わたしはこうして獲りました!
絵本新人賞インタビュー
やぎたみこさんの場合・前編


 今回は、今年6月に『くうたん』でデビューしたばかりの、やぎたみこさんにお話を伺います。やぎさんは新人賞の受賞者ではありませんが、佳作をきっかけにして見事デビューを果たしています。『くうたん』が出版されるまでのいきさつを聞きました。

『くうたん』
『くうたん』
やぎたみこ(八木民子)
兵庫県生まれ。武蔵野美術短期大学卒。イラストレーターのかたわら絵本を学び、2005年に第27回講談社絵本新人賞佳作を受賞する。「大人もいっしょに楽しめる、子どものための絵本」の制作をつづけている。千葉県松戸市在住。

やぎたみこさん
——やぎさんは、第27回講談社絵本新人賞で佳作を受賞されました。それが初めての応募だったんですか?

 いえ、実は3回目でした。最初の2回は最終選考にも残らなかったので、覚えていらっしゃらないと思います(笑)。


——それは失礼しました。でも佳作の作品は個性的だったので、とても印象に残っていますよ。『丘石理髪店』というタイトルで、ストーリーは……。

 流行らない床屋さんの店主が、客が来ないのに困って、「3日間お代はいただきません、どんなスタイルにもいたします」という張り紙を出す。するとつるっぱげのおじいさんが来て、「若々しいヘアスタイルに」「かしこそうな感じに」などと無理難題を出すんです。


——そうそう、それで頭にチョコレートをぬったり、カタツムリをのせて仏像のようにしたり。選考委員の先生も、「ものすごく個性的でいいんだけど、個性的すぎて出版は……」ということになって、佳作に決まったんでした。

 佳作に決まったというお電話を編集部の〈若〉さんからいただいたときは、「ウソ!」という感じでした。〆切まで2週間で描いたので、自信はなかったです。



——授賞式に出席されて、選考委員の先生方にもお会いしましたね。

 先生方から、直接感想やアドバイスをお聞きしました。特に、高畠純さんが、この絵のここがいい、と絵の細かいところをほめてくださったのがうれしかったです。
  ただ、『丘石理髪店』という作品はやっぱり「面白いけど、出版はできない」絵本だったわけで、じゃあ「出版できる絵本」って何だろう、と思って「あとさき塾」(多くの絵本作家を輩出しているワークショップ)に入りました。


——勉強を重ねて、次の年の新人賞に挑戦しようと思ったんですか?

 思ったんですけど、そのとき私の作りたかったものが、どうしても規定の11見開き(注・第29回から15見開きも選択できるようになった)に収まらなかったので、残念でしたが応募をあきらめることにしました。
 〆切の前日に、銀座にある「バートックギャラリー」の絵本塾に行ったのですが、そこで〈若〉さんにばったりお会いしたんですよね。「今年の新人賞はどうですか?」と聞かれて、事情を話したら、別の作品を見てくれることになりました。


——佳作を受賞した方ですし、私自身も注目するところがあったので、編集部まで作品を持ってきていただいたんですね。


 (来月に続く。インタビュー場所:講談社 聞き手:若)
講談社フェーマススクールズ

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