読み聞かせ

『もったいないばあさんの  てんごくとじごくのはなし』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 新藤優子

このおはなしでは、もったいないばあさんが見にいった天国と地獄のようすを対照的に描いています。文字を追いがちな大人にくらべて、こどもは絵のすみずみから多くを感じ取ります。絵の力を信じて、天国と地獄、そこでのスープの食べ方の違い、おはなしのイメージがふくらむように、こども目線で読み聞かせてみましょう。

表紙から裏表紙までゆっくり絵を見せてください。

特にこの絵本は、画面の明暗、もったいないばあさんの顔の変化でおはなしの楽しさにつなげます。読み聞かせには正解はありません。読み手は、とにかくじっくり丁寧に丁寧に、何度も何度も読み込むことです。すると不思議、おはなし会ではすーっとおはなしの世界に入り込んで、読み手と聞き手のすてきな共有体験、こどもたちとの心の絵本対話ができると思います。今回は、さいたま市立蓮沼小学校1年生60名で読み聞かせをしてきました!

まず「もったいないばあさん」の絵本を手に取り「みんな、このおばあさん知ってますかー?」と教室のこどもたちに見せます。こどもたちはキャラバンカーにも描かれている大好きなもったいないばあさんの登場に「あっ! もったいないばあさんだー!」「知ってる、知ってる」「知ってるよー」とみんないっせいにうれしそうにこたえてくれました。

そこで「みんなの知っているもったいないばあさんに新しいおはなしができました」と言って、新しい絵本を出します。「もったいないばあさんは『もったいないことしてないかい?』と今までいろんなところに見に行きましたよね。そんなもったいないばあさん、今度はどこに見に行ったのでしょうか……?」と言いながらタイトルと作者名を言います。

その間楽しそうに表紙を見ているこどもたち。左右の明暗、上下からのぞくもったいないばあさんの顔、顔。こどもたちの天国と地獄のイメージを少しふくらませてから見返し、そして中扉へ。再度タイトルを読み上げ、「もったいない こと してないかい? さあ みに いくよ」と続けます。もうここからこどもたちはワクワクでおはなしの世界へすっかり入っていました。

ゆっくりめくるとそこには暗い画面にてくてく歩くもったいないばあさんと、遠くにはぼうっとついた灯りの前に怖い顔の鬼のすがたと、鬼をとりまくたくさんの人たちが……。もったいないばあさんの見た地獄の世界を、しっかり絵を見せながら読み進めます。

鬼がこんぼうを振り上げる場面では、地獄の恐ろしさを低めの声で伝えます。

鬼がかきまぜている「あつい スープが ぐーらぐら」では、次の場面を想像させるようにゆっくりと読みましょう。
鬼の命令で我先にと自分勝手に争ってスープがうまく飲めず床にぽたぽたこぼれ、飲めないところではことばは丁寧に、地獄の迫力を十分見せてあげましょう。

それをずーっと見ていたもったいないばあさん。「ああ もったいない! これは こう やって のむんじゃよ」。ここはもったいないばあさんの気持ちになって、しっかりした口調で読んでいきましょう。
怒った鬼にもったいないばあさんがぴょーんと飛ばされるところは、見開き全体の絵の動きの面白さをたっぷり見せてください。こどもたちの目はもったいないばあさんを追いかけています。
次の展開を導くようにめくると、ふわり、すとん。もったいないばあさんの着いたところは今度は美しく明るい天国です。ここでは画面の変化をやさしい絵とやさしい言葉でたっぷりと伝えてあげてください。聞いているこどもたちも穏やかな表情で見ています。
もったいないばあさんがみた天国の世界は地獄とは大違い。天女さまとそこにいる人たちの笑顔。


食べ方の違いを、「どうぞ」という短いことばの繰り返しに思いをこめて、大切にゆっくりとしたテンポで天国のやさしさを伝えましょう。同じように「どうぞ」と天女さまからおいしいスープをいただいたもったいないばあさんも「ありがとう ごちそうさま」。

そしてそのあとは、間をおいて「もったいないこと なにもない」。しっかりと伝わるように読むといいと思います。

ゆっくりと開いた最後のページでは、もったいないばあさんの最高の笑顔をたっぷりと見せてあげましょう。

そう、やさしい思いやりと感謝の気持ちがあればもったいないこと、なにもないんですよね。おはなしの余韻を残し、絵本を閉じながら裏表紙の明暗の長いスプーンを見せ、もう一度表紙に戻り、タイトルを言っておしまいです。

「わたし、地獄でなくて天国がいいなあ」と言ってくれた会場の女の子。地獄の場面でぽたぽたこぼれるスープを見て「ああ、もったいないよう」と言っていた元気な男の子のにこにこ顔もありました。
さーて、もしもったいないばあさんが今度みんなのところに現れたらよろしくね。みんな、もったいないことしてないかい?(読み聞かせ時間は、導入から含めて5分でした)

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