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(ほろほろ鳥)6月の編集後記

いま絵本新人賞の選考が佳境を迎えていますが、新人賞に応募されるメリットは、賞を取ることだけではありません。今月刊行した『ルッキオとフリフリ 大きなスイカ』は、選からもれましたが、読んだ者に強いインパクトを与える作品でした。それがご縁となって担当者との長い「熟成期間」を経て満を持しての刊行となりました。ぜひ、本屋さんで手に取って見て頂ければ、このふしぎなインパクトを共有していただけると思います。さて、長らくご愛読いただいている『講談社 絵本通信』ですが、この形での更新は、これが最後。スマホからも見やすく、SNSやツィッターなどとも連動して大幅に、リニューアルします。今よりもっと、こまめに情報発信できるようになります。またリニューアルを記念してプレゼント企画もありますので、ぜひぜひチェックをよろしく御願いします。(ほろほろ鳥)

 
次回は2014年7月31日更新予定です。
 
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第32回講談社絵本新人賞受賞作『ぼくと おおはしくん』刊行記念 デビュー日記連載中!
生きているのがつらいと思っているきみへのメッセージ

イラスト/高島尚子

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『トイレの神様』
講談社の創作絵本
『トイレの神様』
9月2日発売
◆植村花菜/文
◆とりごえまり/絵
◆対象年齢: 5歳から
家族

内容紹介
亡き祖母との思い出をつづった楽曲「トイレの神様」が9分52秒という異例の長さにも関わらず、ラジオ、テレビ、インターネット等で注目を集めています。この曲は、「トイレそうじをするとべっぴんさんになれる」とおばあちゃんに教えられた女の子の成長をおった物語。生前に伝えられなかった感謝の思いを胸に秘めて、前向きに生きていこうとする姿に、大切な人を思う、あたたかな思いが感じられる一冊です。
作者からのメッセージ
・文/植村花菜さんからのメッセージ

この作品を通して伝えたかったのは、おばあちゃんへの感謝の気持ちです。いつも味方でいてくれたおばあちゃんがいなかったら、おばあちゃんと二人の生活がなかったら、今の植村花菜はこんなふうにはなっていなかったと思います。それにしても歌を作ったときには、まさか絵本になるとは思いませんでしたが、とりごえさんの絵がかわいらしくて、感激しています。ちっちゃい子は、率先して、トイレそうじをしてくれるとうれしいです。

・絵/とりごえまりさんからのメッセージ

まだ春の足音もしないころ、このお仕事の依頼がありました。「まず、曲を聴いてみて下さい」と、送られてきた『トイレの神様』の音源。イントロ部分を聴いただけで、私の涙がでるスイッチは押され、10分近い曲が終わるころには、私は号泣していました。そして、ぜひこの絵を描きたい! という想いでいっぱいになり、お仕事を引き受けたのです。
何度も繰り返し曲を聴きながら、絵を描きました。いいお仕事ができて幸せでした。
おばあちゃんに限らず、大切な人のことを思い浮かべながら、絵本を開いていただけたらと思います。
著者紹介
植村花菜(うえむら かな)
1983年、兵庫県川西市に生まれる。8歳の時、「たくさんの人が笑顔になれるような歌を歌いたい!」と、歌手になることを決意。やがて高校を卒業し、「ストリートミュージシャンオーディション」でグランプリに選ばれ、デビューのきっかけをつかむ。2010年9月15日には、「トイレの神様」の別バージョンをふくむアルバム「花菜〜My Favorite Things」を発売する。
オフィシャルHP:http://www.clearsky.co.jp/kana/
植村花菜オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/uemurakana/

とりごえ まり
1965年、石川県金沢市に生まれる。金沢美術工芸大学(商業デザイン専攻)卒業。その後、おもちゃやキャラクターグッズなどの企画やデザインの仕事にたずさわる。退社後、1996年、絵本作家としてデビューする。以降、絵本に「ハリネズミのくるりん」シリーズ(文渓堂)、「ピッケとポッケ」シリーズ(佼成出版社)、『セミのたね』(文・阿部夏丸)、低学年むけよみものに『スカンクプウちゃん』(ともに講談社刊)などがある。
http://torigoe-mari.net/
担当者のうちあけ話
はじめてこの曲を聞いたとき、のびやかな声と歌詞の内容に涙が出そうになりました。アルバムのジャケット写真を見て、繊細そうな方が作ったんだなと思ったのですが……実際の植村さんは、関西弁で話には必ずオチをつけようとするサービス精神いっぱいの人です。打ち合わせの間、とりごえさんも私も笑ってばかり。植村さん、とりごえさん、お二人のあたたかい人柄が伝わってくるいい絵本だと思いますので、ぜひ、ご覧ください。(わんこ)
関連図書
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『にょきにょきのき』
講談社の創作絵本
『にょきにょきのき』
◆9月1日発売
◆斉藤 洋/作
◆高畠 純/絵
◆読み聞かせ: 3歳ごろから ひとり読み:6歳ごろから
自然/進化/誕生/読み聞かせ

