている感じが、僕はとても好きでした。
今でもこいのぼりを見ると、ついつい『こいのぼり』の歌を歌いたくなります。
著者紹介
石井聖岳(いしい きよたか)
1976年、静岡県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒業。『つれたつれた』(内田麟太郎文、解放出版社)、『ヤドカシ不動産』(穂高順也文、講談社)、『電信柱と妙な男』(小川未明文、架空社)、『ぷかぷか』『森のイスくん』(ともにゴブリン書房)、『もうすぐここにいえがたちます』(ほるぷ出版)、『おこだでませんように』(くすのきしげのり文、小学館)、『ツェねずみ』(宮沢賢治文、三起商行)など一連の斬新な作品で注目される絵本作家。『ふってきました』(もとしたいづみ文、講談社)で第39回講談社出版文化賞絵本賞、第13回日本絵本賞を受賞。
http://www.ishikoro.jp/
担当者のうちあけ話
屋根より高いこいのぼり、って最近の住宅事情では結構難しい。こいのぼりの歌を歌いながら「え〜、屋根より高くない……」と思ったのか思わなかったか、トラの子たちが新しいこいのぼりをつぎつぎ生み出してしまうのが爽快な絵本です。そして、石井さんののびのびした絵を感じながら、一緒に替え歌を作ったりして楽しんでほしいと思います。個人的には、とらの子たちが結構コワモテなのが、気に入っています!(J)
関連図書
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『ふたりのナマケモノ』
講談社の創作絵本
『ふたりの ナマケモノ』
◆高畠 純/作
◆読み聞かせ:3歳ごろから ひとり読み:小学校低学年
動物/ユーモア

内容紹介
ナマケモノは、けっして怠けているわけではありません。また、物事に動じないわけでもありません。おどろくようなことが、あってもおどろく前に、さわぐようなことがあっても、さわぐ前に、物事が移ろっていくのです。そんなふたりのナマケモノが主人公のこの絵本には、時間がゆったり流れています。時間がゆったり流れると違うものが見えてくる、そんなユーモラスな絵本です。せかせか、しゃかしゃか、いらいらしてしまいがちな、あなたに贈るショートストーリー4話。
作者からのメッセージ
・作/高畠 純さんからのメッセージ

動物に「ナマケモノ」とは、また大変な名前をつけたものである。
ただゆっくりしているだけで、動作が遅いだけで、この名前がついてしまったのか。動きの鈍い他の生き物では「スローロリス」がいるけど、この名は「ナマケモノ」よりはマシかな。
ま、それはともかく、このナマケモノ、時間を通常よりうーんと長くして、あせらず、急がず、自然な空気と共に生き、ゆっくり気楽に……。
こんな生き方、誰でも一度は望むこと。子どもだって「早くしなさい!」の言葉、耳タコでしょう。
さ、ゆっくり絵本、どうぞ見てください。ゆっくりね。
著者紹介
高畠 純(たかばたけ じゅん)
愛知県生まれ。1983年『だれのじてんしゃ』(フレーベル館)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞、2004年『オー・スッパ』(講談社)で、日本絵本賞受賞。主な作品に、『だじゃれしょくぶつえん』(絵本館)『ワニぼうのこいのぼり』(文溪堂)『オレ・ダレ』『あそぼ あそぼ』(いずれも講談社)などがある。
担当者のうちあけ話
作者の高畠純さんは、とても頭の回転の速い方です。会話のリズムがよくて、冗談がポンポンとびだして、お話ししていると、こちらの頭の血のめぐりまで良くなった気がします。でも、不思議なのですが、たぶんだれが見ても高畠さんの印象に、せかせかしたところはありません。むしろ、おっとりした感じ。(ほろほろ鳥)たぶん思考の流れがすごく早いと、時間はゆったり流れるのでしょう。この『ふたりの ナマケモノ』にも、そんな高畠さんの印象どおり、とてもゆったりした時間がながれています。これにひたっていると、「なんで、せかせかしていたんだろう」と思います。まるでハワイや沖縄にいったときのように。そんな感じ、ぜひお楽しみください。(ほろほろ鳥)
関連図書
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『アンジェリーナの はるまつり』
講談社の翻訳絵本 クラシック セレクション
『アンジェリーナの はるまつり』
◆キャサリン・ホラバード/文
◆ヘレン・クレイグ/絵
◆おかだよしえ/訳
◆読み聞かせ:2歳から ひとり読み:5歳から
寝る前の読みきかせに

