読み聞かせのコツ 第1回 『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』の場合

新連載 おはなし隊の読みきかせ 読み聞かせのコツ

講談社では日本全国、津々浦々に絵本を積んだバスで訪問し、読みきかせする、「全国訪問おはなし隊」という活動をおこなっています。
この連載は、その読みきかせのもようをお知らせしつつ、読みきかせのワンポイントアドバイスをお蔵だしいたします。実物の本を見ながら読んでいただくと、よりよくわかると思います。
ぜひ、身近なところでお話し会をされる方や、保育園、幼稚園、小学校などにいって読みきかせボランティアをされるときなどの参考にしてくださいね。
第1回 『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』の場合

〜おはなし会レポート編〜

『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』 『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』

◆令丈ヒロ子/文 堀川理万子/絵
◆対象:4、5歳から

 「よみきかせ日本昔話」シリーズは、5月に夏の巻3冊が刊行され、全6冊に。
 今回は、おはなし隊でのよみきかせをレポートします。
 
 この日の隊長さんは、進藤優子さん。子どもたちの様子を見ながら、ゆっくりと扉のページをめくり、よみきかせの始まりです。
 隊長さんは、さすが、よく通る声。けっして大きな声でなく、穏やかに読み進めていきます。昔話には幅広い子どもたちを引き込む、素晴らしい力があります。「むかし、むかし…。」のひとことを大切に読むことで、きゅっと心が集中します。

 『いっすんぼうし』には、見せ場ならぬ“聞かせ場”がいくつもあります。
まずは、みやこに上ったいっすんぼうしが、だいじんさまのお屋敷をたずねて「たのもう! たのもう!」と叫び、家来たちが、その小ささに驚く場面。
 次はお姫様の前に鬼たちがどーっと現れる場面、さらに、いっすんぼうしが鬼に飲み込まれ、おなかのなかで大暴れする場面。
 これらの場面では、隊長さんは緩急をつけて読んでいます。聞き手の子どもたちが状況を理解し、驚きを共有できるようにたっぷりと読むのが基本です。

そして、なんといっても圧巻なのは、うちでのこづちで、みるみる立派な青年になるシーン! 見開きが縦に使われているので、絵本の向きをさっと変えます。
 この見開きには、文字がありません。「直前のページの最後は、『こづちを ふる たびに、いっすんぼうしは……』です。このせりふを読みながらページをめくるのがコツ」(進藤さん)。すると「おおーっ!」という、子どもたちの歓声が。

 青年になったいっすんぼうしは、お姫様と結婚し、めでたしめでたし。おだやでハッピーな気分で終えるのがポイントです。

 この絵本は4、5歳からという設定ですが、上は小学生の中級や上級でも充分楽しんで聞けるようになっています。小さいころ読んでもらったけど、途中を忘れていたとか、ほんとはこういうことだったのか、と趣旨を理解するとか。保護者も同じだと思います。それが昔話のいいところ、よみきかせに向く理由です。
(講談社読書推進部・渡辺裕己子/記)
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第1回 『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』の場合

★ 全国をまわって読み聞かせをしている「おはなし隊」では2014年8月、岩手県と香川県の訪問先を募集中! お申し込みの締め切りは5月12日(月)です。ご興味のある方は以下のアドレスをご参照ください。お早めに!
おはなし隊

おはなし隊の読みきかせ ワンポイントアドバンス 「読みきかせ会」を主催されている方、また開いてみたい方必読の情報! おはなし隊が「読みきかせ」の秘訣をお教えいたします。

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