内容紹介
にょきにょきと生長するので、「にょきにょきのき」とよばれる一本の木。にょきにょきのきは、花を咲かせ、実をつけ、それらが散った後も、新たなつぼみを生みだしていく。どんどん大きくなっていくにょきにょきのきは、やがて……。斉藤洋と高畠純が贈る、限りなく続く「誕生」の物語。
作者からのメッセージ
・作/斉藤 洋さんからのメッセージ

 どうも私は<にょきにょき>という言葉が好きらしくて、イタリアンレストランに入ると、つい、ニョッキを注文する傾向があります。とはいえ、<にょきにょき>と<ニョッキ>はまるでちがう言葉であります。ひとつは日本語で、もうひとつはイタリア語です。語源もちがうし、意味もまるでちがいます。
 ところが、<にょきにょき>と<にょっきり>だと、これは両方とも日本語だし、たぶん語源も同じでしょう。しかし、<にょきにょき>と<にょっきり>ではだいぶちがうのです。「背がにょきにょき伸びる」とは言っても、「背がにょっきり伸びる」とは言いません。また、「山が雲からにょっきり顔を出す」とは言っても、「山が雲からにょきにょき顔を出す」とは言いません。
 つまり、<にょっきり>は結果であり、<にょきにょき>はまさに今、進行中のことがらをあらわしているのです。そして、『にょきにょきのき』は、まさしくこの現在進行形の発展、発達の物語でありますので、なにがなんでも『にょきにょきのき』でなくてはならず、やはり、『にょっきりのき』ではまずいのです。
 でも、『にょっきりのき』というのも、なかなかおもしろそうだなあ……。

・絵/高畠 純さんからのメッセージ

斉藤洋氏とのコンビは『どうぶつえんのいっしゅうかん』に始まり、「ペンギン」シリーズなどいくつかの作品がある。しかし今回、斉藤氏の『にょきにょきのき』のテキストを読み、今までとは違う表現方法をとらざるを得なかった。輪廻するこの世界を、大きく描くにはどうするか…・・・。そこでぼくとしては描くというより、コラージュによる表現方法をとってみた。コラージュは発見するおもしろさがある。制作途中でも予期せぬものがいっぱいでてきて、色彩が色彩をよんだり、形が形を生み出したり・・・・・・。下絵として、イメージはあるにせよ、それは今回10%ほどのイメージ。あとの90%は制作の真っ最中にでてきたものだ。どう仕上がるかぼくにもわからず、制作時間を大いに楽しめた。
さあ、『にょきにょきのき』の絵本をどうぞご覧ください。
著者紹介
斉藤 洋(さいとう ひろし)
おもな作品に、「ジーク」シリーズ、『本所ななふしぎ』、『ぞうの金メダル』(偕成社)、「ぶたぬきくん絵本」シリーズ(佼成出版社)、『夜空の訪問者』『ねこだまし』(理論社)、『バースデー・ドッグ』(フレーベル館)、「ルドルフ」シリーズ、『ルーディボール エピソード1』『「おまえだ!」とカピバラはいった』『こんやもカーニバル』(講談社)などがある。

