おはなし隊の読みきかせ ワンポイントアドバイス 第5回 編集(エ)の「おななし隊」体験記1

新連載 おはなし隊の読みきかせ ワンポイントアドバイス

講談社では日本全国、津々浦々に絵本を積んだバスで訪問し、読みきかせする、「全国訪問おはなし隊」という活動をおこなっています。
訪問県では、読みきかせをしてくれるボランティアの方と事前に学習会をしています。
この連載は、その学習会のもようをお知らせしつつ、読みきかせのワンポイントアドバイスをお蔵だしいたします。実物の本を見ながら読んでいただくと、よりよくわかると思います。
ぜひ、身近なところでお話し会をされる方や、保育園、幼稚園、小学校などにいって読みきかせボランティアをされるときなどの参考にしてくださいね。


第5回
話/全国訪問おはなし隊

★こんにちは、編集(エ)です。編集部に入って3ヵ月が経ち、おはなし隊に参加できる日がやってきました。人前で本を読むのは約20年ぶり……初めての読み聞かせにチャレンジ。そんな私のドキドキの体験記をお届けします。

 訪れたのは、宮城県・塩釜市。東日本大震災で、津波によって甚大な被害を受けた町です。駅前には復旧できていない信号があったり、地面に大きな亀裂が入っていたりと、生々しい爪痕が残っていました。キャラバンカーは、この町の丘の上にある塩釜市立第二小学校に向かいました。門をくぐると放課後の校庭から、子どもたちの元気な声が聞こえてきます。
 おはなし隊を率いるのは、岩田恵美子隊長。約100人の1年生が集まって、おはなし会が始まりました。子どもたちは何がはじまるのか、とてもワクワクのご様子です。

『うちゅうじんは パンツがだいすき』 岩田隊長が読んだのは、
『うちゅうじんは パンツがだいすき』(クレア・フリードマン/文 ベン・コード/絵 中川ひろたか/訳 講談社)
 パンツが大好きなうちゅうじんが地球にやってきて、あるお宅のお庭に干してあるパンツで遊ぶという、とても愉快な絵本です。いくつかのページで子どもたちとのやりとりも楽しめます。

(1)ブリーフをトランポリンにして遊ぶところでは、本を上下に動かして楽しみます。

(2)最後は、絵の中にかくれた宇宙人をさがします。「かくれているかもよ〜」と隊長が子どもたちに絵本をかざすと、「いたいた!」「あそこ!」「タンス!」と指をさしながら、大きな声が上がります。

(3)見開きには、色とりどりのパンツ! おもわず笑い声がこぼれます。

 窓を閉めていたので、室内はすこし蒸し暑く、お話の途中では「ぐらり」と地震もおこりました。一瞬だけ、「地震だ!」と声がでていましたが、落ち着いて、とても集中して聞いてくれました。

 今回、ボランティアとしておはなし隊を手伝ってくださったのは、長谷川ゆきさん。実は、長谷川さんは今年の8月に塩釜で絵本の図書館を始める予定でしたが、津波によってこつこつと集められていた815冊もの絵本を失ってしまいました。ご自宅も半壊し、少し前まで避難所生活を送られていました。「一瞬にして、町が無惨に変わってしまった」と、ショックも大きかったそうです。
 それでも、長谷川さんの熱意は消えることはありませんでした。手元に残った2冊の絵本と、全国から寄せられた絵本をもとに、図書館をオープンすべく、ふたたび頑張っていらっしゃいます。
 そんな長谷川さんが読んでくださったのは、地元塩釜に伝わる民話絵本、『どんどんばさばさ ふるげたのおばけ』(米倉雅真/作)です。塩釜の港から定期船がでている寒風沢島が舞台で、子どもたちにとって身近な島のお話。長谷川さんが本の名前を紹介すると、「知ってる! 知ってる!」と盛り上がっていました。
「町の光景は変わってしまったけれど、この民話を読むことで、昔から伝わっていて、変わらないものもあるんだよって、子どもたちに伝えたかったんです」
 この思いは、きっと子どもたちに伝わったのではないか、と身を乗り出して聞いている子どもたちの姿を見て、感じました。

『どんどんばさばさ ふるげたのおばけ』(米倉雅真/作)
※この本は、塩釜市の教育委員会と図書館が発行しており、一般の書店では販売されていません
ある夜、島のどこからか「鼻いでえ 鼻いでえ」という声が聞こえてきます。その声の主に、子どもたちが会いに行くと、そこに現れたのは……。