内容紹介
待ちに待ったおまつり。小さなヘンリーを
連れていくことになったアンジェリーナは……。
訳者からのメッセージ
・訳/おかだよしえさんからのメッセージ

 ネズミの国の長い冬があけ――。
 こんどのアンジェリーナは、9巻目。春祭りのお話です。
 ヨーロッパには、5月1日に、春の到来を祝う「メイデイ」という伝統行事があるそうです。当日は、お花やリボンで飾った「メイポール」という柱の回りを、少女たちが踊り回り、春の女神を迎えるとか。
 優雅ですねえ! ネズミの国の春祭りも、これとそっくり。
 アンジェリーナたちの可愛いダンスを、どうぞご覧ください。
 そして、お祭り会場の楽しさ!
 にわか仕立ての会場には、観覧車、ジェットコースター、お化け屋敷までありまして! ヘレン・クレイグさんの絵からは、音まで聞こえてきそうですが――。さて、お騒がせ坊やのヘンリー君、ここで何をしでかしてくれるのやら?
 翻訳担当者は、アンジェリーナといっしょにまっさお! さいごのさいごに、思わずほろり!でした。このほんわかした感動を、お一人でも多くのかたに、味わって頂けますようにと、心から!!
 ところで、皆さん、ネズミの国の“木馬”は、どんな動物の顔をしていると思われますか? お確かめください。
 もう――笑えますよぉぉぉぉ! ぜひぜひ、ご覧くださいね!
著者紹介
キャサリン・ホラバード(Katharine Holabird)
シカゴ生まれ。1969年、ベニングトン大学文学部卒業後、ジャーナリスト、幼稚園教論、フリーのライターなどを経て、1982年より児童書の執筆に入る。1983年からヘレン・クレイグと組み、「アンジェリーナ」シリーズに着手。現在までに10作品以上を発表している。このシリーズで、ケンタッキー・ブルーグラス賞、Child Study Association's Children's Book of the Yearなど多くの賞を受賞している。

ヘレン・クレイグ(Helen Craig)
1934年、ロンドン生まれ。祖父に高名な舞台芸術家であり、演出家・木版画家でもあったゴードン・クレイグを持ち、父は映画監督、兄弟はグラフィック・デザイナーという芸術一家の一員として育つ。フォトスタジオ経営、陶芸家・彫刻家としての活動を経て、1970年より児童書の挿絵画家として活躍。これまでに手がけた挿絵は、60作以上に及び、「アンジェリーナ」シリーズで数々の賞を受賞しているほか、1995年度米国書店推薦賞など多数の賞に輝く。