高畠 純(たかばたけ じゅん)
おもな作品に、「だじゃれ」シリーズ・『ひなたぼっこです』(絵本館)、『ワニぼうのこいのぼり』(文溪堂)、『オレ・ダレ』『オー・スッパ』『あそぼあそぼ』『ふたりのナマケモノ』『おっとっと』(講談社)など。斉藤洋とのコンビ作品に、「白孤魔記」シリーズ(偕成社)、「ランランらくご」シリーズ(あかね書房)、「ペンギン」シリーズ(講談社)などがある。
担当者のうちあけ話
 『にょきにょきのき』は、幼年童話など、読み物の分野でコンビを組まれることが多い、斉藤洋さんと高畠純さんのひさしぶりの絵本作品です。「繰り返される命の誕生」をテーマに、斉藤さんのシンプルで洗練された文章と、高畠さんの新境地とも言えるコラージュを駆使した鮮やかな絵が合わさり、生命力にあふれたすばらしい作品になりました。高畠さんから原画をお預かりした後、(弓引き童子)早速斉藤さんの文章を組み込んで1回通しで最後まで読んでみたところ、私は「ううむ」と唸って最初から読み直しました。読み終わると、私は「ううむううむ」と唸ってまた最初から読み直しました。読み終わると……(以下略)。と、いうように、何度読んでも新たな発見のある本当に奥の深い作品です。子どもはもちろん、大人の方も楽しめると思いますので、ぜひご覧ください!(弓引き童子)
関連図書
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『りょうりを してはいけない なべ』
講談社の創作絵本
『りょうりを してはいけない なべ』
◆シゲタサヤカ/作
◆読み聞かせ:3歳から  ひとり読み:6歳から
食べもの/ユーモア/料理

内容紹介
ここは町で一番人気のレストラン。今日もコック達が忙しく働く中、一人のコックが新しい鍋を買ってきました。「さあ、料理をいっぱい作るぞ!」と、コックは意気込んでその鍋で料理を作り始めますが・・・。「ウフフフ! アハハハハ! ジャバ〜!」なんと、この鍋、笑って料理を吐き出すとんでもない鍋だったのです!
作者からのメッセージ
・作/シゲタサヤカさんからのメッセージ

著者紹介
シゲタサヤカ
1979年生まれ。短大卒業後、印刷会社での勤務を経て、「パレットクラブスクール」などで絵本制作を学ぶ。第28回〜30回講談社絵本新人賞で、佳作を3年連続受賞する。第30回佳作受賞作『まないたに りょうりを あげないこと』で絵本作家デビュー。本作は2作目の作品となる。
担当者のうちあけ話
昨年、『まないたに りょうりを あげないこと』で鮮烈デビューを果たした、シゲタサヤカさんの第2作の登場です! 本作でも同じレストランを舞台に、「料理を吐き出してしまうわがままな鍋」が、ドタバタ劇を巻き起こします。前作の主人公は、甘え上手で憎めないカワイイ「まないた」。そして、本作の主人公は、わがままで素直じゃないけど、やる時はやる、男気あふれる「なべ」。男子としては、(弓引き童子)「なべ」に共感を持つところですが、きっと女子には「まないた」みたいなタイプがモテるんでしょうね。ともあれ、どうしようもなく嫌なやつだった「なべ」が、成長していく姿は涙なしには読めません。もちろん、絵本業界で話題沸騰の、シゲタさんの大胆でおおらかな絵も見所の一つです。ぜひ、親子で、そしておはなし会で読み聞かせしてみてください!(弓引き童子)
関連図書
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『新装版絵本 たつのこたろう』
講談社の創作絵本
『新装版絵本 たつのこたろう』
◆松谷みよ子/文
◆朝倉 摂/絵
◆対象年齢 3歳から
家族/自然/民話/読み聞かせ

内容紹介
「龍の子太郎」50周年を記念して、1969年に刊行された絵本版を復刊。
太郎は、龍になった母をたずねて、長く苦しい旅にでます。
山こえ谷こえ、大冒険のすえにめぐりあった母は……。
100万人の子どもたちに愛されてきた、日本を代表する太郎のお話です。
著者紹介
松谷みよ子(まつたに みよこ)
1926年東京生まれ。坪田譲治に師事し、1951年『貝になった子供』を出版、第1回児童文学者協会新人賞を受賞。『ちいさいモモちゃん』をはじめとする「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズや「オバケちゃん」シリーズなど、数多くの童話を発表する。長編童話『龍の子太郎』では、国際アンデルセン賞優良賞受賞。その作品は子どもからおとなまで多くの読者を魅了している。

