読み聞かせ

『ねこってこんなふう?』の読み聞かせのコツ

おはなし隊隊長 牧野博美

ユニークで迫力のある絵柄が魅力の、翻訳絵本です。
人間に見える世界と、他の生き物が見ている世界はぞれぞれ違う、
そんな、世界の多様性を教えてくれる一冊です。
東大の脳研究者・池谷裕二教授もおすすめしている知育絵本です。

この本は主に、幼稚園の年長さん~小学校で読みます。
ストーリーというより、絵を見て楽しむ絵本です。
読み聞かせで複数の本を読む場合、このような、ストーリーよりも絵で見せられるもの、
イマジネーションを刺激される一冊加える事によって、いっそう選書が引き立つでしょう。

大人ももちろん楽しめる、知的好奇心を刺激される一冊です。

見返しは、絵本の本文中に出て来るシーンに繋がっています。
きちんと見せてあげましょう。

『ねこってこんなふう?』
タイトルの「?」はあまり強調しすぎないように。

『こどもから みると ねこは たぶん こんな ふう』
男の子を上目づかいで見つめる大きな猫の瞳は、子ども達も見慣れた猫の姿。
共感を呼ぶベージです。
ちょっとだけ子ども達の顔を見て、共感力を高めましょう。

『いぬから みると ねこは こんな ふう?』
痩せっぽちで長細い見慣れない猫の姿は、犬から見た猫の姿です。
さぁ、ここからいろいろな生物から見た、猫の姿が描かれます。
子ども達はそれぞれに驚きの声を上げます。
じっくりと絵を見せるようにしてあげましょう。

『きつねから みると』
きつねから見ると猫は捕食対象なのか!?
まるまると太った猫の姿が描かれています。
『おんなじ ねこでも ちがって みえる!!』
このひと言で子ども達は、この絵本の意図が理解できます。
大切な一文なので、丁寧にしっかりと読んであげてください。

『りっぱな ひげを ぴんと たて ねこは きょうも とことこあるく』
しっぽ、ひげ、みみ、と変化しながら定期的に出て来る、繰り返しの文章です。
ゆっくりと、かつ猫が歩くように軽やかに読めば、絵本全体にリズムが出てきます。

『きんぎょから みると』
金魚鉢から魚眼で見た猫の姿です。
迫力のある絵に、子ども達から大きな歓声があがります。
子ども達の反応を見ながら、ゆっくりとページをめくります。

『ねずみから みると』
おそろしい猫の姿が描かれていますが、特に怖そうに読む必要はありません。
たんたんと読んでいきましょう。
ねずみから見ると、猫は敵。
それを知っている子ども達から、
「怖い」「そうだろうね!」などの反応が返ってきます。
子ども達の反応を見ながら、ゆっくりとページをめくります。

『はちから みると』
昆虫の複眼をイメージした猫の絵です。
「すごいね!」「キレイだね!」と声が上がります。
中には「うそだー!」と言う子どももいるでしょう。
複眼を理解していない子どもがいたとしても、
読み聞かせの際には、とくに説明を加える事はありません。
子ども達の反応を見ながら、ゆっくりとページをめくります。

『とりから みると』
鳥目線の、俯瞰で見た猫の姿です。
「なるほど!」と納得した声が上がります。
子ども達の反応を見ながら、ゆっくりとページをめくります。

『のみから みると』
猫の毛にまぎれたノミの姿。
見つけられない子どももいるので、指で差してあげましょう。

『へびから みると』
ヘビは赤外線の光を感知する能力を持っています。
なので暗闇の中、周囲よりも体温の高い熱を持つ猫は、
サーモグラフィーのように浮かびあがるのです。
子ども達から「怖い!」などの悲鳴があがります。

『スカンクから みると』
哺乳類の目は2原色しか感知できません。
だからスカンクから見た『ねこは たぶん こんなふう』
「なんだこれー!」などの驚きの声があがります。
子ども達の反応を見ながら、ゆっくりとページをめくります。

『みみずから みると』
地面の下に生息するミミズは、振動で猫の気配を感じます。
理解していない子どももいますが、絵のユニークさに笑いが起こります。

『こうもりから みると』
コウモリは超音波などの反射音を発して、物体の形を把握します。
理解していない子どももいますが、絵の美しさに「星みたい!」と感動の声が上がります。
子ども達が絵から感じる、そのイメージを大切にしてあげるためにも、
とくに超音波などの説明を加える必要はないでしょう。
子ども達の反応を見ながら、ゆっくりとページをめくります。

『そう おんなじ ねこでも ちがって みえる!!』
絵本の意図を理解した子ども達から「ぜんぶ混じってる!」と歓びの声が上がります。
そんな子ども達の反応と呼応するように、しっかりと力強く読んであげましょう。
このページから、この本のラストに向かいます。

『あるひ いけに ちかづいて…』
いよいよ、クライマックスです。
このページから、この本のラストに向かいます。
もったいつけるように、ゆっくりとページをめくります。

『あれれれ… これは いったい だあれ!?』
子ども達に向かって、問いかけてあげてください。
答えが解って嬉しい子どもたちが、元気に大きな声を返してくれることでしょう。

子ども達の反応を見ながら、文体のリズムを大切に、ゆっくりと絵を見せるようにして読むことがポイントです。

子ども達の知的好奇心を刺激する一冊として、ぜひ読み聞かせの定番に加えてください。

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