おかだよしえ(岡田好惠)
1950年、静岡県生まれ。青山学院大学仏文科卒業。翻訳作品に、『ぼく パパに なるんだよ』、「カモノハシのプラティ」シリーズ、「ティーン・パワーをよろしく」シリーズ(以上 講談社)、『ジャングル・ブック』(講談社・青い鳥文庫シリーズ)、『デルトラ・クエスト』(全8巻)(岩崎書店)など。著作に、『アインシュタイン』、『ダイアナ妃』(講談社・火の鳥文庫シリーズ)などがある。
http://www.okadayoshie.com/
担当者のうちあけ話
 いつもは、秋に新刊をお届けしているアンジェリーナシリーズですが、タイトルどおり春のおはなしなので、今回は4月の刊行にしました。
 あくまでも私の個人的な感想ですが、「かわいそうなヘンリー!」とは、あんまり思わなかったんですねー。わが家の中豚(中学生になったので、子豚1号改め)の、小さい頃を思い出していたからです。連れて歩くと、勝手にあちこちいなくなってしまい、そのつど探し回り、ようやく身柄を確保しても、本人は全然あわてておらず、のんきに何かを眺めていて、いつも拍子抜けでした。だから、アンジェリーナのストレスにはちょっと同情します。
 でもよーく読むと事情は少々違います。ヘンリーは好きで自分からいなくなったわけじゃないってこと。(チ)それでもアンジェリーナがその後のヘンリーにやさしくなっちゃうのは、最初に自分の好きなものばっかりに乗った、といううしろめたさを抱えた過剰反応なんでしょう、ふふふ……。
 といわけで、私はこんなことを考えながら、この絵本を作りましたが、みなさんはどんなふうにお読みになるでしょうか?(チ)
関連図書
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『miffy×miffy×miffy』

『miffy×miffy×miffy』
◆講談社/編
◆対象年齢:大人むけ
生活/写真

内容紹介
2010年は、ミッフィー誕生55周年。その記念イヤーにふさわしい、豪華な一冊が誕生します。絵本の世界を飛び出して、わたしたちのまわりに存在するミッフィーアイテム。ぬいぐるみ、貯金箱、ステーショナリー、お弁当箱……。どのような形になっても、ミッフィーだと認識できるそのデザイン性の高さは、様々な分野で活躍するアーティスト達にも支持されています。そこで本作では、第一線で活躍する写真家にミッフィーを撮り下ろしていただきました。一点、一点の写真が素晴らしく、パリで小さな女の子が大きなミッフィーと並んでいるMIKA POSAの写真や、前田晃氏による北海道の雪の中でのミッフィーなど、ミッフィーファンはもちろんですが、かわいいもの好きなオトナ女子、写真好きにも楽しんでいただける一冊です。
担当者のうちあけ話
撮影は、極寒のパリや真夏のオーストラリアなどでも行われました。パリの撮影にのぞまれたのは『パリのちいさなバレリーナ』の写真集でも人気のカメラマンMIKA POSAさん。(わんこ)72?の大きなミッフィーのぬいぐるみを日本から持って飛行機でパリへ出発されました。そのぬいぐるみを手にした子どもたちの愛らしい笑顔に、ぜひご注目ください。もちろん、この写真以外にも、1点、1点の写真は、どれもミッフィーへの思いがぎゅっとつまったものばかり。ぜひ、手にとってご覧いただきたいです。この本は、ミッフィー型のオリジナルマウスパッドもついた55周年限定版もありますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。(わんこ)
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『miffy×miffy×miffy miffy 55th Anniversary Limited Edition』

『miffy×miffy×miffy miffy 55th Anniversary Limited Edition』
◆講談社/編
◆対象年齢:大人むけ
生活/写真

内容紹介

『miffy×miffy×miffy』の55周年限定版。薄型のミッフィー顔型マウスパッドなので、デスクの上もかわいくすっきり! 55周年企画中の限定発売のおすすめミッフィーアイテムです。
担当者のうちあけ話
この限定版のデザイナーチームのデザインコンセプトのカギは、(わんこ)「マウスパッドのミッフィーの耳と本で、ミッフィーに見えるようにしたい」とのことでした。マウスパッドをケースの下に入れると耳に見えない、上に入れると本と一体化して見えない……。試行錯誤の結果、「これだ!」と思う形ができました。プレゼントにもぴったりです。(わんこ)
関連図書
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『Baby’s Diary ミッフィー 赤ちゃん日記』
『Baby’s Diary ミッフィー 赤ちゃん日記』
◆ディック・ブルーナ/絵
◆対象年齢:大人むけ
生活/祝い

