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講談社の創作絵本
『よるの えんてい』
◆佐々木 洋/文
◆上條滝子/絵
◆読みきかせ:4歳から ひとり読み:5歳から
夏/自然/生物
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「先生、さようなら」にぎやかに子どもたちが帰り、最後の先生が鍵をしめて帰ってしまうと、幼稚園の庭は、だれもいなくなって、さびしくなった……いえ、そうではないようです。
夜の園庭には、びっくりするほど、いろいろな生きものたちがいるのです。ほら、水銀灯にあつまる蛾やカナブン、それを狙うコウモリたち。壁にはヤモリが、見れば見るほど生きものたちがかくれています。
途中、雨がふりはじめ、雷がなり、夜が更けて、また月がでてきます。それぞれの見開きには、なにかの生きものがかくれていて、静かなドラマをくりひろげます。
・文/佐々木 洋さんからのメッセージ
『よるの えんてい』に書かせていただいたことは、あちこちでふつうに起きていることがほとんどです。ぜひご自身のお子さんの通っている幼稚園や保育園などを舞台と考え、この本を読んであげたり、読ませてあげて下さい。子どもたちは、夜という言葉を耳にしただけで、胸をときめかすものです。しかも、毎日のように自分が通っている場所で起きているかもしれないことです。 きっと、目を輝かせ、身をのりだして、この作品を楽しんでくれることでしょう。
・絵/上條滝子さんからのメッセージ
この絵本には、ダンゴムシからタヌキの親子まで、ずいぶんいろいろな生き物が登場する。いちばんの変わり者は、ミスジコウガイビルだろう。だからといって特別な役割りを振られている訳ではない。画面にいちばん大きく描いたタヌキも、登場数最多のネコ君も、小さなダンゴムシと同等の扱いだが、いろいろな生き物がごく自然な姿で登場するよう、それぞれの画面作りにはずいぶん苦心した。けれど、いつも問題になったのは、「これは園庭のどこ?」だった。そう、園庭は、今や都会ではなおさら、小さな生き物たちや子どもたちにとっての、いわばサンクチュアリなのだ。主役は、この本を手に取って想像力をふくらませて楽しんでいる子どもたちであるようにと願っている。
佐々木 洋(ささき ひろし)
プロ・ナチュラリスト。1961年、東京都生まれ。(財)日本自然保護協会自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て20年以上にわたり自然解説活動を展開。現在、日本では数少ないプロフェッショナルのナチュラリスト(自然案内人)として、国内・外の各地をフィールドに、講演、執筆、写真撮影、テレビやラジオ番組への出演・監修など幅広く活躍している。日本自然科学写真協会会員、俳句結社ホトトギス同人、TBSラジオ全国こども相談室自然担当レギュラー回答者。『なぜなに? えほんずかん みぢかないきもの』『さんぽで発見いきもの100』『ネイチャー刑事』シリーズなど著書多数。
上條滝子(かみじょう たきこ)
東京生まれ。イラストレーター。雑誌や童話のさし絵、絵本画家として活躍するかたわら、幼稚園での絵画教室で長く子どもたちと関わる。おもな絵本に『ほいくえんのいちにち』(丘 修三/文 佼成出版)、『けんちゃんのみどりのぼうけん』(せたがやトラスト協会)、『またあした』(鈴木初江/詩 リーブル)などがある。
子どものころ、夜に昆虫採集に出かけるのに、すごくあこがれていました。
一度、「友だちといっしょに近所なら、1時間だけ」とゆるしてもらったのですが、どこをさがせばいいかわからず、すぐにタイムアップ。がっかりしたことを覚えています。
でも、夜でも昼でも、佐々木洋さんの観察会に参加すると、とくに特別な環境でなくても、とてもたくさんの生き物に出会えます。
それはほんとうに、まなざしの問題なのですね。ちょっと見方を変えるだけで、何もいないと思っているところに、すごく沢山の生き物たちが暮らしている。
静かなようでも、そこにはさまざまなドラマが起きている。
幼稚園の園庭を舞台にした、この一夜の物語も作り物ではなく、あなたの近所の園庭でも充分起こっているお話。
それを1年かけて上條滝子さんが清潔な絵で、しかもドラマチックに描ききってくださいました。
生き物があまり得意でないというお母さんも、ぜひこの絵本で夜の生き物たちのワンダーランドを見てみてください。
きっと生き物のことが好きになります。(ほろほろ鳥)
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