わたしはこうして獲りました!
絵本新人賞インタビュー
番外編・こんな絵本が読みたい! 編集部覆面座談会 後編

番外編・こんな絵本が読みたい! 編集部覆面座談会 後編

——前回は、過去の受賞作の話を中心にいろいろと話していきましたね。

先日、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」にも、新人賞について話を聞いてきたんですが、おはなし隊では、おはなし会での読み聞かせを念頭において、幼児でも楽しめる絵本がほしいといっていました。みなさんの意見はどうですか?

(弓引き童子)
 おはなし会で読み聞かせできる絵本は“5分以内”っていわれていますよね。実際、子どもがお話に集中できるのは、それくらいまでです。そう考えると、どうしもテキストの長い絵本は敬遠されます。
   
(チ)
 何度も話に出ていますが、作った作品を声に出して読んでみることが大切です。それをやってみると、「ここの文章がちょっと長いな」とか、「余計だな」っていうのがわかりますよ。
   
(K)
 子どもが家にいれば、子どもに読み聞かせしてみるのがいいと思います。

——編集の私たちも、本が出来上がる前のゲラの状態で、家で子どもに読み聞かせをしたりしています。先日の(若)の「読み聞かせ日記」でも、“ゲラ読み聞かせ”の話が登場してました。

(J)
 会社で一人で、ぶつぶつ声に出して読んでみたりもしてますよ。
   
(N)
 作品を作るにあたって、独りよがりになってしまわないことも大切です。そうならないために、声に出して読んで客観的に作品を見てみたり、人に読み聞かせてみたりするんですね。そうすると、自分で黙読しているだけではわからなかったことが、わかるってことがあるんですよね。
   
(チ)
 独りよがりになってしまって、なんとなく世間の価値観を落とし込みに使ったり、なんとなく世の中で一般的なことをなんとなく描いてしまうと、説教っぽくなってしまうこともあります。そういったところは、気をつけたほうがいいかもしれません。
   
(N)
 独りよがりではない「これを伝えたい」って強い思いを持つことが、とても大切だと思います。

講談社フェーマススクールズ

——選考会の時の話も少ししましょうか。

(N)
 第1次、第2次選考会の時のことをいうと、満場一致で「これがいい」っていう作品と、意見がすごく分かれる作品と、結構分かれます。
   
(K)
 誰かが「どうしもこれだけは最終選考会に残したい」ってこだわった作品もあったり……。
   
(弓引き童子)
 男性と女性で意見が分かれたりとか……。
   
(K)
 私たちもですが、選考委員の先生も、昨年の作品や、その前の年の作品のこともよく覚えていて、「この人、今年はこんな作品できたな」とか、なりますね。
   
(J)
 そうそう。お会いしたことはなくても、ずっと作品を見守っている感じはありますよね。
   
(N)
 次の作品を読みたいって思わせることも、最終選考に残るかどうか、賞を獲れるかどうかのポイントですね。

——講談社では、絵本以外にもいろいろ新人賞をやっていて、それぞれそこからすばらしい作家の方々を輩出しています。その中で児童文学新人賞は、となりの部署が担当していて、毎年絵本新人賞と同時に贈呈式をしています。児童文学新人賞の選考とかはどうなんでしょうね? 経験された(新キャラ)さん、どうですか?

(新キャラ)
 児童文学新人賞は、400字詰め原稿用紙で300枚までの作品を応募できるんですが、どんな作品でも、最後に何かすごいことがおこるんじゃないかって期待して、300ページまで読み進めます。
でも、実際のところほんとに面白いものは、書き出しから何かが違うんですよね。けど、諦められないんです。

——うーん。なかなか大変ですね。
けど、選考をしながら、期待する気持ちも、いいものははじめから違うっていうのも、なんとなくわかります。絵本でも共通する部分があるかも。

(K)
 マンガの新人賞の場合だと、一番重要になってくるのは、キャラクターセンスです。エピソードやストーリー、構成や絵などは、やっているうちに上手くなるので、新人賞の選考をする時は、キャラクターセンスを持っているかどうかを重視してみます。
   
(N)
 マンガでいうキャラクターセンスは、絵本でいう構成力ですね。ストーリーを構成する力です。プロの作家さんは、絵本を作る時コンテを描いてからはじめています。コンテを描いて、「このページでこうなる」というのを構成していくんですよ。新人賞に応募される方もぜひやってみるといいと思います。

——絵本を作る、一つ一つのプロセスも大切ですね。

——いろいろ話が出ましたが、では最後に一人ずつ、ずばり「新人賞にこんな作品がほしい!」というのを聞かせてください。

(弓引き童子)
 子どもが楽しめる絵本が一番です! そして、この作を絵本にしたいという一冊に対する想いだけじゃなくて、これからたくさん絵本を作っていきたいという方を期待しています!
   
(新キャラ)
 とても個人的な意見ですが、どうぶつの絵本が読みたいです! 描き込んである動物の絵が見てみたい! 力強い動物の絵本を待ってます。
   
(J)
 お話、絵、すべてにおいて新人賞ならではの、新しいものが読みたいです。
   
(K)
 発想が斬新な作品を期待しています!
   
(チ)
 “からっ”としたものと、“じめっ”としたものの両方読みたいです。
“からっ”としたものは、シンプルで単純におかしいもの。“じめっ”としたものは、子どもの中にある子どもなりのネガティブな感情をフォローする、子どもへのエールになるような絵本が読んでみたいです。
   
(N)
 一つは、笑える本。子どもと一緒に笑って楽しく過ごせる絵本がほしいです。笑わせ方も、新しいスタイルのものが見てみたい!
二つめは、よくここまで描いたなあ、よくここまで観察したなあと思える、絵で圧倒してくれる作品が見てみたいです。

——私は、男の子が喜びそうな話と、『もこもこもこ』(谷川俊太郎/文 元永定正/絵 文研出版)や『あな』(谷川俊太郎/文 和田 誠/絵 福音館書店)のような、コンセプトでうならせてくれる作品がほしいと思います。

——2回にわたる座談会、新人賞応募のみなさまのご参考になりましたでしょうか。
第32回講談社絵本新人賞の受付は、6月15日(火)消印有効です。たくさんのご応募お待ちしています!


番外編・こんな絵本が読みたい! 編集部座談会(前編)
番外編・こんな絵本が読みたい! 全国訪問おはなし隊より
番外編・書籍販売部担当Tに聞きました
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