内容紹介
この本は、赤ちゃんのたいせつな思い出を残しておくための赤ちゃん日記です。いつかお子さんに伝えたい、たくさんの喜びや感動を、写真やことばで自由にアレンジして、世界中でたったひとつの思い出の絵本を作りましょう。全ページにブルーナのイラストがあしらわれ、書きやすいように罫線が入ったページや、大好きなおもちゃ、食べ物の記録スペースがあったり、楽しく記入できるしかけもいっぱいです。出産のお祝いにもぴったり!
担当者のうちあけ話
この本は、1987年に刊行された本の新装版です。ブログやデジカメはとっても便利。ですが、プリントアウトしておかないと、あの写真どこだっけ? なんてことにもなりがちです。(わんこ)大切な赤ちゃんの写真は、やっぱりプリントアウトして、一冊にまとめてとっておきたいですよね。続けて書くのは大変かも……? ミッフィーのかわいいイラストが、ページを開くときにもきっと助けになるはずです。楽しくて続けられる赤ちゃん日記です。(わんこ)
関連図書
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『ぶどう酒びんのふしぎな旅』
『ぶどう酒びんのふしぎな旅』
◆藤城清治/影絵
◆H.C.アンデルセン/原作
◆町田 仁/訳
◆対象年齢:小学生中級から
影絵の本/名作の絵本

内容紹介
あばら屋の二階の窓辺に、老婆の飼い鳥の水飲み用に置かれた、こわれたぶどう酒びん。じつは、このびん、老婆が、美しい少女だったころ、その婚約の席で空けられた、ぶどう酒びんだった……。使われては、捨てられ、また拾われて、べつの人の手に渡りというぶどう酒びんの旅が、人生の遍歴とオーバーラップしていきます。アンデルセンの名作を、世界的な影絵作家の藤城清治が、人生の万感をこめて絵本化。
作者からのメッセージ
・影絵/藤城清治さんからのメッセージ(あとがきより、抜粋)

 ぼくの原点はアンデルセン童話だ。人間だけでなく、すべての動物や植物、椅子や机やびんにも、愛と命をふきこんで人生を描き出すからだ。(中略)
 名編集者として名高い花森安治さんと出会い、「暮しの手帖」に連載がはじまった。「君の影絵は光をあてて演じる影絵劇から生まれたから、動きがあり、絵が呼吸している。」と花森さんは評して、ぼくの影絵を、絵と光がドッキングした新しい芸術だ、とほめてくれた。影絵の連載から1年余りたったとき、影絵の絵本を、ぼくの一番好きな話で出すことになった。ぼくは、このアンデルセンの「びんの首」を選び、題名を「ぶどう酒びんのふしぎな旅」とした。そして1950年26歳のとき、ぼくの最初の絵本として世に出た。
 びんの一生をたどりながら、それぞれの人生の喜びと悲しみとはかなさを描いた物語で、影絵はモノクロだった。(中略)
 ぼくの影絵がカラー主体になった50歳くらいから、カラーでもう一度、この物語を絵本にしてみたいという気持が強くなってきた。モノクロで約60枚の影絵が数ヶ月かかったから、その何倍も手間のかかるカラーでは、そう簡単にとりかかれなかった。しかし、年とともに思いはつのり、2、3年前から、最初の絵本刊行から60年目にあたる、ぼくの86歳の誕生日を目標につくりはじめた。
 つくりだすと60年間のさまざまな想いが、この物語にだぶって次々とオーバーラップしてきて、急に涙がこみあげてきたりする。真夜中、ひとりで涙を流しながら切り抜いていることも何度かあった。
 60年の長い人生を乗り越えてきた、経験と技術と感度のすべてをこめて作らなければ、再び作る意味はないだろう。ただ60年前もいまも、切っているのはただの剃刀の刃で、紙も、新聞紙やトレーシングペーパーやザラ紙だ。道具も材料も、どこにでもあるありふれたものばかりで、変わっていない。心も、原点は学生時代からずっと一本道を歩き、変わらない。どこまで奥深く掘りさげられるか、ということでしかないだろう。
 訳文の町田仁さんは、慶応の児童文化研究会の人形劇の中で一年先輩だが、いまも健在で、文を書き直してくれてうれしかった。
 できた絵本はまず、天国の花森さんに捧げたい。きっと喜んでくれるだろう。
 そして、世界中のこどもは勿論、大人にもひとりでも多く、見てもらいたいと思っている。この光と影の絵本を通じて、人生の美しさや喜びを感じとっていただければ、こんなうれしいことはない。
著者紹介
藤城清治(ふじしろ せいじ)
1924年東京に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業。12歳から油絵を始め、独立美術協会展、新制作派展に入選。卒業後、名編集者の花森安治に認められ、雑誌「暮しの手帖」に影絵を連載。テレビ、影絵、国内外での展覧会の開催など多彩な活動を続ける。1983年には『銀河鉄道の夜』で、ブラチスラヴァ国際絵本原画コンクール・金のりんご賞を受賞。ほかに紫綬褒章、勲四等朝日小綬章、日本児童文芸家協会児童文化功労者など、多数の叙勲、受賞歴がある。近著に『光と影の詩人−藤城清治の世界』(平凡社)、『藤城清治作品集』(美術出版社)など多数。DVDに『銀河鉄道の夜』『ケロヨンのぼうけん』などがある。

