——絵本の学校は、ちゃんと絵本を描いてみたいと思ってご自分で探したんですか?
そうです。会社勤めをしていたので、仕事帰りに行けるような場所でさがしました。自分で絵本を描こうと思っても、なにから始めていいかがはっきりわからなかったので、とりあえず学校に行ってみようと。
——まわりに絵を描いている人たちがいる環境ではなかったと思うんですが、学校はどうやって探したんですか?
たしか、習いごとの雑誌だったと思います。体験で行ってみたら、授業を聞くのではなく、好きなときに行って絵本作家の先生にアドバイスをもらえるような、自由な雰囲気が自分にあっているなと思って通い始めました。たとえば画材についても、こんな画材があるよっていろいろ紹介してくれたり、その場で試すこともできたので、それでアクリルがいいなと。
——絵の学校に通ってるときに、作品として形になったのはどのくらいあるんですか?
学校に通ってるときは、2冊しかないですね。
——会社勤めをしながら作品を作っていくって大変ですよね……。学校では、その作品をどうやって世に出したらいいのかとか、そういうアドバイスはありました?
コンクールの情報をもらったりということはありました。あとは、1年間のコースが終わってからですけど、学校で知り合った人たちと4人でグループ展をしたり。自分が作った絵本を人に見てもらいたいと思ったら、コンクールしか思い浮かばなかったので、それにはいくつか応募しました。
——講談社の新人賞を受賞される前に、ニッサン(童話と絵本のグランプリ2005年、2006年連続佳作入賞)と逗子(児童文学賞手づくり絵本コンクール)で入賞されてますが、それ以外にも?
ニッサン2回と、あと逗子市と、ピンポイント(ギャラリー主宰の絵本コンペ)に出しました。
——作品ができたら、何かには出そうと。
そうですね。できたら何かには出してますね、全部。
——それは、できたら出そうなのか、このコンクールに出そうと思ってそれに向けて描くのか、どっちなんでしょう?
やっぱりこれに出そうと思うコンクールがあって、それに向けて描いてます。
——講談社の新人賞に応募されたのは、初めて?
いえ。2年前に1度出しました。どこまで残ったかはわからないんですけど、そのときは本当に締切ぎりぎりに描いて、すごくばたばたしていたのを覚えています。
——どんなお話だったんですか?
ぞうが主人公なんですけど、そのぞうが、どんどん成長していくという……(笑)。
——(笑)。『たこやきかぞく』のお話は、いつごろからあたためていたんですか?
仕事をしながらだったので、描き始めたのはけっこう早めだったんですけど、大好物だっていうこともあるし、たこやきにしようかなと。
——『たこやきかぞく』に限らないんですが、話を考えるときはどういうふうに思い浮かぶんですか? 話が先とか、シーン(絵)が先とか。
私の場合は、文章から先に思い浮かぶんですけど、アイディアがうかんだらメモにしておいて、ふくらみそうだったら文章をパソコンで打っていくんです。もちろん途中で終わってしまうものもあるんですけど(笑)、完成したものは絵本になるっていう……。『たこやきかぞく』の場合は、たこやきが主人公で、たこやきが家族っていうのが思い浮かんだら、もう一番最初のページから、画面割りも同時にしながら文章を打っていってしまうんですよ。
——はじめの見開きから、このページにこの文章ってイメージしながら書いてるんですね。
そうですね。なんとなく絵本の形で文章を書いていって、文章が先にできあがったら、そのあと画用紙を本の形にして、ラフの絵を描いていくんです。だから、絵は、かなり文章ができあがった状態になってから描き始めていますね。もちろん、文章を考えながら絵もぼやぼやっとイメージはしてるんですけど、ちゃんと文章ができあがった時点でどういう絵にするかっていうことを、そのイメージをもとに描いてみるんです。
さて、そんなふうにして描きあがった『たこやきかぞく』。応募してから受賞まで、そしていよいよ絵本になるまでのお話は、後編へと続きます。
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