朝倉 摂(あさくら せつ)
1922年東京生まれ。舞台美術家・画家。彫刻家の父・朝倉文夫氏の影響のもと、日本画を学ぶ。1953年、画家として上村松園賞受賞。1963年講談社「さしえ賞」、1972年講談社「絵本賞」を受賞。1970年にアメリカ・ニューヨークのロックフェラー財団の招きで渡米し、ニューヨークの舞台美術を学ぶ。古典から前衛劇、オペラなど、多彩な分野の美術を手がけ、国内外で高い評価を受けている。
担当者のうちあけ話
これまで、読者の方々から、「『龍の子太郎』の絵本はありませんか?」というお問い合わせを受けることがありました。長編童話『龍の子太郎』の初版が発行されたのは、1969年。龍の子太郎が生まれて、今年でちょうど50年になるお祝いの年に、今見てもなお斬新な、朝倉摂さんによる凛々しい太郎の姿をお見せすることができて、うれしく思っています。
松谷みよ子さんの文章は、声に出して読んだときに、そのリズムの心地よさにはっとさせられることがあります。大画面の絵をたっぷりと堪能しながら、その語調やリズムを感じて、読み聞かせていただければ幸いです。(り)
関連図書
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『おつきさまと ちいさな くま』
世界の絵本
『おつきさまと ちいさな くま』
◆アンドレ・ダーハン/作
◆きたやまようこ/訳
◆対象年齢:3歳から
秋/読み聞かせ

内容紹介
こぐまは、お月様が大好き。なんとか会いに行きたいと考えます。
「空と海がひとつになるときに飛ぶんだよ。」と教えてくれたのは、友だちのイルカです。
それは、お日様が沈むとき。お月様に会えたこぐまは幸せです。
お月様が住むのは“夜のくに”。
こんどはこぐまが、お月様に地球を案内します。高い山、遊園地、楽しく遊ぶ子どもたち――。
こぐまは、ふと考えます。
「また夜のくにに、行きたいな。そのときは、どうしたらいいの?」
お月様の答えはなんだったでしょう?
すてきな、“おやすみなさいの絵本”になっています。
訳者からのメッセージ
・訳/きたやまようこさんからのメッセージ

小さな 白いクマが、空飛ぶボートに乗って大好きなお月様に会いに行くお話です。小さなクマがお月様に抱きついている絵は本当に可愛らしく、お月様と一緒に星空にボートでこぎ出す場面はダイナミックでわくわくします。ところが原題は『うみから そらへ』、タイトルにも表紙にもダーハンのあのお月様が出ていないのです。そこで編集者と相談、日本語版のタイトルを変えることにしました。内容で大変だったのは、会話で物語が進むところと、太陽系惑星から富士山まで出て来て次々に視点が変わるところでした。物語を一本の線でつなげていくのに苦労しました。後半の、ボートに乗ったお月様とクマが、空から海へ着水寸前の絵が私は一番好きです!
著者紹介
アンドレ・ダーハン(
1935年、アルジェリア生まれ。フランスの国立パリ工芸学校卒。パリ装飾美術学校で美術を教えるかたわら、イラストレーターとして活躍。1987年に、初の絵本『ぼくの ともだち おつきさま』を出版。以降、多数の作品を発表。『ぼくの ちいさな ともだち』『にわとりママと はじめての たまご』『ディディ パリ75001ばんち オペラ座に すむ ネズミの バレリーナの おはなし』『Dear Little Moon きみに ありがとう』(いずれも講談社刊)など、日本での翻訳出版も多い。パリ在住。
http://www.andredahan.com

きやたまようこ(北山 葉子)
1949年、東京生まれ。文化学院卒。絵本作家。「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズ(あかね書房刊)で第20回講談社出版文化賞絵本賞、『りっぱな犬になる方法』(理論社刊)で1993年度産経児童出版文化賞推薦、また同書と『じんぺいの絵日記』(あかね書房刊)で路傍の石幼少年文学賞、『いぬうえくんがわすれたこと』(あかね書房刊)で第56回産経児童出版文化賞産経新聞社賞など受賞多数。近刊に「うわさの がっこう」シリーズ(講談社刊)、『番犬屋マル』(メディアファクトリー刊)など。アンドレ・ダーハンの作品は『ぼくの ともだち おつきさま』をはじめ、文・訳を多数手がけている。
http://www.kitayama-yoko.com
担当者のうちあけ話
 2008年の夏、ダーハン氏は、奥様を伴い、あるテレビ局の招聘で来日。当時局長だった、役員O、部長Nとともに、局近くの鉄板焼きのお店で食事をごいっしょしました。英語がからきしダメな私は、断片的にわかる部分だけに反応しながら会話に加わっていましたが、
70歳を過ぎてもなお、湧き上がる作品への意欲が印象的だったのは憶えています。
 帰国してほどなく、画像が送られてきたのが、この「おつきさまと ちいさな くま」です。文章では(原文でも)、ことさら説明されていないのですが、富士山と、お台場の観覧車が描かれていて、日本の子どもたちにサービスしたいという、(チ)ダーハン氏のメッセージなのがわかりました。
 今回も、きたやまようこさんが、すてきな文章で日本語版を仕上げてくださいました。
 ダーハン氏からの「日本語版の刊行はいつ?」というメールでの催促。「日本の、月の季節に出します」という説明に、納得してくれたようでした。だって、舞台はどう見たって日本ですから、ね!(チ)
関連図書
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『かあさんあひるのたび』
講談社の翻訳絵本
『かあさんあひるのたび』
◆エリック・バトゥー/作
◆広松由希子/訳
◆対象年齢:小学生から すべての母親
家族/旅