町田 仁(まちだ しのぶ)
1922年東京に生まれる。慶應義塾大学文学部卒業。花森安治との知遇を得て「暮しの手帖」誌上で、藤城清治が影絵で描く、外国名作童話の翻訳を担当。1950年に発表された、暮しの手帖社刊行の『ぶどう酒びんのふしぎな旅』でも翻訳を行った。また大手広告代理店で広告プランナー・プロデューサーとして活躍するかたわら、ラジオ・テレビ・演劇でシナリオを多数発表。
担当者のうちあけ話
この本は、藤城先生からのメッセージにも書かれているように、1950年に暮しの手帖社からモノクロで刊行された『ぶどう酒びんのふしぎな旅』を、原画をすべて新たにカラーで描き起こし、本文も大幅に加筆修正して刊行したものです。2009年の晩秋に、最初にこの企画の最初の打ち合わせをしたとき、85歳(当時)にして自分の原点に挑戦するという、藤城先生の若々しい意欲に驚嘆しつつ、残された製作期間の短さに一抹の不安を覚えました。しかし、本当に驚かされたのは、それからでした。なにしろ、最初の打ち合わせ段階ですでに半分ほどの原画は仕上がっているとのことでしたが、絵本にするにあたって文とつきあわせていくと、先生みずから「ここを修正、こちらは描き直し」とつぎつぎ新たに描かなければいけないところが増やしていかれます。とにかく作品を良くするということに関して、全く妥協がないのです。事務所のスタッフの方々も昼夜兼行ですが、誰より忙しいのが藤城先生ご自身。(ほろほろ鳥)あまりの激しい仕事ぶりに「先生はいつ寝てらっしゃるんですか。」とスタッフにたずねると「『年をとってよけい寝なくて良くなったんだよ』といって、寝ないんです」とのこと。見事に全点を脅威のペースで描き上げられました。その超人的な仕事ぶりに年齢を超えた、アーティストの作品に向かい合う姿勢のすさまじさを見たような気がしました。(ほろほろ鳥)
関連図書
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『よーするに医学えほん インフルエンザ編』
講談社の創作絵本
『よーするに医学えほん からだアイらんど インフルエンザ編』
◆きむらゆういち 川田秀文/作
◆中地 智/絵
◆横山 泉/監修
◆対象年齢:小学中級から
からだ/しかけ絵本

内容紹介
「からだアイらんど」に新しい敵が侵入してきた。
島が占領される前に、武器を作らなければ!
楽しいキャラクターでいきいきと描く、医学しかけ絵本の最新刊。
作者からのメッセージ
・作/きむらゆういちさんからのメッセージ

