読み聞かせ

『おすわり どうぞ』 の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 岩田恵美子隊長

毛の一本一本まで細密に丁寧に描かれた動物たち。その愛らしい仕草や表情は、まるで人間の感情をまとっているかのようです。
「ね、 ぴったり。」のフレーズの繰り返しを楽しみながら、それぞれの動物たちのキャラクターをイメージし、語りかけてあげてください。
たんぽぽのお花やちょうちょが描かれていますが、主人公は動物たちなので、春以外の季節に読んでもあまり違和感はありません。
優しさと、あたたかさを感じさせてくれるとても素敵な1冊です。

きのこにおすわりした、かわいらしいりすさん。近くには、白いちょうちょが飛んでいます。優しくタイトルを言います。

表紙を開くと……ちいさなまるいきのこ。その上空には、ちょうちょが飛んでいます。これからちょうちょが案内役のように姿をみせますので、指さして、印象つけてあげると良いと思います。ちょうちょと比較すると動物の大きさもイメージできますね。

扉ページに描かれていたきのこに、ちいさなねずみさんが、ちょこんとすわりました。
ちょうちょは、お花にとまっています。ねずみさんときのこが、一体になったような、ぴったりのいす。
「ね、ぴったり。」のフレーズは、子どもたちの方を向いて、語りかけるように言ってあげるといいですね。
ちょっと指さして、ちょうちょもいることを知らせてあげてから、ページをめくります。

りすさんのいすは、ねずみさんよりもおおきな、のっぽのいす。
りすの独特な、すばやい動きをイメージして、「ひょい」と、飛び乗った感じを出してみましょう。何か抱えているような手の感じが、かわいいですね!

たんぽぽのお花に囲まれた切り株にすわったうさぎさん。「ふわりと」すわっています。ふわふわのたんぽぽのお花も、うさぎの柔らかな毛並みもふわりという感覚につながりますね!
耳が前後を向いています。後ろを向いた耳は、ちょうちょの気配を感じているのでしょう。ちょうちょが少し小さく見えます。

ゆれるたんぽぽのお花が、かえるさんのいす。
ちいさなかえるがジャンプして飛び乗った、軽い感じの「ぴょん」ですね!
ちょうちょもお花にとまりました。かえるさんとちょうちょは、同じくらいの大きさです。

ぱっぱを積み上げたクッションは、丸みをおび、本当に「こんもり」という感じがします。ゆっくり読んであげると雰囲気が伝わります。蓋でもかぶせるように乗っかっていて、可愛らしいですね! ちょうちょは飛んでいきました。

丸太の切り口のふちに、お行儀良く、手足を揃えて腰かけたきつねさん。
大きさの対比で、ちょうちょがとても小さくなりました。

そこへしかさんと、いのししさんがやって来ました。会話の部分は、元気良く読んでみましょう。仲の良さが伝わります。
ちょうちょは、高い空から、みんなの様子を見ているようです。
きつねさんは、丸太からおりて、手をかけました。どうするのかな? 想像させるように、ゆっくりめくります。

丸太を横にして、仲良くくっついてすわった、満足そうな動物たちの表情。
特に、ぎゅっとはさまれたきつねさんが、目を細めてとてもうれしそうです。文字通り「わあ、ぴったり」です。うれしそうに、ちょっとおおげさに、言ってみましょう。ちょうちょがとても小さく見えます。

ことりが飛んできました。「ぱたぱたぱた」が2回の繰り返されていることで、2羽飛んで来たことを知らせます。
ちょうちょはいなくなりました。羽ばたく音にびっくりしたのでしょうか。

色とりどりのことりたちが、しかの角に並んでとまりました。
「ね、ぴったり」と読み終えたら、次の場面でおしまいなので、「たくさん来たね!」「何羽いるのかな?」「いろんな色だね!」など、子どもたちと会話しても楽しいですね。子供たちも絵を細かく丁寧に見てくれます。

それぞれぴったりのいすを見つけた動物たちの集合です。
楽しそうな動物たちの様子をゆっくり見せてあげて、元気良く「さあ、みんなであそびましょう」と語りかけてあげましょう。
うさぎさんのたんぽぽにかえるさんがいたり、しかさんが腰をかがめ、ことりたちをみんなの近くにしてあげていたり……ほのぼのとした様子に心が和む場面です。ちょうちょは? あれあれ、2ひきいますよ!

離れて飛んでいた2ひきのちょうちょも、タンポポのお花に仲良くとまりました。ぴったりのいすを見つけたみたいですね!
2ひきのちょうちょも、まちあわせかな?
ことばはありませんが、ゆっくりと見せてあげてからゆっくり本を閉じてください。
裏表紙も同じ絵です。余韻を楽しませてあげましょう。

シリーズには、『ぽつぽつぽつ だいじょうぶ?』もあります。
ねずみさん、うさぎさん、かえるさんたちが登場しています。
ねずみさんの傘は、誰のいすににてるかな? 
というような発見もありますので、ぜひ読んでみてください。
冬には、雪の中で繰り広げらる動物たちと流れ星のお話『ほしをさがしに』が、おすすめです。心洗われる素敵なお話を、美しい絵でたっぷりと味わってみてください。

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