内容紹介
かあさんあひるは、思います。ちいさな池で、スイレンのまわりをぐるぐるしているのには、もう、あきあき。わたしたちの前には、もっと広い世界がひろがっているはず。6わの子どもたちを引き連れて、ひょこひょこ歩く旅に出ます。
旅の途中で子どもたちは、それぞれに自分の場所をみつけて、離れていきますが、それでも母さんはひょこひょこ歩いていきます。そしてとうとう大きな池(海)を見つけますが……。
訳者からのメッセージ
・訳/広松由希子さんからのメッセージ

フランス絵本って、ちゃんとオチをつけず、ぷいっとケムにまくように終わるものが多いですよね。そこに深い哲学を感じることもあるのですが。
この絵本の原稿を初めて読んだときは、うーん、正にフランス絵本! と、うならされました。そして、日本の絵本にはない、凛とした「かあさん像」に惹き付けられました。
広い世界に自分の居場所を見つけるために、かあさんあひるは毅然と旅に出ます。子どもたちがそれぞれの住処を見つけると、さばさばと別れを告げ、自分は先へと進みます。ここよりもっと、どこかにきっと……。
深い自由と幸せな孤独感。豊かな詩情と清々しい読後感。
……と、わたしは読んでみたのですが、勝手読みも読者にお任せなのが、フランス絵本の醍醐味。バトゥさんの美しい画面は、読み手の想いを受けとめ、自由に遊ばせるゆとりがあります。新しい日本のお母さんたちの想いを含んで、読まれるほどに豊かにふくらむ絵本ではないかしら。そんな楽しい想像を巡らせています。
著者紹介
エリック・バトゥー(Eric Battut)
1968年、フランス中部・オーベルニュ地方のシャマリエールに生まれる。早くから絵画に興味をもち、カレッジを卒業後、リヨンの美術アカデミーに入学。現在オーベルニュ地方の中心地、クレルモン・フェロン近郊に暮らし、絵本の制作に専念している。『ペローの青ひげ』(シャルル・ペロー/文)と『めぐる月日に』(ともに小社刊)で、2001年度ブラチスラバでのBIBグランプリを受賞する。ほかに、『いつだって ともだち』(モニカ・バイツェ/文)や『ぼくは だあれ?』、『あかいろてんてん』(マリタ・マーリンガー/文)、『ピエロの ニノ』『にっこりねこ』『それは ひ・み・つ』『ペローの赤ずきん』(シャルル・ペロー/文)『すいようびくんのげんきだま』(那須田淳/文)、『太陽のしずく』(すべて小社刊)などがある。