 ひとの身体の構造は、世界中の人間が同じです。そして生まれてから死ぬまでつきあっていかなければなりません。
 それなのにボクはこの本を作るまで、十二指腸が何をするところか、薬がどうやって治すのかも知りませんでした。こんな無知なボクだからこそ、子どもたちにも分かりやすい医学の本を作りたい。どうやったら分かるのだろうと考え始めたのは、10年以上も前です。その思いがついにかなって、今やっと3巻そろいました。ボクにとっては、本当に感激です。

・作/川田秀文さんからのメッセージ

 怪我や病気になると、体はどんな仕組みでこれを治すのでしょう。体は、常に、外部から侵入する敵をやっつけ、身を守り、障害を受けた所を再生しているのです。こうした働きを、島国の国民が必死に国を維持している姿にたとえて説明します。こんな精緻な仕組みを持っているから、私たちはこの世に生きながらえることができるのです。知れば知るほど生きている事のすばらしさを知り、健康を維持する大切さを考えさせてくれるでしょう。
著者紹介
きむらゆういち
東京都生まれ。造形教室、幼児番組のアイデアブレーンなどを経て絵本、童話作家に。『あらしのよるに』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞、サンケイ児童出版文化賞JR賞受賞。演劇「あらしのよるに」で斎田喬戯曲賞、映画「あらしのよるに」で日本アカデミー賞優秀賞受賞。作品に『きずだらけのリンゴ』『風切る翼』「おおかみ・ゴンノスケの腹ペコ日記」シリーズ(以上、講談社)など。純心女子大学客員教授。
公式HP http://www1.odn.ne.jp/kimura-yuuichi

川田秀文(かわだ ひでふみ)
1945年東京生まれ。1970年、埼玉大学理工学部生化学科卒。出版社で百科事典編集(医学担当)後、中国北京に留学。帰国後、編集プロダクション兼ストックフォトエージェンシーの有限会社CPC設立。『地球の歩き方』(ダイヤモンドビッグ社)の東アフリカ編、モンゴル編、ロシア編などを編集。カメラマンでもあり、著書は『三国志一英雄の舞台』(旺文社)、『世界の大都市(11)』(教育社)など。山梨大学非常勤講師。

中地 智(なかち さとし)
1943年函館生まれ。桑沢デザイン研究所卒。日生劇場はじめ劇団四季、演劇集団円、青山劇場など多くの演劇宣伝のイラスト、デザインを手がける。書籍の装幀・挿絵に『ママの黄色い子象』『幽霊探偵団』シリーズ(以上、講談社)、『日曜日のテルニイ』『さよならは大きらい』『ゆうべ、海を見た。』『卒業の夏』(以上、学研)、『小さなシンフォニー』(偕成社)など、カバーイラストに『ラフマニノフ』(音楽之友社)、丸善ブックス(全巻)などがある。

横山 泉(よこやまいずみ)
東京女子医科大学名誉教授。横山泉クリニック院長。新潟県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター、同大学附属成人医学センター教授、同大学附属青山病院院長を経て現職。専門は消化器病学、健康管理学。わかりやすい説明が人気で、小学校での講演も好評。『治す・防ぐ・若返る健康医学事典』(講談社)など、著書・監修書は多数。
担当者のうちあけ話
昨年、(わんこ)と入れ替わりで、児童文学の編集部に異動していった(若)です。「よーするに医学えほん」シリーズは、絵本ですが、(わんこ)が児童文学の編集部にいたときに担当していたもので、(若)が引き継ぐことになりました。ややこしくて申し訳ありません。ややこしいと言えば、人間の体は、(若) とてもややこしくできています。そのややこしい体のしくみを、しかけを使ってユーモアいっぱいに説明しようというのが、この「よーするに医学えほん」なのです。今回のテーマはインフルエンザ。「インフルエンザの絵本」は、私の知るかぎり日本初登場です。新型インフルエンザに負けないために、まずはそのしくみを知りましょう!(若)
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