えがしらみちこ
「はじめました えほんやさん」

第1回 


こんにちは。絵本作家のえがしらみちこです。
2014年に絵本作家デビューをして『あめふりさんぽ』や『あきぞらさんぽ』などの「おさんぽ」シリーズや『ねんねのうた』『なきごえバス』『せんそうしない』などの絵本を出版しています。

2018年10月、今住んでいる静岡県三島市に絵本専門店「えほんやさん」を作ることにしました。
こんな、書店がどんどん閉店しているご時世に……と自分でも、この決断にびっくりなのですが、書店について何も知らない私が奮闘している様子をレポートできたら、絵本や書店について関心のある方の参考になるかしらと思い、書かせていただくことになりました。


人生でいちばんけたたましい夏


今、私はこれまでにないくらいバタバタしています。
絵本の制作作業、講演会・ワークショップなどのお問い合わせメールの返信、各出版社の編集者さんとのやりとり、これからのイベント告知や新刊の紹介などなど、いつもの絵本作家としての仕事に加え

8月22日にスタートしたクラウドファンディングに関する作業やお店に並べる絵本や雑貨、レジのシステムや電話やインターネット環境、梱包資材の準備やカフェスペースで使用するものの選定など、仕事をこなしてもこなしても新しい課題がでてくる状態……。

よく「今は、何についての仕事が忙しいの?」って聞かれるのですが、ひとことでこれってうまく説明できないのです。頭をきちんと整理できてないのかなぁ。

とにかく、ずっとダッシュして息継ぎもできていないような状態がしばらく続いています。……と、いうのも今度オープン予定の絵本専門店「えほんやさん」を開こうと決心したことが、この忙しさの始まり。今年の5月に物件が空いて、7月に契約が始まって……ずっと猛ダッシュが続いています。いやいや実は、去年の10月から走り始めたのかもしれません。「えほんやさんの」ちいさな種から芽が出た頃。
そして、その種ができたのは、もっと前からなのです。


「えほんやさん」の種 -赤ちゃんを抱えて知らない土地へ-


まずは、絵本作家になったかならないかくらいの頃に戻ります。

私は九州で生まれ育ちましたが、2012年に娘を出産し、主人の仕事の関係で縁もゆかりもない三島に引っ越してきました。

オムツはどこに売っているのか、病院はどこがいいのか、土地勘もなく、アドバイスしてくれる知り合いもいないなか、ふらふらとさまよい、とりあえず近くの食器屋さんに入ってお皿を探していたときのことです。普段使いのお皿を探している様子から察したのか、レジでお会計をしているとき、お店のおばちゃんが「越してきたの? また遊びにおいで」と、さらっと声をかけてくれました。それがとっても嬉しくて、泣きそうで、産後やアウェー感で弱っていた気持ちにじんわり沁みていくようでした。

その後、よくそのお店に遊びに行ったわけではないのですが、そういう場所ができたことは、赤ちゃんを抱えて新しい土地に来たばかりだった当時の私にとって、心の支えになっていたなと今になって思います。

「頻繁に会うわけではないけれど、同級生が近くに住んでいる」とか、「同じ九州出身の人が近くにいる」など、その気になればいつでも寄り添うことのできる場所があるというのは、とても心強いものです。このことをきっかけに、子育て中のお母さんお父さんやその子どもが気軽に立ち寄れるような、拠りどころとなる場所がもっとあったらいいのになぁ、と思うようになりました。

おすすめの絵本

  • おぞうにくらべ

    おぞうにくらべ

    宮野聡子/作

    <行事と食べもののよみきかせ絵本>
    お正月、おばあちゃんの家へ行ったきみちゃんは、いろいろなお雑煮にであいました。野菜がいっぱいのお雑煮、しょうゆ味のお雑煮、魚が入っているお雑煮……。どの家にも、受け継がれてきた大切な味があったのです。

  • おもちのきもち

    おもちのきもち

    加岳井広/作

    第27回講談社絵本新人賞受賞作

    「もう、たいへんなんです」
    お正月、“かがみもち”は、とある決心を……。
    お年賀にどうぞ。(編集部より)

  • じゅうにしの おはなしめいろ

    じゅうにしの おはなしめいろ

    奥野涼子/作

    じゅうにしの おはなしに とうじょうする どうぶつたちが、めいろを とおって、かみさまの おやしきへ むかいます。

    十二支のお話と迷路を同時に楽しめる絵本! お正月、動物たちが神様のお屋敷へ向かいます。あちこちにお正月の風物詩や隠し絵がある楽しい迷路を通って、さあ、だれがいちばんにお屋敷に着くのかな?

  • おめでとう

    おめでとう

    茂田井武/絵 広松由希子/文

    みんながうれしいことば、「おめでとう」
    うさぎも、ねこも、ぞうも、とらも、ぼくも、わたしも、「おめでとう」。
    贈りあう幸せの言葉を、戦後の童画界を牽引した茂田井武の絵にのせて送る絵本。

  • くまのこの としこし

    くまのこの としこし

    高橋和枝/作

    親子で楽しむ、季節と行事のよみきかせ絵本
    お正月は、どんなふうに来るのかな?
    新しい年を迎えるわくわくする気持ちと、元旦のおごそかな気持ち……。子どもの目で見た「年越し」を描きます。

季節の絵本