広松由希子(ひろまつ ゆきこ)
1963年ロサンゼルスに生まれ、東京に育つ。編集者、文庫主宰、ちひろ美術館学芸部長を経て、フリーに。絵本の評論、執筆のほか、展示企画、講座やワークショップなどもおこなう。著書に『おかえりたまご』(しまだしほ/絵 アリス館刊)、『おめでとう』(茂田井武/絵 小社刊)、『茂田井武美術館 記憶ノカケラ』(編 小社刊)、『小学生が好きになるこんなに楽しい子どもの本』(共著 メイツ出版)。岩崎書店より刊行している、「いまむかしえほん」シリーズでは、すべての昔話の文章を担当している。
http://poche.with.mepage.jp/
担当者のうちあけ話
この本の帯には、「すべてのお母さんの絵本」という惹句が入れてあります。この絵本は、名作「100万回生きたねこ」がそうであるように純粋な子どもむけの絵本ではなく、むしろ子育て中の、あるいは子育てを終えたお母さんたちの胸に、いちばん深くしみるのではないかな、と思ったからです。子どもと歩いて、子どもが巣立っていっても、旅は終わりではありません、かあさんがおばあちゃんになっても、旅はまだまだ続くのです。そこを描いた絵本は、(ほろほろ鳥)世界でもこの本だけではないでしょうか? ラストもいろんな意味に解釈できます。このテキストを訳出してもらうのにあたって、いろいろ内容確認を送ったのですが、もの静かなバトゥーさんのお返事は「あなたたちの感性で感じられたとおり訳していただいてかまいませんよ」と、いうもの。色彩の魔術師と賞される彼は、絵本の詩人でもあるのです。(ほろほろ鳥)
関連図書
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『キンコンカンせんそう』
講談社の翻訳絵本
『キンコンカンせんそう』
◆ジャンニ・ロダーリ/作
◆ペフ/絵
◆アーサー・ビナード/訳
◆読み聞かせ:4歳から ひとり読み:6歳から
戦争

内容紹介
イタリア児童文学の巨星・ロダーリが贈る反戦絵本
戦争をおしすすめる将軍たちは、教会の鐘も兵器にしてしまいます。ところが、その大砲を撃つと……。人間の愚かな行為を、ユーモアをもって戒める絵本。
著者紹介
ジャンニ・ロダーリ(Gianni Rodari)
小学校教員ののち、新聞記者として子供向けコラムを担当。その後、『チポリーノの冒険』をはじめ、数々の童話を書く。1970年には国際アンデルセン賞を受賞し、20世紀イタリアを代表する児童文学作家として、その作品は世界各国で翻訳されている。1980年、死去。邦訳に、『パパの電話を待ちながら』(講談社)などがある。

ペフ(Pef)
文学を学んだのち、ジャーナリストとして多くのルポルタージュやBD(フランスの漫画)を発表。その後も数々の職業を経て、1978年には初めての本を刊行。イラストレーターとして200冊以上の作品を発表し、雑誌の挿絵や、子供向け作品なども手がけている。定期的に学校を訪れ、常に子供たちの声に耳を澄ましているという。

アーサー・ビナード(Arthur Binard)
ニューヨーク州のコルゲート大学で英米文学を学び、卒業と同時に来日。2001年に詩集『釣り上げては』(思潮社)で中原中也賞、2005年『日本語ぽこりぽこり』(小学館)で講談社エッセイ賞、2007年に『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』(集英社)で日本絵本賞、2008年に詩集『左右の安全』(集英社)で山本健吉文学賞など、受賞歴多数。翻訳絵本に『あつまる アニマル』(ブライアン・ワイルドスミス/作、講談社)などがある。
担当者のうちあけ話
今年、没後30年、生誕90年をむかえたイタリアの国民的児童文学作家、ジャンニ・ロダーリ。作品の多くは童話として発表されており、このお話も『パパの電話を待ちながら』という童話集にある短いお話を絵本に仕立てたもの。この絵本の背景は戦場です。「戦争」を伝えるにもさまざまなアプローチがありますが、この絵本はユーモラスに見えて、最後には言葉に表しがたい感情を沸き起こしてくれるはず。ロダーリのお話の魅力は、奇想天外で、ピリリと皮肉が効いていて、(J)人を食った話でありながら、子どもの心に寄り添い、人間への愛が詰まっているところ。そんなロダーリの世界を、詩人のアーサー・ビナードさんが一語一語選び抜いて、原書のもつ雰囲気を日本の子どもたちにも伝わるような訳を作ってくださいました。肩肘張らずに、でも“戦争”を考える、ひとつの入り口となってくれればと思います。(J)
関連図書
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『CDえほん まんが日本昔ばなし8 こぶとりじいさん・三まいのおふだ』
『CDえほん まんが日本昔ばなし8 こぶとりじいさん・三まいのおふだ』
◆川内彩友美/編
◆読み聞かせ:3歳から ひとり読み:6歳から
日本/昔話/歌/家族

内容紹介
あの名作アニメが「CD付き絵本」に!
あの国民的アニメから、「こぶとりじいさん」「三まいのおふだ」他を絵本とCDで。心を育てる昔話を、良質な絵と語りで、子どもたちに伝えます。人気主題歌収録。
関連図書
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