読み聞かせのコツ 第6回 『よみきかせ日本昔話 さんまいのおふだ』の場合

新連載 おはなし隊の読みきかせ 読み聞かせのコツ

講談社では日本全国、津々浦々に絵本を積んだバスで訪問し、読みきかせする、「全国訪問おはなし隊」という活動をおこなっています。
この連載は、その読みきかせのもようをお知らせしつつ、読みきかせのワンポイントアドバイスをお蔵だしいたします。実物の本を見ながら読んでいただくと、よりよくわかると思います。
ぜひ、身近なところでお話し会をされる方や、保育園、幼稚園、小学校などにいって読みきかせボランティアをされるときなどの参考にしてくださいね。
第6回 『よみきかせ日本昔話 さんまいのおふだ』の場合


『よみきかせ日本昔話 さんまいのおふだ』 『よみきかせ日本昔話 さんまいのおふだ』

◆石崎洋司/文 大島妙子/絵
◆対象:5、6歳から

昔話の中でも人気の、「ちょっとこわいお話」!
これまでにもたくさん再話されていて、読み聞かせには定番の作品です。
小さな年齢の子どもたちにも聞きやすい長さで、おはなし会で読む機会の多い1冊です。

縦書きの絵本なので、左手に持ち直します。
大島妙子さんの、かわいいこぞうさんの表紙をめくると・・・・・・。

「こわ〜い」見返しの部分をゆっくり見せます。
おはなしは穏やかなテンポでスタートしますが、「むかし、むかし」の1行は大切に読みましょう。
なにやら、ありがたみのありそうな「おふだ」のページ。おはなしの大事な主役でもありますので、絵をじっくり楽しんでもらいます。

こぞうさんは、山の中を迷ってしまいますが、遠くにぽつんと見える「家」は、指で指し示してあげてもいいかと思います。

やさしそうなおばばに、ごちそうをふるまわれて、ほっとする場面に続いて、突然、「こわ〜い」おばばに豹変する場面です。
最初の1行「よなかの こと。」までを、先に読んでからページをめくると、より一層、スリリングな感じが伝わるかと思います。

こぞうさんとの知恵比べは、ハラハラドキドキ、一気に読み進んでいくイメージです。縄と一緒に柱が飛んでくるページからは、子どもたちも心の中で声援を送っているはずです!

お寺に逃げ帰ったこぞうさんを、すごい形相のやまんばが追いかけてきますが、ここからはのんびりしたおしょうさんが主役です。
豆にばけたやまんばを、ぱくっと食べてしまう終わりに、笑いと安堵が広がります。

登場人物がシンプルなので、読みやすい作品です。あまり怖い声でやまんばを読むと、聞き手が引いてしまうかもしれません(笑)。
バックナンバー
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第3回 『よみきかせ日本昔話 うらしまたろう』の場合
第2回 『よみきかせ日本昔話 わらしべちょうじゃ』の場合
第1回 『よみきかせ日本昔話 いっすんぼうし』の場合

★ 全国をまわって読み聞かせをしている「おはなし隊」では2014年8月、岩手県と香川県の訪問先を募集中! お申し込みの締め切りは5月12日(月)です。ご興味のある方は以下のアドレスをご参照ください。お早めに!
おはなし隊

おはなし隊の読みきかせ ワンポイントアドバンス 「読みきかせ会」を主催されている方、また開いてみたい方必読の情報! おはなし隊が「読みきかせ」の秘訣をお教えいたします。

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