『もったいないばあさん もりへいく』(真珠まりこ/作 講談社)を読む長谷川さん。小さい絵本ですが、みんな絵にかじりついています。



 校舎の外では、キャラバンカーが待っています。キャラバンカーには約550冊の本が積まれていて、照明や冷暖房も搭載! 扉が開くと、車から階段も出てきて、まるで「トランスフォーマー」です。

並んで登って、好きな本を手に降りてきます。キャラバンカーには何人乗れるかな?
1冊の本をみんなで囲んで読みます。ゆびをさして、とても楽しそうです。

 隊長と長谷川さんに刺激を受けつつ、いよいよ次の日は読み聞かせデビュー。隊長と相談して、『ころころパンダ』『ゆらゆらパンダ』(連載第1回に登場した絵本です)、『のりものつみき』など4冊を読むことに決めました。
 編集部での練習と、アドバイスが活かせるでしょうか……。次回に続きます。
バックナンバー
第13回 上野の森読み聞かせイベント大盛況でした!
第12回 「おはなし会をやってみよう!」vol.3
第11回 おはなし隊に、女優の茉奈・佳奈さん登場!
第10回 「おはなし会をやってみよう!」vol.2
第9回 「おはなし会をやってみよう!」vol.1
第8回 「2011年ブレイクした絵本―年齢別―」
第7回 「マジマジさんのマジック教室」
第6回 編集(エ)の「おななし隊」体験記2
第5回 編集(エ)の「おななし隊」体験記1
第4回 おはなし隊・坂口慶隊長より
第3回 よみきかせポイント『振ってきました』『おっとっと』『ともだち』
第2回 よみきかせポイント『ねえ、あそぼ! 2さいのパンダちゃん』『りんごが コロコロ コロリンコ』
第1回 よみきかせポイント『ころころパンダ』『ゆらゆらパンダ』『ショコラちゃんの あいうえお』『ダレ・ダレ・ダレダ』

おはなし隊の読みきかせ ワンポイントアドバンス 「読みきかせ会」を主催されている方、また開いてみたい方必読の情報! おはなし隊が「読みきかせ」の秘訣をお教えいたします。

おやすみなさいの絵本

  • ゆうくんの くまパジャマ

    ゆうくんの くまパジャマ

    中谷靖彦/絵
    カザ敬子/作

    ある日、ゆうくんに、素敵な「くまパジャマ」が届きました。さっそく着がえたゆうくんは、「ぼく、くまだぞー」とおおはしゃぎ。ところが、その後、ゆうくんに不思議なことがおこります。心温まる、おやすみ絵本の新定番。

  • ねんねん どっち?

    ねんねん どっち?

    宮野聡子/作

    どっち? という楽しい質問につぎつぎ答えていくうちに、自然に眠りの世界へといざなっていきます。おやすみ前のひととき、「どっちあそび」で親子の豊かな時間をすごしませんか?

  • ねんね

    ねんね

    さこももみ/作

    「おばけがこわくてねむれない。」というまみちゃん。だいじょうぶ、おばけもママといっしょにねんねしちゃったよ。安心しておやすみ。かわいい寝かしつけの絵本です。

  • ゆっくり おやすみ にじいろの さかな

    ゆっくり おやすみ にじいろの さかな

    マーカス・フィスター/作
    谷川俊太郎/訳

    眠れないにじうおは、こわいことばかり考えてしまいます。親子の愛情を感じさせる一冊。手に取りやすいミニサイズの年少版もおすすめです。

  • 0・1・2さいのすこやかねんねのふわふわえほん

    0・1・2さいのすこやかねんねのふわふわえほん

    前橋明/監修

    おふとんみたいに表紙がふわふわ! しぜんに生活リズムが身につき、気持ちのよい眠りへとみちびく、心とからだが安心するおはなしいっぱい!
    親子のふれあいを生む、ねんねのうたとおはなし決定版!

  • おやすみなさいの おと

    おやすみなさいの おと

    いりやまさとし/作

    おやすみなさいの時間です。でも、あらいぐまの子どもたちは、外からきこえてくる音が気になって眠れません。心安らぐ、静かでやさしい寝かしつけの絵本。

  • おやすみ ぞうちゃん

    おやすみ ぞうちゃん

    三浦太郎/作

    ぞうちゃんは、泣いたり笑ったり、おおいそがし。おやすみまでの一日を、ユーモアたっぷり、愛情豊かに描きます。シリーズ第3弾。

  • おやすみ のらちゃん

    おやすみ のらちゃん

    よねづゆうすけ/作

    猫ののらちゃんは、そろそろねるじかん。 きがえは? トイレは? はみがきは? おやすみ前にぴったりの、とっておき仕掛け絵本。

あかちゃん絵本