第35回(2013年) 講談社絵本新人賞 選考経過・報告
審査員の先生方の選評(五十音順)
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大島妙子先生
『てがみぼうやのゆくところ』は、古い外国の絵本の絵のようで魅力的でした。誰もが「好き」なタイプの絵本になりそう。佳作では『ボクんちたてかえます』関西弁と絵がマッチしててよかった。『あそこまで』完成されていない、すごい力を秘めてそうな……? 『なんと! ようひんてん』おじいさんの人魚姿がいまだに目に焼きついて離れず困ってます(笑)。入選作以外にもいろいろありました。『みんな みんな みんな おばけ』の繊細な線に惹かれました。おばけ以外の作品も見てみたい。『あかさんとあおさん』思わず笑っちゃったほど発想が面白かっただけに絵が少し残念でした。『ロボイチ』いいお話。ラストもよかった。みなさん、すごいなあ。
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こみねゆら先生
新人賞の『てがみぼうやのゆくところ』は色がおしゃれで可愛くて、かろやかな線が、町や村の景色の中に無理なく読者を連れて行ってくれます。とてもうまい人ですね。黄金期のアメリカの絵本を見ているような安心感がありました。佳作の『なんと! ようひんてん』も支持の多い作品でした。試着室の冒険が予想を超える展開続きで、わくわくしました。おもしろかった! 選には残らなかったのですが『ロボイチ』に心惹かれました。電車の座席に座っている姿も愛おしかった。今回の審査は、審査員のお気に入りの作品がばらばらだったことも興味深かったです。描く人それぞれの本気の表現が、きっとどこかで誰かの心を動かすということでしょうか。
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中川ひろたか先生
まず、新人賞の『てがみぼうやのゆくところ』ぼくの中では、抜群でしたね。絵も可愛いし、話も破たんしてない。なんか、あたりまえな展開って批評もありましたが、それは、逆に心地よい「安心感」を生みました。『あそこまで』は、絵が、かなり好き。ぎりぎりの所を勝ち抜いて来たその運の強さは、尋常じゃない。場面場面に1本の流れ、ストーリーがあったらよかったと思うんだけど、どう? 『なんと! ようひんてん』試着という設定が、話をぎくしゃくさせたと思うな。ぼくだったら、福袋にするんだけどな。『ボクんちたてかえます』絵が好き。でも、なんか、言うほど、スゴい家だったか? 最後、虹にいっちゃったのが、なんだかなぁ。
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宮西達也先生
切り口のちがった楽しい絵本が沢山でした。と言うことで、審査員の推すNo.1が全員違った。『てがみぼうやのゆくところ』雰囲気のあるステキな絵でした。キャラクターも丁寧にかかれていた。『あそこまで』狙いが素晴らしかった。肩の力をぬいた絵もよかった。『なんと! ようひんてん』構図が素晴らしかった。アイテムもよかったし、絵だけで笑わせてもらった。『ボクんちたてかえます』ページをめくる楽しさがある本でした。絵の細かいところも楽しかったし、大阪弁もええなぁ。賞には入らなかったが『あかさんとあおさん』二人の生活ぶりにふきだした。『にんじんさん』キャラクターもいいし、ヘンテコなお話もよかった。『ねことさむらい』のナンセンスさもよかった。
おすすめの絵本
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いりやまさとし/作
「パンダなりきりたいそう はじめ!」
何かになりきるのって、たのしい!
さあ、絵本を見ながら、パンダといっしょに、おもいっきり体をうごかそう!
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真珠 まりこ/著
「もったいない」って、どういう意味?
きょうも あの ばあさんが やって きた――もったいない こと して ないかい?
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石川 基子/作
タマゴタケやキヌガサダケ……いろいろなきのこが暮らすきのこ村は、いつもにぎやか。そんなみんなから敬愛されているのが、ほしじいたけと、ほしばあたけ。ある日、村の子どもが谷から落ちてしまい、それを聞いたほしじいたけは、体を張って助けようとするのですが……。
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三浦太郎/作
ぞうちゃんは、泣いたり笑ったり、おおいそがし。おやすみまでの一日を、ユーモアたっぷり、愛情豊かに描きます。シリーズ第3弾。
講談社新人賞 既刊
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ひろただいさく ひろたみどり/作
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はっとりひろき/作
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近藤未奈/作
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渡辺陽子/著・作