第34回講談社絵本新人賞受賞 
種村有希子の制作日記
最終回「ありがとうございました」

こんにちは。
最後の打ち合わせは、絵本のイベントが開催されていた上野公園にて行われました。
親子連れで賑わう会場では、なかなか落ち着く場所が見つけられず……結局、木の根もとが、打ち合わせ場所に! 
前回のゲラに修正を加えたものを、事前に受け取ってチェックしていたので、それをもとに最後の要望を伝えました。そして、いよいよ本番の印刷です!

話は前後しますが、その前の週にデザイナーの高橋さんの事務所にて、絵本全体の最終確認をしました。
その際、(エ)さんが「この期に及んでですが、オビの言葉を変更したいんです」と! 
私は、高橋さんの反応をどきどき見守った(?)のですが、「いいアイディアじゃないですか」と賛成。
その後も、本文の色の出方など細かいところに「こうしたら、より良い」という意見が、お二人から次々でてきました。
私は、ふつふつと静かな感動を感じながら、ただ頷くばかり。
最後の最後まで粘るのがプロなんだと実感した瞬間でした。

この半年を振り返って一番思うことは、初めての絵本を(エ)さんと高橋さんと作れて、よかったということ。お二人には、作品をとても大切にして頂きました。
(エ)さんがある日、「もう絵本の中で(きいちゃんたちが)生きていますね」とつぶやいたことがあります。
それが、とても嬉しかったのです。
半年をかけて、一緒にきいちゃんたちを育てていただいたと思っています。
この絵本は、家族の話です。
自分がたまたま双子だったから、双子の関係性が主軸ですが、弟や(兄弟同然の)犬との関係も描いています。
色んな家族の形があると思いますが、きっと家族間の感情は共感できるのではないかと思いながら作りました。
私の双子の姉は、小さい頃からとてもこだわりが強く主張がはっきりありました。
そのためわがままを言って、母に叱られる姿をよく覚えているのです。
特に、その眉間のしわを。
そして、大人になってからも二人でよく子供の頃の思い出を日常的に話してきました。
長い時間をかけて、ふたりで共有してきた思い出だから、絵本にできたのだと思います。
姉には、「私がいい子じゃなくてよかったね」と言われました(笑)。
本当です。
それを描いてデビューできたわけですから、一生足を向けて寝られません

今年の新人賞も、もうすぐ募集がはじまりますね。
まだ未熟な私が言えることといったら……最後まで粘ってください!ということだけです。
大学生の頃、教授に「才能以上に、ひとつひとつやり遂げる馬力が大事」と言われたので。
私も、ここをスタートに頑張ります。ここまでおつきあい頂いてありがとうございました。

種村有希子(たねむら ゆきこ)
1983年、北海道釧路市生まれ、多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。絵画や映像、インスタレーションなど、様々な表現方法で作品を手がける。
2011年、第4回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト入選、2012年、第34回講談社絵本新人賞受賞。

講談社の創作絵本
『きいのいえで』 種村有希子/作

ねぇ。おかしたべてから いったら?
ある日、ふたごのきいが「家出する」って言い出した。お気に入りの物をどんどんリュックサックに詰めていく。どうしよう、本当にいなくなっちゃうの?
第34回講談社絵本新人賞受賞作

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    にんじんが、スープになりました。ごくん。
    じゃがいもが、とろんとろんのスープになりました。ごくごく。
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講談社新人賞 既刊

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